ビルの屋上に円盤状の空間を設け、お客さんが過ごすフロアのターンテーブルが回転して360度の展望を楽しめるようにした“回転型”の飲食店。ピークの1980年代には国内に50店程度あったとされますが、今や4店しかありません。
【スゴい絶景…】これが「回転展望レストラン」からの絶景です!(写真)
うち都市型ホテルで日本唯一の回転レストランが、リーガロイヤルホテル京都(京都市)の最上階である14階の地上約39mにあるフレンチレストラン「フレンチダイニング トップ オブ キョウト」です。
「京都グランドホテル」のホテル名で1969年11月に開業してから56年超にわたって回り続けており、レストランの来店客は観光名所が豊富な京都の眺望をゆったりと楽しんできました。筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長)が予約して息子とともに利用したところ、鉄道写真を撮るにもうってつけな格好の「トレインビュースポット」でした。
日本初の回転式展望台は、六甲山上の凌雲台(標高約900m)に1957年誕生した「回る十国展望台」(2002年営業終了)です。約5分間で一周する有料の展望台で、山城・大和・摂津・河内・和泉・紀伊・丹波・播磨・淡路・阿波の10か国を一望できることが名前の由来となりました。
東京都心部にも1964年にホテルニューオータニ、翌65年に東海道新幹線や在来線の線路に沿った東京交通会館にそれぞれ回転レストランが開業。さらに、最上階の回転レストランを目玉にして集客を図ったのが百貨店「そごう」(現・そごう・西武)です。
「そごう柏店」(千葉県柏市、1973年開業)、「船橋そごう」(同船橋市、81年開業)、「豊田そごう」(愛知県豊田市、88年開業)などに回転レストランを設け、家族連れらの人気スポットとなりました。しかし、過大な借金を抱えたそごうグループは2000年に民事再生法の適用を申請して経営破綻し、立て直しのために回転レストランを備えた店舗を含めて多くの店が消滅。16年9月の柏店閉鎖をもってそごう・西武の回転レストランは一掃されました。
他にも施設の閉鎖や、床下にあるターンテーブルを動かす回転機構の保守や改修が難しくなって回すのをやめる動きが相次ぎました。ホテルニューオータニは2018年、東京交通会館は20年でそれぞれ“回転”を終えました。
駅近くにあったそごう店舗の回転レストランが消え、東京交通会館も回転を停止した今、唯一の“回るトレインビュースポット”となっているのがリーガロイヤルホテル京都の「フレンチダイニング トップ オブ キョウト」です。ホテルの脇にはJR西日本山陰本線と東海道本線の線路があり、東海道新幹線や近畿日本鉄道京都線も近くを通っているのです。
リーガロイヤルホテル京都の「フレンチダイニング トップ オブ キョウト」で提供された紅はるかを使ったポタージュ(大塚圭一郎撮影)
京都市は景観保護のために建物の高さを厳しく制限する「新景観政策」を2007年に導入し、23年以降に一部地区で緩和したものの、他の百万都市に比べると高い建物が限られます。このためレストランから市街地を広く見渡すことができ、遠くには比叡山や東山連峰などもそびえます。
1階から11階までエレベーターで上がった後、専用エレベーターに乗り換えると着くレストランは、地元食材を生かしたこだわりのフランス料理に舌鼓を打つことができるとあって人気があります。
予約して訪問した筆者と息子が案内された4人がけのテーブルは、到着時点では京都駅や、駅前のタワー「ニデック京都タワー」がよく眺められる位置にありました。
注文したコース料理は「Manège(マネージュ)」(6578円)。フランス語でメリーゴーラウンドの意味で、回転レストランがメリーゴーラウンドのように回るのをたとえた洒脱なネーミングです。店員さんは「90分で1周します」と教えてくれました。ただし、京都五山の送り火の夜だけは“高速版”となり、30分で周回するそうです。
テーブルが世界文化遺産を構成する西本願寺に近づいた頃、和風の雰囲気に合う豆腐と卯の花、聖護院カブをアレンジした料理が出てきました。
梅小路公園と東海道本線の線路が視界に入る位置へ回転したころ、京都府綾部市産のサツマイモ「紅はるか」を使ったポタージュが運ばれてきました。
ターンテーブルはほぼ窓際を回転しますが、例外なのは個室の脇を通るときです。「全席窓際」と銘打った「フレンチダイニング トップ オブ キョウト」はターンテーブル上にあるのは全て開放型のテーブルで、半島のように突きだした区画にある個室は大きな窓から風景を眺められるものの、床は回らないのです。この個室の向かいには厨房があり、シェフたちが調理する様子を眺められます。
近畿日本鉄道京都線を走る「あをによし」(大塚圭一郎撮影)
京都府京丹波町産のシメジを添えた魚料理を平らげた後、メーンディッシュとともに現れたのがクライマックスのトレインビューでした。木造の塔として高さ日本一を誇る東寺五重塔(54.8m)の手前を東海道新幹線のN700AやN700Sが通り過ぎるというJR東海のキャンペーン「そうだ 京都、行こう。」の一場面に出てきそうな光景です。
京都駅から南下する近鉄京都線には、鉄道友の会の2025年「ローレル賞」に輝いた新型車両8A系が姿を見せました。続いて京都を出発して近鉄奈良へ向かう観光特急「あをによし」19200系が去って行くのを眺め、筆者は「あの列車を予約していたら…」と冷や汗をかきました。
「早い、安い」ランチに慣れた筆者はレストランを13時半に予約し、食事後に京都駅を14時55分に出発する「あをによし」に乗ろうかと一瞬考えました。しかし、コース料理の提供には1時間では足りないのではないかと考え直し、京都発で次の「あをによし」(16時55分発)にしました。もしも14時55分発を予約していた場合、せっかくの「あをによし」の座席を返上せざるを得ない事態に追い込まれていました。
メーンディッシュは鶏肉と野菜を煮込んだフランスの伝統的な家庭料理「プール・オ・ポ(Poule au pot)」に着想を得た京地鶏と冬野菜の煮込みで、冬場にふさわしく体が温まる一皿です。
一方で度肝を抜かれたのが、3795円の追加料金がかかるため1人分だけ注文した「極上黒毛和牛フィレ肉」の美味でした。ミディアムに焼いてもらった滋味のある牛肉が看板に偽りなしの「極上」ぶりで、大徳寺納豆のソースと絶妙なアンサンブルを奏でていました。
料理に満足して食後のデザートを終えた頃、テーブルの位置はスタート地点を通り過ぎて西本願寺の方角に近づこうとしていました。真下の堀川通を走る緑色の京都市バスを見下ろしていると、隣の席から「このレストランは乗りものだな」という声が聞こえてきました。
確かに、鉄道や路線バスなどの乗りものを眺めていた回転レストランそのものが「乗りもの」でした。値段は張りますが、それだけの価値のある展望とできたての珠玉の料理を堪能できる“走るレストラン”に、大満足の乗りもの体験となりました。

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