2月10日に営業運転開始予定

 京浜急行電鉄が、銀色のステンレス製車体が目立つ外観から「銀千」と呼ばれる1000形の新たなタイプを導入します。このタイプは2代目1000形の23次車となり、2025年度は8両編成の計2編成をJR東日本子会社の総合車両製作所(J-TREC)横浜事業所(横浜市金沢区)で製造することが決まっています。

【写真】これが「シン・銀千」導入で“引退”する車両です!

 筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長)が京急関係者を取材したところ、23次車の最初の編成(1702編成)は2026年2月10日に営業運転を始める予定です。日程は現時点での予定のため、事情によっては変わりうる可能性もあります。登場後は本線(泉岳寺―浦賀)や、久里浜線(堀ノ内―三崎口)などで運用される見通しです。

 23次車の窓回りにはステンレス地の銀色が見えるものの、元祖「銀千」とは見た目が異なっています。シン・「銀千」が進化した背景には、J-TRECの得意技術がありました。

 1702編成は1月16日に京急の車両基地「金沢検車区」(金沢区)の近隣にあるJ-TREC横浜事業所から自走で出場し、鉄道車両の保守や更新、改造を手がける京急の全額出資子会社、京急ファインテックの久里浜工場(神奈川県横須賀市)へ向かいました。

 京急は2026年2月5日にかけて1702編成の性能を確認するための試運転を本線や久里浜線で実施し、翌6日には営業運転開始に向けて車両を清掃しています。

 2代目1000形は2002年に登場し、約四半世紀にわたって増備が続いてきました。1―5次車の車体はアルミ合金製で、大部分の編成は京急のトレードマークである赤色と白色で塗装されました。2006年度以降に製造された車両はステンレス製車体に変わり、06年度製造の6次車から15年度の15次車までの大部分は車体側面の窓回りに銀色のステンレス地を残し、上部に赤いライン、下部に赤色と白色のフイルムを貼り付けた「銀千」のカラーリングが採用されました。

 ところが、「銀千」は「社内外から外観が京急らしくないとの声が寄せられた」(関係者)と言います。そんな声を反映し、15次車の一部からは車体側面全体に赤色と白色のフイルムを貼り付けるようになり、2017年度の17次車から23年度の22次車まではステンレス製車体の全面を塗装して「京急らしさ」を演出しました。

元の「銀千」とは「見るからに違う」

 ステンレス製車体の塗装をやめ、側面の窓回りはステンレス地がむき出しになった23次車は「銀千」への先祖返りと言えるかもしれません。ところが出場した1702編成の側面の外観は、元祖「銀千」とは違って見えます。

 元の「銀千」の側面は、ステンレス外板を重ね合わせてスポット溶接で結合するセギリ構造を用いています。「銀千」はセギリ構造によって出っ張った部分のステンレス地がむき出しになっており、スポット溶接の打痕も並んでいるため見た目がでこぼこしています。

 これに対し、側面の窓回りはステンレス地がむき出しになっているものの、上下の赤色を基調にしたラッピングに溶け込んでいるのがシン・「銀千」こと23次車。まるで窓回りを含めた全体にフイルムを貼り付けているような一体感があるのです。

 その秘訣は、J-TRECが得意とするレーザー溶接技術で車体側面のステンレス外板を接合し、構体を平らにするフルフラット外板にあります。ラッピングを採用することで塗装する場合よりも環境負荷を低減しながらも、塗装にほとんど見劣りしない外観に仕上がっています。

「極細窓」サヨナラ!

 23次車は、前方を眺めやすいように乗務員室の後ろに設けたクロスシート(通称「展望席」)が用意されます。

「京急らしくない」車両になぜ先祖帰り!? 「シン・銀の100...の画像はこちら >>

1000形1890番台「Le Ciel」製造中の様子。乗務員扉の後方に細長い窓がある(画像:京急電鉄)

 1000形の一部編成は「展望席」を設けるとともに、脇に幅約10cmの細長い「極細窓」を取り付けているのが名物になっています。これに対し、23次車の「展望席」の脇には窓が設置されていません。

 車内には防犯カメラを設置しており、京急は「近年の鉄道車内における傷害事件などの発生を受け、地上側でリアルタイムに映像の確認ができるようにしている」と説明します。京急はこのタイプの防犯カメラを2026年度末までに全車両に導入する計画です。

 京急は23次車の導入に伴い、1985年にデビューした鋼鉄製車両1500形の引退・廃車を進めます。その中で、関係者は「8両編成の1725編成の廃車が迫っている」と明かします。

 2026年元日には、神奈川県・三浦半島で初日の出を観賞する利用者向けの品川発三浦海岸行き臨時特急「初日号」が1725編成で運転されました。先頭に「初日号」と記したヘッドマークを取り付けて運用に入ることは栄誉だとされます。

 このため「初日号」としての運用は、1725編成の花道を飾る“引退興行”の意味合いもあったそうです。

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