ウィラーが高速バス「WILLER EXPRESS」の新シートを発表。各座席を硬いシェルで覆うことで「個別空間」をつくり、ゆったりと脚を伸ばせるなど、「眠り」を追求したといいます。
ウィラー・エクスプレス・ジャパンは2017年1月19日(木)、高速バス「WILLER EXPRESS」に導入する新シートの概要を発表しました。
新シート「ReBorn」は、各座席が「シェル」で覆われ、個別空間がつくられる(2017年1月19日、中島洋平撮影)。新シートの名は「ReBorn(リボーン)」。各座席の側面から背面にかけて、硬いFRP(繊維強化プラスチック)の「シェル」で包み込まれていることが特徴です。シェル内側には木製のアームレストのほか、ドリンクホルダー、読書灯、コンセント、網状の小物入れを備え、前座席の背面から引き出して使用する大きな木製テーブルもあります。
このシートを搭載するバスは横3列、縦6列の全18席。シートの前後間隔は1580mmで、2016年9月にウィラーが3列シートの“スタンダード”として発表した「Luxia(ラクシア)より、400mm以上広くとられています。
シート幅は590mm、背もたれは最大156度まで傾斜。レッグレストも含め、リクライニングはすべて手元のリモコンで操作します。背もたれをリクライニングすると、座面も前に少し移動し、前座席に折りたたまれたフットレストとほぼ連結。これにより、頭から足先まで最大187cmがクッションでサポートされます。

「身長180cmの私でもゆったり脚を伸ばせます」と、ウィラー・エクスプレス・ジャパンの平山幸司社長。「ReBorn」はウィラーのシート開発史上、最長となる3年をかけて完成させたといいます。
完全消灯なし 快適の「その先」に挑戦「高速バスの概念を覆す」という「ReBorn」。ウィラー・エクスプレス・ジャパンの平山社長は、そのコンセプトを以下のように話しました。

「これまで約10年間、『高速バス=快適』となることを目指してさまざまな選択肢を提供してきましたが、『ReBorn』はその先、『高速バス=休息』への価値転換に挑戦するシートです。狭い、疲れる、寝られないといった高速バスのイメージから脱却し、眠ること以外に気をつかわず、自分のペース、自分だけのスペースでぐっすり眠れるシートを追求しました」(ウィラー・エクスプレス・ジャパン 平山社長)
眠りへのこだわりは、クッションやシェルだけではありません。「ReBorn」を搭載するバスは、スーパーハイデッカー車両を使用することでエンジンルームと客室の距離を広げ、従来のウィラーのバスよりも騒音を10%軽減。シェル内はもっと静粛性が保たれるといいます。
また、室内灯は常時点灯させつつ、寝るころにはだんだん暗めに、起床するころにはだんだん明るめにするなど、タイミングに合わせて調光。

「灯りのない車内では不安になるというお客さまの声もあります。不安があるままでは眠れない、という思いから、眠りに最適な明るさを専門家とともに研究しています」(ウィラー・エクスプレス・ジャパン 平山社長)
とはいえ、光をさえぎりたいという人にはアイマスクを提供したり、必要に応じてシェルにキャノピー(幌)を設けたりすることも、今後検討していくといいます。
関東~関西線から投入 価格は?「ReBorn」搭載車両は衝撃軽減装置、横揺れ軽減装置などを装備するほか、運転手の耳たぶに脈拍を図るセンサーを取り付け、その変化に応じて居眠りに至る前に運転手に警告するといった安全対策を実施。ウィラーでは全乗務員の健康診断結果をデータ化して産業医と共有、乗務員に適切なアドバイスをし、急な疾病をカバーする取り組みも行っているそうです。

「ReBorn」を搭載したバスは、2月17日(金)から関東~関西線で、3月17日(金)から関東~愛知線の夜行便で運行開始。便数は各1往復で、関東~関西便は既存の3列シート「ビジネスクラス」の便と置き換える予定といいます。
価格は関東~関西が通常1万800円(繁忙期1万5000円)、関東~愛知が通常8800円(繁忙期1万1300円)。
ウィラーは、2016年9月に発表した3列シートの「Luxia(ラクシア)」と、この「ReBorn」を「最高の休息」シリーズと位置付け、高速バスの「新たな領域」に挑戦するとしています。
【写真】これだけ倒れる 最大156度のフルリクライニング
