PFI船舶は2027年までに8隻体制へ拡充!

 2026年2月13日朝、東京湾内を大型フェリー「はくおうII」がゆっくりと入ってきました。同船は昨年まで、舞鶴(京都府舞鶴市)―小樽(北海道小樽市)航路に就航していた新日本海フェリーの「はまなす」(1万6897総トン)で、今年(2026年)から防衛省のPFI(民間資金活用)事業船舶として、主に自衛隊の部隊輸送や災害派遣などで使用されることになっています。

【写真】防衛省向け高速フェリー「はくおうII」と「はくおう」見比べ!

 防衛省は現在、南西諸島エリアでの有事を見据えて海上輸送能力の大幅な強化を進めています。ひとつは陸上自衛官が主体となって輸送艦艇の運用を行う「自衛隊海上輸送群」、そしてもうひとつが民間船でありながら有事や災害時は自衛隊の部隊輸送などを請け負う「PFI」船舶です。

 両者の役割について防衛省は、「海上輸送群は島嶼部への侵攻阻止に必要な部隊や装備品等の南西地域への迅速かつ継続的な輸送が任務」であり、「PFI船舶は海上輸送群を含む自衛隊自身の輸送力を補完するもの」と説明しています。

 PFI船舶は、2027年までに8隻体制へ拡充することが計画されています。防衛省によると内訳は大型旅客船2隻、中型貨物船2隻、小型貨物船1隻、小型フェリー1隻、コンテナ船2隻。これまでは高速フェリーの「はくおう」と「ナッチャンWorld」の2隻体制でしたが、隻数の増加とともに多様な船種で構成された船隊へと姿を変えます。

 2026年から導入されるのは「はくおう」と「ナッチャンWorld」の代替船です。「はまなす」が「はくおうII」として、津軽海峡フェリーの函館―青森航路に就航していた「ブルールミナス」(8828総トン)が「ナッチャンNEO」として、PFI船舶の大型旅客船の枠に加わりました。

国内最大級の大きさと速度を誇るフェリーが原型

「はくおうII」と「ナッチャンNEO」は、従来の2隻に比べて燃料費が半分程度となる見込みで、コスト競争力の向上が図られます。防衛省でも、緊急要請後の出発港を母港に限定せず、各船舶が民間収益事業を行っている近隣港でも可能にするといった運用ルールの見直しを図っていることから、今後は一般の人が乗る機会が増えるかもしれません。

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東京湾を航行中の「はくおうII」の船尾(深水千翔撮影)。

 2隻の借り上げ契約は2025年3月に結ばれており、契約額は2026年1月から2035年末までの10年間で約305億円。

運航・管理に関しては、2025年5月に防衛省が、双日を代表企業として、日本通運やリベラグループなどで構成する特別目的会社(SPC)高速マリン・トランスポート2と契約を結んだことを明らかにしています。

 今回、東京港に入港した「はくおうII」は、新日本海フェリーの「はまなす」として三菱重工業長崎造船所で建造され、2004年7月に姉妹船の「あかしあ」と共に舞鶴―小樽航路でデビューしました。全長は224.82m、全幅は26m。世界で初めてハイブリッド型CRP(2重反転プロペラ)ポッド推進システムを採用し、長距離フェリーでは国内最大級の大きさと速度を誇っていました。

「はまなす」は2025年10月17日の小樽出港を最後に舞鶴―小樽航路での運航を終了。JMU(ジャパンマリンユナイテッド)因島事業所に入渠し、「はくおうII」へと改造されることになりました。なお、翌11月には運航効率を高めた新造船の「けやき」(1万4300総トン)が舞鶴―小樽航路へ就航しています。

 防衛省・自衛隊が、自前の大型輸送艦の数を今よりも増やすことは、予算や人員の大規模な拡充がない限り、厳しい状況です。そういったなか、離島防衛や大規模災害などで海上輸送能力を強化しようと考えた場合、PFIによる民間船舶の増勢は、ひとつの手段として有効なのは間違いないでしょう。

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