ジャズの有名な曲「A列車で行こう」(Take the “A” Train)はアメリカの最大都市ニューヨークの地下鉄A系統をモチーフとしていますが、窓際の「A席で行こう」と呼びかけたい特急列車があります。JR東日本の白新線と羽越本線を走る新潟~酒田(山形県酒田市)・秋田間の「いなほ」です。
【画像】これが「A席から予約が埋まる」もっともな理由です(写真22枚)
窓際の「A席」は酒田・秋田行きの進行方向左側、新潟行きの右側になります。「いなほ」は7両編成と4両編成があり、うち7両編成は秋田・酒田側の1号車がグリーン車、2~4号車が指定席、5~7号車が自由席です。4両編成はグリーン車がなく、1、2号車が指定席、3、4号車が自由席です。
筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長)は2026年3月中旬、新潟から秋田へ向かう「いなほ」7号の「A席」を予約しました。「いなほ」の定期列車は7往復ありますが、うち新潟―秋田間は2往復だけです。
新潟駅は2022年6月に在来線が地上から高架へ移り、プラットホームが上越新幹線と同じ3階にそろえられました。「平面」になったのを生かして5番線に発着する「いなほ」と、11番線の上越新幹線「とき」の対面乗り換えが可能になりました。これらの乗り場の間にある自動改札機を通過すれば、目の前に乗り換える列車が待っているので便利です。
背もたれの一風変わった装備「いなほ」の車両は、交直流特急形電車E653系電車を使用。常磐線の特急用車両をE657系に統一した際に押し出されたE653系を大規模改装して2013年9月から順次導入し、国鉄時代に製造された485系を置き換えました。筆者は勤務先で2012年9月、「いなほ」の485系をE653系へ2013年から順次置き換えると13年8月の発表に先駆けて報じました。
E653系の塗装には多くのバリエーションがあります。
普通車座席の背もたれの上部には一風変わった装備があります。それは黄色いプラスチック製の「チケットホルダー」です。乗車券と特急券を差し込んでおけば、乗客が居眠りをしていても車掌に検札してもらえる工夫です。ただし、現在は「予約した指定席に座っている利用者には、原則として切符の確認はしていない」(JR東日本関係者)そうです。
みんな身を乗り出してA席に注目!?14時50分に出発した「いなほ」7号は隣の東新潟(新潟市)に着く頃、左手の車窓に新潟貨物ターミナル駅が現れました。JR貨物のコンテナが壁のように並べられ、交直流電気機関車のEF510形「ECO-POWER レッドサンダー」や直流電気機関車のEH200形「ECO-POWER ブルーサンダー」などの姿がありました。
E653系の車内(大塚圭一郎撮影)
最初の停車駅の豊栄(新潟市)は周辺に住宅が建ち並ぶベッドタウンですが、コメ収穫量の都道府県別で首位の新潟県だけにやがて沿線には田畑が広がるようになります。
新発田(新潟県新発田市)から羽越本線に入り、15時36分に着いた村上(新潟県村上市)の先に大きなヤマ場が待ち受けています。村上の先までの架線に流れているのは直流1500ボルトの電気ですが、隣の間島(村上市)までの間に交流20キロボルト50ヘルツの電気に切り替わる交直セクションがあります。
485系で通る際には直流と交流の間のデッドセクション(中立セクション)を通過時に通常の車内照明が消え、代わりに非常灯が点灯していました。しかし、E653系は通常の照明がともり続けます。
この先は、A席が真骨頂を発揮する区間です。日本海の海岸線を縫うように線路が続き、車体外観に描かれているような波しぶきが押し寄せます。日本海の荒波の浸食によって形づくられた奇岩、岩礁や洞窟などの変化に富んだ景色が11kmにわたって続く国の名勝「笹川流れ」をゆく区間で、そびえ立つ「鉾立岩」などが視界に入りました。
この区間では前後のA席に座っている乗客もスマートフォンなどでしきりと車窓を撮影していました。
近くに海水浴場がある小波渡(山形県鶴岡市)を過ぎると、「つや姫」や「雪若丸」などのブランド米が生産されている庄内平野が広がります。人口が11万4378人(2026年2月末時点)と庄内地方で最大の山形県鶴岡市の玄関口・鶴岡に16時40分着。羽越本線の主要駅の一つだけに、20人余りの利用者が降りていきました。
鶴岡市は2014年、日本で初めて国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の「創造都市ネットワーク」食文化部門に認定された「美食都市」です。国内の食文化部門認定都市は他には、2021年に加わった大分県臼杵市しかありません。
「D席のほうがイイ」区間もある次の停車駅の余目(山形県庄内町)は陸羽西線との乗り換え駅です。
秋田駅構内にある秋田犬の大きな縫いぐるみ。受験生を応援する駅員のメッセージボードも置かれていた(大塚圭一郎撮影)
余目の次の停車駅が酒田。山形県酒田市は北前船の寄港地として発展した商業都市で、人口は9万1979人(2026年1月末時点)と庄内地方で鶴岡市に次いで多く、鶴岡市とは「宿命のライバル」(地元経済人)とか。ホームには、川崎造船所(現・川崎重工業)が1914年に製造した蒸気機関車(SL)9600形9632号機の車輪が飾られています。
ここまで激推ししてきたA席ですが、鶴岡から遊佐(ゆざ、山形県遊佐町)の先にかけては反対の窓際の普通車ならばD席、グリーン車ならばC席からの景色の方が上かもしれません。というのも、特に晴れた日ならば鶴岡周辺では月山(標高1984m)が見えたり、遊佐の先で鳥海山(標高2236m)の山容を見渡したりできるからです。
ただし、遊佐の隣駅の吹浦(遊佐町)を過ぎると、A席の車窓に再び日本海が広がります。日本海の絶景が抜きん出ているだけに、「いなほ」の全区間を乗り通すならば圧倒的にA席がお薦めだと太鼓判を押すことができます。
第三セクター鉄道の由利高原鉄道と接続する羽後本荘(秋田県由利本荘市)などに停車後、定刻の18時半に終点の秋田に滑り込みました。3時間40分の行程は、東海道・山陽新幹線の「のぞみ」ならば東京―福山(広島県福山市)間に相当する長時間です。

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