短距離の滑走路でも問題なし

 日本の航空路線では2026年現在、ジェットエンジンの一種である「ターボファンエンジン」を搭載した旅客機が主流です。一方で、離島や地方を結ぶ短距離路線では、プロペラ機が現在も多く運航しています。

【なにこの形… 】「世界最速のプロペラ機」のスゴイ全貌(画像)

 現在のプロペラ旅客機の多くは「ターボプロップ機」と呼ばれるタイプです。これは、ジェットエンジンの仕組みを応用してプロペラを回すもので、旧来のプロペラ機で主流だったピストン駆動の「レシプロエンジン」とは、構造的に大きく異なります。

 とはいえ、性能面ではターボプロップ機とジェット機の間には巡航速度に大きな差があります。JALグループなどが運用するATR42-600の巡航速度は約556km/hとされているのに対し、国内幹線の主力機であるエアバスA350-900は約910km/hに達します。

 それでもターボプロップ機が選ばれる最大の理由は、離着陸に必要な滑走路が短くて済む点です。ジェット機では運航が難しい1500m以下の滑走路や、離島の短い滑走路でも安定した発着が可能です。

 また、低高度・短距離の飛行においては、ジェット機よりも燃費効率(経済性)が高いことも大きなメリットです。実際、極めて短距離の路線では、ジェット機とターボプロップ機の所要時間に大差がない、あるいは逆転するケースも珍しくありません。

 例えば、定期便として「日本一短いジェット機路線」とされる那覇~久米島線(約100km)では、ジェット機(日本トランスオーシャン航空)と、プロペラ機(琉球エアーコミューター)の双方が運航しています。一見すると前者のほうが最高速度が速いので勝っているように思えますが、ジェット機は高い巡航高度への上昇・降下や、それに伴う大きな旋回ルートを必要とするため、時刻表上の所要時間はプロペラ機より長く設定される場合があります。

運行コストを抑える利点も

 琉球エアーコミューターでは、客室後部を貨物スペースに充てた日本独自仕様の「Dash 8-400 Combi(Q400CC)」を導入しています。この機体の大きな特徴は、約660km/hに達する巡航速度です。

前出のATR42をはじめとして一般的なプロペラ機が約550km/hであることを考えると、群を抜いて高速で飛行可能であり、離島特有の「生鮮食品や生活物資の輸送」というニーズに対応し、物流の要としても機能しています。

「プロペラ機」がジェット機より速く着く!? 令和の空でター...の画像はこちら >>

トキエア機(画像:トキエア)

 このように、地方・短距離路線において、ターボプロップ機はジェット機と遜色ない所要時間で結ぶことができ、かつ運航コストを大幅に抑えられるという絶対的な利点があります。

 2024年に新潟~丘珠(札幌)線で就航したトキエアも、その後着実に路線を拡大しています。ターボプロップ機の機動性に加え、ジェット機と比べ重量が軽いため空港の着陸料を65%程度安くできることを活かし、LCCでありながら座席間隔は狭くしない「ハイブリッド航空」というビジネスモデルの定着が進んでいます。

 ターボプロップ機は、「ジェット機の代替(格下)」ではなく、用途に応じた“最適解”のひとつです。「高い経済性と効率性」を両立しているからこそ、地方・離島路線において現在も重用され続けているのです。

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