半世紀近い歴史を持つJR(国鉄)の夜行高速バス「ドリーム号」史上、「最上のくつろぎ」を実現したという車両「ドリームルリエ」がデビュー。座席、車内、サービスはどうなっているのか、乗車して探りました。
夜行高速バス「ドリーム号」に2017年3月31日(金)、新しい車両が登場。「ドリームルリエ(DREAM Relier)」が東京~大阪間で運行を開始しました。
JRバスグループが中心となり運行している「ドリーム号」は1969(昭和44)年、日本初の夜行高速バスとして登場。「ドリームルリエ」は、その歴史において「最上のくつろぎ」を実現した車両といいます。はたして、どれほどの“実力”を備えているのでしょうか。
「ドリーム号」の歴史において「最上のくつろぎ」を実現したという「ドリームルリエ」(2017年3月、恵 知仁撮影)。
車両の外観はこれまでの「プレミアムドリーム号」や「グランドリーム号」を踏襲し、高品質感を出せるよう「パールホワイト」を採用。乗客の思いや願いを「流星」にみたて、JRバスのシンボルである「ツバメ」と並んで飛んでいるイメージを表したそうです。
ちなみに「ルリエ(Relier)」はフランス語で「結ぶ、縁をつなぐ」という意味。この新しい「ドリーム号」が都市と都市、人と人の縁を結び、快適な空間で乗客に夢を結んでもらう、という思いが込められています。運行はジェイアールバス関東と西日本ジェイアールバスです。
座席は2タイプ 「アドバンスクラス」の過ごしやすさは?「ドリームルリエ」の座席は2クラス。

「ドリームルリエ」の「アドバンスクラス」。写真では座席前後を区切るカーテンが中央の座席のみだが、実際は窓側の席にも用意される(2017年3月、恵 知仁撮影)。
その座席は、「グランドリーム号」に採用されている、“ゆりかご”のような快適性を持つという新型のクレイドルシートをベースにしたもの。リクライニング機能の向上で、快適性をさらにアップさせたそうです。また、シートピッチ(座席の前後間隔)は1m以上を確保しているとのこと。
1人掛け席の通路側、2人掛け席の中央と通路側には大きなパーティションがあり、通路側へカーテンを引くことも可能。座席の前後を仕切るカーテンも備えられているため、個室のような空間で気兼ねなく休むことができるといいます。
このリクライニング機能を向上させたという「アドバンスクラス」の座席、最大限に傾けてみました。

「アドバンスクラス」の座席を最大限にリクライニングさせ、体を座席に預けた状態で正面を撮影したもの(2017年3月、恵 知仁撮影)。
視界が一変、空と天井が占める面積がとても大きくなります。なお「ドリームルリエ」ではすべての座席にタブレット端末「iPad mini 4」が備えられており、インターネットや「dマガジン for Biz」「AbemaTV」といった雑誌、動画などのコンテンツを無料で楽しむことが可能です。
「ドリームルリエ」、もうひとつの座席は4席ある2列シートの「プレシャスクラス(Precious Class)」です。

「ドリームルリエ」の「プレシャスクラス」。車内前方に4席が用意される(2017年3月、恵 知仁撮影)。
「プレミアムドリーム号」のプレミアムシートを、「ドリームルリエ」のイメージに合わせたというデザインへ一新。幅およそ60cmの座席は、足を伸ばして寝返りもうてる「ホテルのような最上級のシート」といいます。レッグレストには、新たにヒーターが設けられました。
上部は空いているなど、周囲と完全に区切られているわけではありませんが、大きなパーティションで囲われ、通路側にカーテンを引くことも可能。衣紋掛けやテーブルも用意されています。
この、夜行高速バス「ドリーム号」で最上級にあたる「プレシャスクラス」の座席、最大限に傾けてみました。

「プレシャスクラス」の座席を最大限にリクライニングさせ、体を座席に預けた状態で正面を撮影したもの(2017年3月、恵 知仁撮影)。
その視界は「アドバンスクラス」以上に変化し、見えるのはほぼ、空と天井です。
「ドリームルリエ」は車内にトイレが設置されており、便座は暖房付き。また、空気清浄機付きエアコン、スリッパ、毛布が備えられているほか、衝突被害軽減ブレーキシステム、衝突防止補助システム(車間距離、車線逸脱警報など)、映像記録型ドライブレコーダーといった安全性を高める装置類も搭載しています。
運行は東京~大阪間で1日1往復。2017年4月1日(土)以降のダイヤは以下の通りです。
●東京発「ドリーム ルリエ 1号」
東京駅八重洲南口23時10分発→バスタ新宿(新宿駅)23時50分発→大阪駅JR高速バスターミナル7時50分着
●大阪発「ドリーム ルリエ 2号」
大阪駅JR高速バスターミナル23時00分発→バスタ新宿(新宿駅)6時59分着→東京駅日本橋口7時24分着
運賃は4つの区分があり、乗車日によって異なります。子どもの片道運賃は大人の半額。「早売1」は乗車前日までに購入できる割引運賃で、席数には限りがあります。ちなみに、東京~大阪間におけるJR夜行高速バスの運賃は、4列シートで3500円から、標準的な3列シート(「ドリーム号」)で5800円からです。
●区分D(おもに平日)
プレシャスクラス:1万4000円(学割:1万3500円)
アドバンスクラス:1万400円(学割:9900円、早売1:9800円)
●区分C(おもに土日)
プレシャスクラス:1万5000円(学割:1万4500円)
アドバンスクラス:1万1300円(学割:1万800円)
●区分B(おもに金曜、祝前日)
プレシャスクラス:1万6500円(学割:1万6000円)
アドバンスクラス:1万1900円(学割:1万1400円)
●区分A(GWなどの特定日)
プレシャスクラス:1万8000円(学割:1万7500円)
アドバンスクラス:1万2500円(学割:1万2000円)
夜行高速バス「ドリーム号」史上で「最上のくつろぎ」という「ドリームルリエ」、ジェイアールバス関東の担当者によると今後、増車を検討しているそうです。