都電で60年以上にわたり運転されてきた7000形電車のお別れイベントが開催。かつて都内を縦横に走っていた都電、その縮小やワンマン化などを経てきた古参の電車について、ベテラン職員にも話を聞きました。

お別れイベント開催

 都電で60年以上にわたり運転されてきた7000形電車が、2017年6月10日(土)をもって全車引退。翌11日(日)に「ありがとう7000形イベント」が、東京都荒川区の荒川電車営業所で開催されました。

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車両撮影会に登場した3台の7000形電車。右から7001号車、7002号車、7022号車(2017年6月11日、中島洋平撮影)

 7000形は1954(昭和29)に登場した車両です。この当時は東京の街じゅうで都電が走っていましたが、渋滞対策などにより線路の撤去(廃止)が進行。結果、三ノ輪橋~王子駅前~早稲田間12.2kmのみが残り、1974(昭和49)年に現在の路線が「荒川線」と改称されました。

 都電全盛の時代から活躍してきた車両としては、2011(平成23)年に7500形が引退して以降、7000形は唯一の形式でした。ただし車体についてはいずれも昭和50年代に更新され、たとえば前面窓が2枚から1枚になるなど、スタイルが大きく変化しています。

都電の最古参車両が引退 東京を走って60余年「いろいろ見てきた」7000形(写真30枚)

7000形の車内。
都電の最古参車両が引退 東京を走って60余年「いろいろ見てきた」7000形(写真30枚)

7000形のマスコン(マスターコントローラー)。
都電の最古参車両が引退 東京を走って60余年「いろいろ見てきた」7000形(写真30枚)

「都電7000形復刻ラッピングバス」も登場。

 会場に登場した7000形は、1955(昭和30)年製の7001号車と7002号車、そして前日まで営業運転で使用されていた1956(昭和31)年製の7022号車の計3両です。

車両撮影会には抽選で選ばれた1000人が参加。このほか、車両の保守基地である車両検修所の公開や、東京都交通局グッズの販売なども行われました。

「都電ひと筋」50年のベテランが語る7000形の思い出

 1966(昭和41)年に東京都交通局へ入局し、都電の運行や事務などに携わってきたベテラン職員の堤 満さんは、7000形について次のように話します。

「7000形は都電で最も長く活躍し、いろいろなことを見てきた車両です。私が入局したころは、都電の全廃が決まっていましたが、局内でその反対運動もあり、27系統の一部と32系統の線路、つまり現在の荒川線だけが残されたのです。そして1977(昭和52)年から78(昭和53)年にかけての6か月間で7000形は車体が順次更新され、車掌が乗務しない完全ワンマン運転になりました」(堤さん)

 堤さんが入局した当時の都電は、その多くが木造車体で、冬には乾燥でドアが変形し、風や雪が車内に入ってくることもあったそうです。

「それに比べて7000形は鋼製で車内も暖かかったです。運転もしやすく好きな車両でした」(堤さん)と話します。

都電の最古参車両が引退 東京を走って60余年「いろいろ見てきた」7000形(写真30枚)

東京都交通局の堤 満さん。
都電の最古参車両が引退 東京を走って60余年「いろいろ見てきた」7000形(写真30枚)

かつての都電27系統のサイドボード。三ノ輪橋と赤羽を結んだ。
都電の最古参車両が引退 東京を走って60余年「いろいろ見てきた」7000形(写真30枚)

7000形を改修した7700形。

 なお、7000形のうち8両は2016年以降、大規模な改修を受け、7700形という別形式として営業運転に使用されています。東京都交通局は、「7000形は昔ながらの『吊り架け駆動』と呼ばれる方式でしたが、7700形は、台車やモーターなどが最新のものに取り替えられています。車体は7000形と同じですが、走行音などは大きく異なり、乗り心地も向上しています」といいます。