JALの空港スタッフナンバーワンを決める「第6回 空港サービスのプロフェッショナルコンテスト」が開催されました。審査の決め手は、AIなどのシステムが進化し、多様化が進むなかだからこその「対応力」にあるといいます。

約5200人のトップが決まる!

 JAL(日本航空)が2018年3月2日(金)、JAL 第1テクニカルセンター(東京都大田区)で「第6回 空港サービスのプロフェッショナルコンテスト」を開催しました。

 接客サービスの向上を目的に毎年実施されているもので、この日行われたのは、いわば「最終決戦」。地区大会予選などを突破してきたJALのグランドスタッフたちが、アナウンスや出発カウンターでの接客業務を実演して競い合います。

 コンテストは海外空港部門、国内空港部門の2部門にわかれ、海外の空港から4名、国内の空港から9名の計13名が出場。JALグランドスタッフの総数は、国内外合わせて約5200名といいます。

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国内空港部門で優勝した、羽田空港の永見愛里さん(2017年3月2日、高橋亜矢子撮影)。

 コンテストで審査されるのは、さまざまなシチュエーションでの臨機応変な対応。たとえば「雷雨により、午前8時30分出発予定だった飛行機が30分ほど遅れる旨を伝えるアナウンス」を、制限時間3分で、各々が独自に考えた伝え方で行います。文言は事前に制限時間5分で考えたものです。アナウンスは、「朝早くからお集まりいただき、ありがとうございます」と、まずは乗客の早起きをねぎらう言葉から始まるなど、細部に工夫が見えるものでした。

さまざまな「設定」の乗客

 出発カウンターでチェックインする際の接客実演も行われました。実演において、カウンターに並ぶ乗客を演じる人らにはそれぞれ、決められた「設定」があります。

 海外空港部門では、カウンターに並ぶ利用者の1組目が「3人組の女性旅行客」、2組目が「2人組のビジネスパーソン」、3組目が「杖をついている人」、4組目が「高齢者」という設定。国内空港部門では、1組目が「日本が好きな訪日外国人」、2組目が「聴覚に障がいを持つ人」、3組目が「オーバーブッキングが起きた理由を聞いてくる人」、4組目が「高齢の夫婦」でした。

JAL空港スタッフナンバーワン決定! 技より対応力 コチュジャンの有無もポイント?

司会者がファイナリストたちへ突然、インタビューに走る場面も。
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表情豊かに接客を実演。
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海外空港部門で準優勝したデリー空港のANJU SINGHさん。

 聴覚障がいを持った人は、乗る飛行機が遅延している設定でした。飛行機が遅延した場合、出発ゲートが変更になることもあり、その情報は場内アナウンスで周知されることがしばしばあります。とすると、耳で情報を受け取れない場合、出発ゲートの変更を知ることができない可能性あります。

 審査では、そうした聴覚障がいを持った乗客の抱える潜在的不安を察知し、寄り添い、一歩踏み込んだ情報提供、すなわち「飛行機の遅延情報とともに、出発ゲート変更の有無を知らせることができていたかどうか」を見たといいます。

バックにコチュジャン、入っていませんか?

 重視しているのは、テクニックや技術よりも対応力だといいます。もし手話が使えたら、それは素晴らしいことですが、誰しも手話ができるとは限りません。カウンターにある筆談ボードやメモなど、いま自分にできる伝達方法を駆使して、相手とコミュニケーションをはかり、相手を理解し対応する力が大切だそうです。

 AIなどのシステムが目まぐるしく進化し、また、訪日外国人の増加をはじめ、乗客の多様化が進む現在だからこそ、目の前に見えている問題を解決するだけでなく、まだ見えてはいない潜在的なニーズにどれだけ対応できているかも見たといいます。

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海外空港部門で優勝した、釜山空港の金 民基(キム ミンギ)さん。
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優勝者、準優勝者、審査員特別賞の受賞者。
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集合写真は「いいね!」のポーズで。

 釜山空港の金 民基(キム ミンギ)さんは、3人組の旅行客へ「バックの中にコチュジャンは入っていませんか?」と問いかけました。突然かつユーモラスな空気を含んでいたため、会場には笑いが起こりましたが、この発言には理由がありました。

 韓国みやげの定番であるコチュジャンやキムチは、機内持ち込み容量に制限がある「液体物」に分類されるとのこと。そのため、知らずにバックへ入れたまま保安検査に進んでしまうことのないよう、投げかけた言葉であったとキムさんは話します。キムさんは海外空港部門で優勝しました。

 国内空港部門で優勝したのは、羽田空港の永見愛里(えり)さん。羽田空港で働くJALグランドスタッフの人数は多く、約1300人といいます。

 そのほか、準優勝には伊丹空港の高村真由(「高」は正しくははしごだか)さん(国内空港部門)、デリー空港のANJU SINGH(アンジュ シン)さん(海外空港部門)が、審査員特別賞には、福岡空港の荒木 愛(めぐみ)さん、大分空港の伊美絢乃(あやの)さんが輝きました。

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