青、黄、赤の車両用信号とちがい、1灯のみで黄色または赤色を常時点滅させる「一灯式信号」が、全国的に数を減らしています。点滅の意味が浸透せず、あまり効果をなしていないという指摘も。
徳島県警が2018年度から、県内にある「一灯式信号」の撤去に向けた取り組みを推進します。
一灯式信号機の例(画像:photolibrary)
「一灯式信号」は、青、黄、赤のランプが並ぶ一般的な三灯式信号とちがい、1灯しかない車両用信号のこと。「通常の交差点信号機を設置できない細街路交差点で、主従を明確にし、出会い頭事故の防止のため、終日、主道路が黄点滅、従道路が赤点滅している」(鳥取県警ウェブサイト)ものです。これをなぜ撤去するのか、徳島県警に聞きました。
——なぜ一灯式信号を撤去するのでしょうか?
点滅の意味があまり浸透しておらず、効果が薄いというのが大きな理由です。黄色の点滅は「注意して進め」、赤色の点滅は一時停止と、運転免許の教習でも習うはずですが、通常の赤信号とちがって点滅信号となると、「赤点滅も徐行でいいのでは」などと迷う方がおり、結果的に事故がなくならないのです。
——そもそもどんなメリットがあって設置されたのでしょうか?
夜間でも交差点の位置や交通規制がわかりやすいというメリットがありますが、昔は「光るもの」といえば信号しかなかったのです。現在ではLEDなども発達していますので、もっとわかりやすいものに替えて、より安全な交通社会を実現していきます。
撤去した「一灯式信号」、どう代替?——一灯式信号を撤去し、どのように代替するのでしょうか?
おもには「止まれ」の標識や標示による一時停止の交通規制に置き換えます。夜間に発光する標識や(道路標示の)塗料などもありますので、視認性も確保できると考えています。
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徳島県警によると、一灯式信号は西日本に多く、東日本には少ないことから認識に地域差もあるとのこと。
一灯式信号を撤去する動きは徳島県内に限りません。警察庁も、老朽化した信号機の更新や、設置基準の見直しを進めるなか、2015年に全国の警察などへ向けた通達で、「一灯点滅式信号機その他の常に灯火の点滅を行っている信号機については、一時停止の交通規制その他の対策により代替が可能な場合は、信号機の撤去を検討するものとする」としています。
たとえば愛知県の刈谷警察署は、市内の交差点で一灯式信号を廃止し一時停止規制に置き換えることの「お知らせ」資料において、一灯式点滅信号機は全国で信号機全体の約3%と少なく認識が低い一方で、一時停止規制は浸透した交通規制であるといった理由を挙げています。また同県の新城警察署も同様に、市内の交差点で一灯式信号を廃止することの「お知らせ」で、経年による信号柱の倒壊、停電などによる灯火の減灯、大地震などの災害に対して弱いといったデメリットを指摘、こちらも一時停止の規制で代替しています。
前出の徳島県警は今後、県内にある105基の一灯式信号について、地元と協議しながら撤去を進めていくとしています。「高齢の方を中心に、『信号機は重要』と強く認識されている方もいらっしゃいます。標識や標示などでよりわかりやすく、安全を確保できることをていねいに説明していきます」と話します。
※一部修正しました(4月15日11時45分)。
【図】一灯式信号から一時停止規制へ どう変わる?

4方向の一灯式信号を撤去し、赤の点滅信号が表示されていた通りに一時停止の標識を設置。愛知県刈谷市の例(刈谷警察署の資料をもとに乗りものニュース編集部作成)