走行中の高速道路が通行止めになった場合、一般道で目的地に向かう、あるいは迂回して同じ高速道路に乗り直す、料金所で引き返すなど、さまざまな選択肢がありますが、いずれの場合も金銭的には損しないようになっています。
通行料金が割高にならない「調整」を受けられる悪天候や事故などで高速道路が通行止めになると、情報表示板やパトロールカーなどの案内により、指定されたICから一般道に出るように案内されます。
通行止めの案内を表示する、高速道路の情報表示版。写真はイメージ(画像:PIXTA)。
工事による通行止めの場合は日時や対象区間が知らされるため、事前の対策が可能ですが、走行中の高速道路で予期せぬ「通行止め」にあった場合、どのような選択肢があるでしょう。「一般道に降りてそのまま目的地へ向かう」「一般道へ降り通行止め箇所を迂回して再び高速道路に戻る」「SAやPAで通行止め解除を待つ」などといった対応が考えられるでしょうか。
そうしたなか、2番目の「一般道へ降り通行止め箇所を迂回して再び高速道路に戻る」場合、条件を満たせば通行料金が割高にならずにすむ措置があります。高速道路では一定距離以上を連続走行すると料金が割引になる制度がありますが、通行止めによって一般道に出た場合、その割引対象となる「連続走行」が途絶えることにならないようにするというものです。
「ETC車の場合は、一般道に出る際も高速道路に戻る際も料金所のETCレーンをそのままご通行下さい。非ETC車の場合は一般道に出る料金所で迂回する旨をお申し出いただければ『乗継証明書』をお渡ししますので、高速道路へ戻る際の料金所でご提示下さい。いずれの場合も長距離走行による割引を勘案して、料金を調整させていただきます」(NEXCO中日本 広報室)。
料金調整の計算方法は複雑ですが、通常時に目的地まで直行した場合よりも割高にならないように調整されるそうです。ただしETC車については「時間帯割引の適用も考慮し、乗り直す前の走行料金も含めて調整の上、後日請求させていただきます」(NEXCO中日本 広報室)といい、すぐにその場で調整後の金額が分かるというわけではないようです。
一般道の通行も困難で、走ってきた高速道路を引き返したい場合、ICから外に出なくても、係員に事情を話すことでIC内での転回(方向転換)ができます。
「転回して戻ることを希望される場合には、必ず出口料金所の一般レーン、あるいは料金精算機の呼出ボタンで係員にその旨お申し出下さい。続いて、係員の指示にしたがって安全に転回していただきます。最終の出口料金所(編集部注:本線料金所含む、最後に清算する料金所)でも、係員のいるレーンにて、転回された旨をお伝え下さい」(NEXCO中日本 広報室)
この方法は「特別転回」と呼ばれ、転回した地点まで往復したぶんの料金がかからないという措置です。
「行きと同じ経路で出発料金所に戻られた場合、料金はいただきません。また、転回したのち戻る途中で別のルートを通り本来の目的地に向かった場合は、出発料金所から最後に退出した料金所まで直通した場合の金額となります。
なおSAやPAなどで通行止めが解除されるのを待つ場合、道路工事など計画的に実施される通行止めの場合は解除予定の時刻が事前に知らされますが、天候や災害、事故などによる通行止めの場合は、「原因や状況がケースごとに異なるため、いつ通行止めが解除されるかの情報は、直前にお知らせする形になります」(NEXCO中日本 広報室)とのことです。
【写真】「通行止め」もたらす雪に備える、首都高の作業車
首都高の積雪対策作業車。首都高では2012(平成24)年の大雪で70時間の通行止めが発生して以来、対策を強化している(2017年11月28日、中島洋平撮影)。