「国際空港」というと、立派なターミナルビルを思い浮かべるかもしれませんが、アメリカ・ハワイ島のコナ国際空港は、壁がないチェックインカウンター、屋根のない出発ロビーなど、「道の駅」や「バスターミナル」のようです。

壁がない空港ターミナル

 アメリカ合衆国ハワイ州、ハワイ島にあるコナ国際空港(KOA)は、知らなければ「道の駅」にも見える開放的な空港です。

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南国のコテージのような屋根が並ぶコナ国際空港。側面の壁はない(2018年8月、恵 知仁撮影)。

 おもにアメリカの国内線が発着する規模の小さな空港ですが、JAL(日本航空)の成田線(毎日運行)、ハワイアン航空の羽田線(週3便運航)も飛ぶ国際空港。しかしターミナルビルは存在せず、チェックインカウンターは南国のコテージのような大屋根の下。側面の壁がない場所が多く、ハワイの風が吹き込んできます。

 保安検査場も、その機械などがある場所は屋根の下ながら、そこへ並んでいるときに上を向くと、広がるのは大空です。

「道の駅?」「いいえ、国際空港です」 開放的なハワイ・コナ国際空港

大屋根の下にあるチェックインカウンター。
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小規模な店舗などで囲まれた“中庭”。
「道の駅?」「いいえ、国際空港です」 開放的なハワイ・コナ国際空港

JALカウンターのスタッフ(ハワイアン航空に委託)。

 検査を受けて中に入ると、搭乗口や小規模な店舗などで囲まれた“中庭”のような場所があり、見上げれば、広がるのはここでも大空。小さな屋根しかない搭乗口も存在し、まるでバスターミナルのようでもあります。

日本と関係が深いコナ国際空港 アメリカのパスポートにその言葉が

 飛行機は、“中庭”や搭乗口のすぐ向こうに見えます。

ヤシの木や植え込みで区分されていますが、“中庭”と駐機場とをさえぎる壁やガラス類は存在しません。ボーディングブリッジもなく、タラップを使っての乗降です。

「道の駅?」「いいえ、国際空港です」 開放的なハワイ・コナ国際空港

“中庭”からヤシの木越しに見える、JALのボーイング737-300ER型機(2018年8月、恵 知仁撮影)。

 ハワイ島の西部にあるコナ地区は降水が少ないため、こうした構造でも大きな問題はないようですが、それにしても、これほどに開放的な日本直行便がある国際空港は珍しいかもしれません。

 なお現在、コナ国際空港では新ターミナルの計画があるものの、ボーディングブリッジは引き続き設けない予定とのこと。

 またJALによると、コナはこうした小規模な空港で、店舗も小規模なため、コナ発成田行きの便は機内販売の需要が特に多いそうです。

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成田行きJAL便の搭乗口案内もシンプル。
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屋根がほとんどない搭乗口も。
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飛行機に乗り込むタラップから見た搭乗口。

 ちなみに、コナ国際空港の正式名称は「エリソン・オニヅカ・コナ国際空港(Ellison Onizuka Kona International Airport at Keahole)」。コナ出身で、日系人初のアメリカ宇宙飛行士であるエリソン・ショージ・オニヅカさんの名をとったものです。

 オニヅカさんは1986(昭和61)年のスペースシャトル「チャレンジャー号」の爆発事故で殉職。

アメリカ合衆国のパスポートには、「人はより素晴らしい世界を目指す義務がある」といった、オニヅカさんの言葉が記されています。

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