JR北海道が2017年度の線区別収支状況を発表。北海道新幹線は開業ブームが落ち着いたことで営業収益が減少しました。
JR北海道は2018年11月9日(金)、各鉄道線区の2017年度における収支状況を発表。北海道新幹線は2016年3月の開業ブームが落ち着いたことなどで、営業収益が2016年度に比べ約20億円減少したことが分かりました。
青函トンネルをくぐり本州と北海道を結んでいる北海道新幹線(画像:photolibrary)。
今回発表された2017年度における北海道新幹線(新青森~新函館北斗)の営業収益は96億7900万円で、営業費用(管理費含む)は195億5600万円。営業損益(同)はマイナス98億7700万円でした。
100円の営業収益を得るために必要な営業費用の指数を「営業係数」といいます。北海道新幹線の2017年度の営業係数(管理費含む)は202円です。つまり、100円の収益を得るために、202円の経費を要した計算になります。なお、2016年度の営業係数は146円です。
北海道新幹線では、開業ブームがひと段落して営業収益が減少。さらに営業費用は、本格化した車両検査や青函トンネル内の老朽設備の更新費用などで増加しているといいます。
JR北海道在来線の収支ベスト5・ワースト5北海道新幹線を除くJR北海道在来線の営業係数「ベスト5」「ワースト5」は次のとおりです。
●2017年度営業係数ベスト5(カッコ内は2016年度比)
(1)札幌圏:106円(-7円)
(2)室蘭本線・長万部~東室蘭:153円(+10円)
(3)石勝線+根室本線・南千歳~帯広:159円(-17円)
(4)函館本線・岩見沢~旭川:162円(-8円)
(5)室蘭本線・室蘭~苫小牧:169円(-15円)
●2017年度営業係数ワースト5(カッコ内は2016年度比)
(1)根室本線・富良野~新得:2405円(-231円)
(2)札沼線・北海道医療大学~新十津川:2182円(-427円)
(3)石勝線・新夕張~夕張:2118円(+437円)※2019年4月1日廃止予定。
(4)留萌本線・深川~留萌:1970円(+983円)
(5)日高本線・苫小牧~鵡川:1687円(-140円)
「札幌圏」は函館本線の小樽~札幌~岩見沢間、千歳線と室蘭本線の白石~苫小牧間、札沼線の桑園~北海道医療大学間を指します。2017年度はこの札幌圏で、新千歳空港のアクセス利用が好調であり、また、近年増備した快速「エアポート」用733系電車の減価償却費が減少したことなどから収支が大幅に改善したといいます。
石勝線+根室本線の南千歳~帯広間は、2016年8月の台風災害で長期運休していた列車が運転を再開したことなどにより営業収益が増加。収支が改善しました。
JR北海道全体の営業係数は、2016年度の166円から、2017年度は3円増えて169円でした。鉄道事業の収支をみると、2016年度に続き2017年度も全線区で赤字に。837億円の収益を上げるために要した費用は1397億円で、損益はマイナス560億円でした。
なお、2017年度の線区別収支は、外国人旅行者向けの「北海道レールパス」と、「大人の休日倶楽部」会員向けの「大人の休日倶楽部パス(東日本・北海道)」の利用状況や、車両減価償却費の区分細分化を踏まえ、計上方法の見直しが行われています。
【写真】快速「エアポート」として走る733系電車

新千歳空港~札幌~小樽間を結ぶ快速「エアポート」。写真は733系電車(2017年10月、草町義和撮影)。