クルマの燃料タンクは、容量や形状も様々。ガソリンスタンドの給油ノズルが根もとまでうまく入らないこともありますが、そのまま給油してもよいのでしょうか。
クルマの燃料タンクは、容量や形状も様々。車種によっては、セルフスタンドの給油ノズルが根元までうまく入らないこともあります。そのまま給油してもよいのでしょうか。また、満タンを検知すると給油が自動で停止されますが、その機能は働くのでしょうか。
給油ノズルが根本まで入らないケースもある。写真はイメージ(画像:Wavebreak Media Ltd/123RF)。
ガソリン計量器メーカーのタツノ(東京都港区)によると、「それは大丈夫ですが、ノズルは先端が当たるところまで差し込んでください。給油を自動停止する機能は、そのセンサーがあるノズルの先端がしっかり入っていれば作動します」とのこと。
総務省消防庁をはじめガソリン業界では、「給油ノズルを止まるところまで確実に差し込む」「給油ノズルのレバーを止まるところまで確実に引く」という給油方法を周知しています。これは、セルフスタンドにおけるガソリンの吹きこぼれ事例が相次いだことを受け、2006(平成18)年に様々な車種で吹きこぼれの発生を検証した結果を踏まえ、業界全体で決められたものです。
検証では、ノズルを深く挿入できるものもあれば、浅いところで止まってしまうものもあるなど、差し込み具合が車種により異なったそうです。
ただ、タツノによると「最近は給油口の半分までしかノズルが入らない車両もあります。こうした場合、吐出の勢いでガソリンの跳ね返りがあったり、吹きこぼれたりすることもありますので、給油量を絞るなどの注意が必要です」とのこと。「給油ノズルのレバーを止まるところまで確実に引く」というのも、車種によっては、気を付けたほうがよい場合もあるようです。
自動停止が誤作動する場合もタツノによると、吹きこぼれの多くは、給油が自動停止したあとの「継ぎ足し給油」が要因とのこと。自動停止後に継ぎ足し給油をしないよう、注意喚起しているそうです。
ただ総務省消防庁によると、満タンで作動するはずの自動停止機能が、満タンになる以前に働いてしまう事例も確認されています。日本自動車工業会の見解では、ノズルから吐出されたガソリンがフィラーチューブ(給油口と燃料タンクをつなぐパイプ)内で跳ね返り、自動停止のセンサーにかかることで誤作動するケースがあるとされています。

総務省消防庁らの検証でも、ノズルの差し込み具合は車種により様々だった(画像:総務省消防庁)。
そもそも、給油ノズルやガソリンタンクの形状に決まりはあるのでしょうか。タツノによると、給油ノズルはガソリン用と軽油用で、誤給油防止のため太さ(口径)が異なるものの、長さや角度については共通で、1988(昭和63)年以来、ISOという国際規格に準拠しているそうです。一方、ガソリンタンクは自動車メーカーや車種によって異なり、フィラーチューブも複雑な形状になっているといいます。
ちなみに、ノズルの根もとには、刀のつばのような丸いゴム製部品が取り付けられていることがありますが、これは「スプラッシュガード」と呼ばれるもの。万が一ガソリンが吹きこぼれた場合に、人体へかかるのを防ぐために設置されています。
【写真】クルマの給油口も変化「キャップレス給油口」とは

日産「セレナ」に採用されたキャップレス給油口。給油ノズルを差し込むとキャップが内側に倒れ、ノズルを引き抜くと自動で戻り、給油口が密閉される(画像:日産)。