給油口のふたの開け方は、運転席にあるレバーを引いて開ける、あるいはふたを外から直接押して開けるなど様々です。同じメーカーでも車種により開け方の異なるケースもありますが、何か基準はあるのでしょうか。
初めて乗るクルマで給油する際、給油口の開け方に迷い、店員に「給油口を開けて」といわれ戸惑う人もいるかもしれません。給油口の開け方、何らかの法則性はあるのでしょうか。
給油口のイメージ。ふたの上から押して開けるタイプのもの(画像:Wodthikorn Phutthasatchathum/123RF)。
結論からいえば、給油口の開け方に明確な基準はありませんでした。運転席にあるレバーやボタンを操作して開ける方式もあれば、ふたを外から直接押す、あるいは引き上げて開けるタイプもあります。また、一部の商用車や輸入車などでは、キャップの鍵穴にキーを挿して開けるタイプもあり、そもそも給油口のふたがないというケースも存在します。
たとえばホンダでは、給油口の開け方は車種によりバラバラとのこと。「セルフのガソリンスタンドが普及するとともに、ふたを直接押して開ける方式が若干増えましたが、運転席のレバーやボタンで開けるタイプは、その位置も車種ごとに異なるなど、『このクルマだからこう』という基準がない状況です」と話します。なお、ふたを直接押して開けるタイプは一般的にドアロックと連動しており、ホンダ車のそれも、停車中にドアロックを解除した状態で開けられるようになります。
一方ダイハツでは、乗用車系は基本的に運転席のレバーで開ける方式だそうですが、レバーの位置は、ある程度部品を共通化している車種ならば似通うものの、やはり車種により異なるといいます。ただし、今後はふたを直接押して開ける方式の導入も検討しているとのこと。
マツダも現行の乗用車では、基本的には運転席のレバーで開ける方式を採用しているものの、「ロードスター」は給油口のふたを直接押す方式だそうです。「運転席から給油口につながるワイヤー機構を簡略化するためで、スポーツカーとしてグラム単位まで軽量化を図った結果です」と話します。また、2019年5月に発売された「マツダ3」も給油口のふたを直接押す方式が採用されました。
むしろ簡単に開かない方がいい?前出のとおりマツダでは、運転席のレバーで開ける方式でほぼ統一されていますが、そのような決まりがあるわけではないそうです。とはいえ、この方式はメーカー問わず普及していることからも、踏襲されてきたのではないかと話します。
このように、給油口の開閉方式はメーカーのなかでも明確な基準が定まっているわけではないものの、ある自動車メーカー関係者は、その車種が国内専売なのか、あるいは海外のどのような地域で販売するかによっても、変わってくると指摘します。
「もともと給油口には、ガソリンを抜き取られないようにするための防犯対策が考慮されています。日本は安全ですが、海外ではガソリン泥棒の被害が聞かれる地域があります。ふたを直接押して開ける方式も、ドアロック解除中にしか開かないとはいえ、かんたんに開いてしまうことを不安に思う人もいるでしょう」(自動車メーカー関係者)

運転席の床にある給油口を開けるレバー(画像:写真AC)。
ちなみに、給油口が車体の右にあるか左にあるかは、メーカーにより統一されていることもあれば、混在しているケースもあります。たとえばマツダ車ではすべて車体の左側ですが、これも車種ごとのデザインの特徴や配管の取り回し、部品の共通化を考慮した結果論でしかなく、明確な基準があるわけではないそうです。

燃料計にあるガソリン計量器マークの近くに、給油口の位置が▲で記されている。このクルマの場合は車体の左側(2017年4月、恵 知仁撮影)。