成田空港に隣接する航空科学博物館が、開館30周年でリニューアル。滑走路風の玄関を入ると、館内には「ジャンボ」の大型可動模型やパノラマビジョンが。
航空科学博物館(千葉県芝山町)が開館30周年にあわせてリニューアルし、2019年7月29日(月)、館内を報道陣に公開しました。
正面玄関は成田空港A滑走路をイメージ。
航空科学博物館は日本最初の航空専門の博物館として、1989(平成元)年8月1日、成田空港に隣接して開館。そして今年、開館30周年を迎えることから、展示施設の大幅なリニューアルや「体験館」の新設などを行いました。
来館者を迎える玄関は、空港の滑走路をイメージしています。大きく書かれた「34L」の文字は、成田空港A滑走路(長さ4000m)と同じです。夏はこのA滑走路から離陸する飛行機、冬は着陸する飛行機が多いといいます。
本館西棟展示室は、ボーイング747-400型機「ジャンボ」の8分の1スケール大型可動模型が設置されました。フラップ(高揚力装置)や車輪などが動くほか、コクピットシミュレーターを操縦すると、模型が連動します(定員2人、1組200円)。壁と床をスクリーンに見立てたパノラマビジョンが映し出され、実際に操縦している感覚を体験できるといいます。
今後は、実際のボーイング747型機エンジンとプロジェクションマッピングを組み合わせて、仕組みを解説するコーナーも開設する予定です。
本館西棟の階段を2階に上ると、300機の飛行機模型が現れます。これは模型を用いて、飛行機の歴史を黎明期、発展期、成熟期の3段階に分けて紹介するコーナー「航空史立体年表」です。飛行機の模型は、同館が保有する約1000機から厳選したものといいます。

ボーイング747-400型機の大型可動模型。車輪を格納中(2019年7月29日、乗りものニュース編集部撮影)。

西棟展示室の操縦シミュレーターから大型可動模型を望む。

模型とともに歴史を紹介する航空史立体年表。
本館東棟展示室のNAA(成田国際空港)コーナーもリニューアルしました。成田空港に就航した飛行機を写真で振り返る「NRT Airliners」など4コーナーを新設。従来の800分の1スケール成田空港ジオラマなども引き続き展示されています。
最上階の5階展望展示室にはDJブースが設置され、スタッフによる空港や飛行機の解説が行われる予定です。
今回のリニューアルで新設された付属棟の「体験館」は、1階が天井高10mの吹き抜けになっています。200人を収容できる多目的ホールの機能をあわせ持ち、イベントなどに使われます。
体験館の2階には、操縦シミュレーター2台を新たに設置。機種は、一般利用として国内初というボーイング777型機と737MAX型機です。ボーイング777型機はオープンタイプで、車いすの人でも体験できるよう、いすは汎用のものを使用。シミュレーターは本館のボーイング747-400型機、ダグラスDC-8型機を含めると、4機種が体験できます(操縦体験は別途有料)。
開館30周年記念イベントを開催体験館には、さらに秋ごろ、機内を疑似体験できるモックアップを追加。また、同館3階にもバリアフリー対応の展望台が設けられる予定です。

車いすの人も体験できるオープンタイプの操縦シミュレーター。

ボーイング737MAX型機の操縦シミュレーター。

記念式典の様子。中央が同館の永井隆男理事長
「この博物館は30年間で600万人が訪れました。
この日行われた記念式典には、NAAの田村明比古社長、芝山町の相川勝重町長をはじめ約100人が出席。乾杯の音頭を取った東京大学大学院の鈴木真二特任教授は「これからの課題は人材確保です。航空を好きになってもらうのが使命だと考えています」と話しました。
開館30周年記念日の8月1日(木)には、先着1000人に記念品を配布します。3日(土)と4日(日)にはイベントを開催。博物館スタッフによる折り紙飛行機教室や、LCC(格安航空会社)のスプリング・ジャパン(春秋航空日本)スタッフによるプレゼンテーションなどを行います。玄関前広場では屋台グルメコーナーも開かれる予定です。
なお、リニューアルに伴い入館料が改定されます。8月1日(木)以降は大人700円、中高生300円、子ども(4歳以上)200円です。