東京~高松・出雲市間を結ぶ寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」は、毎日運転の定期列車としては唯一の夜行列車で寝台列車。昼間の列車とは異なる客室の設備やきっぷの買い方、注意点などをまとめました。

さまざまな種類の寝台車を連結

 日本では新幹線や飛行機など昼間の交通機関の発達に伴い、夜行列車が衰退。毎日走っている夜行列車は寝台特急「サンライズ」だけになりました。

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毎日運転の定期列車としては唯一の夜行列車となった寝台特急「サンライズ」(恵 知仁撮影)。

「サンライズ」は、おもにベッドを設けた寝台車で構成される、夜行の特急列車。東京と四国の高松を結ぶ「サンライズ瀬戸」と、中国地方の出雲市を結ぶ「サンライズ出雲」があり、東京~岡山間は「瀬戸」と「出雲」が連結して走ります。寝台はすべて個室タイプのため、周囲の目を気にすることなく寝られます。

「サンライズ」の寝台を利用する場合、乗車券のほかに特急券と寝台券が必要です。通常、特急券と寝台券は1枚のきっぷにまとまって発売されます。全席指定扱いのため、事前の予約なしには乗れません。

 乗車券と特急券は昼間の列車と同じく、利用する区間によって値段が変わります。一方、寝台券は次のように寝台の種類によって金額(1室分)が変化。寝台ではなく部屋ごとに発売されるため、知らない客と相部屋になることはありません。

各タイプの寝台料金

・A寝台1人用個室「シングルデラックス」:1万1310円
・B寝台2人用個室「サンライズツイン」:1万1520円
・B寝台1人用個室「シングルツイン」:9430円(2人用個室として使う場合の補助ベッド使用料は5400円)
・B寝台1人用個室(広いタイプ)「シングル」:7560円
・B寝台1人用個室(狭いタイプ)「ソロ」:6480円

唯一の寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」乗り方は? 必要なきっぷ、値段、注意点

B寝台1人用個室の「シングル」2階室(2016年4月、草町義和撮影)。

「サンライズツイン」か「シングルツイン」(補助ベッドを使って2人用個室として利用)を2人で利用する場合、乗車券と特急券は2人分、寝台券は1室分が必要です。一方、「サンライズツイン」を1人で使う場合の金額は、乗車券が1人分、寝台券が1室分ですが、特急券は2人分が必要になります。

 B寝台1人用個室「シングル」で東京~高松間を移動する場合、合計の金額は2万2110円。その内訳は乗車券が1万1310円、特急券が3240円、「シングル」寝台券が7560円です。東海道・山陽新幹線「のぞみ」と快速「マリンライナー」の乗り継ぎ(通常期の普通車指定席を利用)に比べ、3240円高くなります。

「深夜の日付」は特に注意

「サンライズ」には寝台だけでなく「ノビノビ座席」という格安の「座席」もあります。座席といってもカーペット敷きのスペースですが、実際は普通車指定席の扱いです。そのため寝台券は不要で、東京~高松間なら合計1万5070円。夜行バスより高めですが、体を横にして寝られるのは大きなメリットです。

唯一の寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」乗り方は? 必要なきっぷ、値段、注意点

カーペット敷きの「ノビノビ座席」は普通車指定席の扱いだが体を横にして寝られるスペースが確保されている(2017年6月、草町義和撮影)。

「サンライズ」のきっぷは、JRのみどりの窓口やおもな旅行会社で購入できます。

列車が発車する日の1か月前の午前10時から発売。8月6日に東京駅を発車する下り「サンライズ」のきっぷは、7月6日の午前10時から発売されます。

「サンライズ」は非常に人気が高いため、できるだけ早めに申し込むのが吉。さまざまな種類の寝台と座席がありますから、購入時は「ノビノビ座席」が満席なら「シングル」、「シングル」も満席なら「ソロ」というように、第1希望から第3希望くらいまで種類を変えて申し込むのも手です。

 また、「サンライズ瀬戸」と「サンライズ出雲」が連結して走る東京~岡山間では、「瀬戸」が満席でも「出雲」は空いていたり、逆に「出雲」が満席で「瀬戸」には空きがあることも。停車駅と時刻は同じですから、東京~岡山間の範囲で利用するなら、両方の列車とも空席の有無を確認するほうがいいでしょう。

 なお、JRのネット予約サービスで「サンライズ」のきっぷは買えませんが、2019年7月から「ノビノビ座席」に限りJR東日本の「えきねっと」で買えるようになりました。ただし、きっぷを受け取れる場所は多くの場合、JR東日本のみどりの窓口や旅行センター「びゅうプラザ」に限られるなどの制約があります。

 きっぷの購入に際して念入りに確認しておきたいのが乗車日。8月9日夜から8月10日朝にかけて下り「サンライズ瀬戸・出雲」を利用する場合、乗車日は東京駅(22時00分発)が「8月9日」ですが、途中の静岡駅(午前0時20分発)や浜松駅(午前1時12分発)は日付が変わって「8月10日」になります。

「8月9日の深夜」に静岡駅から乗るつもりで「8月9日」のきっぷを買ってしまうと、当日(8月10日)は列車に乗れないどころか、きっぷが無効で変更や払い戻しも不可能になりますから注意しましょう。

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