JALが新導入する「エアバスA350-900型機」のテストフライトに搭乗。実際のフライトにおける客室の様子を体験しました。
JAL(日本航空)が2019年8月27日(火)、新導入の機材、「エアバスA350-900型機」のテストフライトを実施。報道陣を乗せ成田~新千歳、新千歳~中部、中部~羽田の3区間を飛行しました。
JALエアバスA350-900型機の初号機(2019年8月27日、乗りものニュース編集部撮影)。
9月1日(日)の羽田発、福岡行きのJL317便でデビュー予定のエアバスA350-900型機は、「エアバスA350 XWB」シリーズのひとつ。XWBは「エクストラ ワイド ボディ(eXtra Wide Body)」を略したものです。
胴体はカーボン素材、そのメリットって?

JALエアバスA350-900型機の胴体(2019年8月27日、乗りものニュース編集部撮影)。
A350 XWBシリーズの機体は、全体の53%で炭素繊維複合材(カーボン素材)が使用されています。エアバスによるとカーボン素材は高い耐腐食性を持ち合わせており、整備も容易になるといいます。
利用者にとっても、カーボン素材の飛行機はメリットがあります。金属よりさびに強いことから、これまでより客室の湿度を高くできます。

JALエアバスA350-900型機の客室を後ろから(2019年8月27日、乗りものニュース編集部撮影)。
A350 XWBシリーズの機内デザインは、エアバスの客室ブランド「Airspace(エアスペース)」を採用。手荷物の収納棚はスーツケースを縦に収納でき、全クラスで乗客1人がひとつ以上のスーツケースを持ち込めるといいます。天井は、床面から中央荷物収納棚まで186cm以上。窓側の壁も垂直に近く、圧迫感が少なくなっているとのこと。照明はLED技術を採用。機内の空気も2~3分ごとに入れ替えられるといいます。
エンジンの「低騒音」もウリ

ロールスロイスのトレントXWBエンジン(2019年8月27日、乗りものニュース編集部撮影)。
搭載されているエンジンは、JAL初というロールスロイス(イギリス)製のトレントXWB。
JALではA350 XWBシリーズを、ボーイング777シリーズの後継として導入。A350-900型機が18機、同シリーズの長胴型であるA350-1000型機が13機、あわせて31機の確定発注と、さらにオプションとして25機の購入契約をエアバスと締結。JALがエアバス機を新規に導入するのは、今回が初めてのことです。

初号機は「『挑戦』のレッド」の特別塗装(2019年8月27日、乗りものニュース編集部撮影)。
JALが「挑戦と成長を続けるJAL」の象徴として導入するというA350 XWBシリーズ。この度テストフライトを行ったA350-900型機のJAL初号機(機番:JA01XJ)は、「『挑戦』のレッド」の特別塗装機。なお、2号機は「『革新』のシルバー」、3号機は「『エコ』のグリーン」のテーマで、機体後部にそれぞれの色で「AIRBUS A350」と大きく書かれます。
「『挑戦』のレッド」は国内線仕様

入口には、JALのシンボル「鶴丸」が(2019年8月27日、乗りものニュース編集部撮影)。
JALのA350-900型機初号機は、国内線仕様のもので全369席を搭載。ファーストクラス(12席)は横2-2-2列、クラスJ(94席)は2-4-2列、普通席(263席)は3-3-3列の配置が基本の3クラス構成です。

普通席にもUSBポート、電源コンセント、モニター装備(2019年8月27日、乗りものニュース編集部撮影)。
A350-900型機のシートは、新開発されたものを全クラスで導入。すべての座席でUSBポートと電源コンセントを装備しており、ふたつ同時に使用することもできます。モニターも全座席に設置されているほか、機内Wi-Fiも無料で使えます。
ファーストクラスは電動マッサージ付き、ソファのような座り心地

新開発の国内線ファーストクラス(2019年8月27日、乗りものニュース編集部撮影)。
国内線ファーストクラスは、ソファをイメージした仕上がり。国内線で最大級という15.6インチのモニターを装備。可動式のディバイダ―(仕切り板)も設置されているほか、国内初という「電動マッサージ」機能も備わっています。
席やモニターだけじゃない、共有部分にも工夫!クラスJでは角度を自分の好みに調整できるフットレストを装備。普通席はヘッドレストを上下に動かすことができ、体の大きさに合わせた調整が可能です。

新開発「クラスJ」シートピッチは約97cm(2019年8月27日、乗りものニュース編集部撮影)。
機内モニターのカメラは2視点!

2視点の機外カメラは滑走路のタイヤ痕まで見える(2019年8月27日、乗りものニュース編集部撮影)。
機内モニターも、新導入の機能を備えます。機外カメラはフロントビュー(機首部分)だけでなく、ウイングビュー(垂直尾翼)を搭載。ふたつの視点から機外の景色を見ることができます。
ビデオプログラムも進化

「レジュームコード」の発行イメージ(2019年8月27日、乗りものニュース編集部撮影)。
機内のビデオプログラムで視聴が中断した場合、8桁の番号「レジュームコード」が画面上に発行されます。これは飛行機を降りた後でも引き継がれるので、次回搭乗時に「レジュームコード」を打ち込めば、プログラムをその続きから見られます。
トイレの空き具合も一目瞭然でわかる

各ブロックの前後にトイレランプが設置(2019年8月27日、乗りものニュース編集部撮影)。
共用部分にも工夫がされています。客室内10か所にトイレランプを設置。トイレが使えるときは緑色、使えないときは赤色になります。座席のほとんどで、自席から移動することなくひと目でトイレの空き具合を確認できます。
羽田~新千歳線、那覇線でも導入予定

グラデーション塗装のウイングレットも特徴(2019年8月27日、乗りものニュース編集部撮影)。
この日のテストフライトは、3区間、計6時間弱を飛行しました。JALのA350運航乗員部の杉本 恒副部長は「操縦していても静かな飛行機だなと思いました。気圧などの点からも工夫が凝らされているので、ぜひ乗っていただき確かめてもらえればと思います」と話します。
JALのA350-900型機は、まず9月1日(日)から羽田~福岡線で1日あたり3往復(6便)に投入。その後10月27日(月)から羽田~新千歳線で4往復(8便)、2020年2月1日(土)から羽田~那覇線で1往復(2便)それぞれ運航する計画です。