しばしば報じられる「バードストライク」のトラブル。実は、日本では毎日のように発生しており、たいていは問題なく運航を継続しています。
飛行機に鳥がぶつかるトラブル「バードストライク」、日本では2018年、1434件発生しています。国土交通省の資料によると、7月から11月にかけてが多く、10月がピークだそうです。
バードストライクのおよそ半分は、滑走中など地上にいるときに発生します。鳥が滑走路に、虫などの餌を探して飛んでくるためです。また発生個所で一番多いのは、実は機首(ノーズ)の部分。ついで翼、エンジンです。
ボーイング777型機のエンジン吸気口(2019年7月、乗りものニュース編集部撮影)。
現在の飛行機は、バードストライクに遭遇しても、ある程度までは影響がないよう設計されています。
特にエンジンは、鳥を吸い込んでしまうとブレードが壊れて機能が止まり、飛行できなくなる可能性もある部分。そのため設計段階で、ニワトリなどの鳥を実際にエンジンへ打ち込む耐久テストが行われ、そのクリアが必要です。
このためバードストライクに遭遇しても、そのまま目的地まで行き、そののち整備するケースが一般的です。2018年のバードストライク発生件数1434件のうち、引き返しや離陸の停止は24件(約1.6%)。ほとんどの場合、そのまま到着地へ無事にたどりついています。
バードストライクでの損傷率は2%、最も確率が高い部分、空港は?バードストライクに遭遇した飛行機に損傷が発生する確率は、2018年の日本では約2%(39件)でした。最も機体の損傷につながっている鳥は、600gから1kgの重さが一般的な「トビ」だそうです。
損傷の確率が一番高かった部分はエンジンで、約7%(17件)。なお、最も多く当たっていた機首部分は約1%(6件)です。
なお、エンジンは1.8kgのニワトリを吸い込んでも、飛行を続けられるよう設計されていますが、エンジンが損傷するかどうかは、鳥の大きさだけでなく、ぶつかった状況にもよります。また、羽数も1羽とは限りません。

日本でバードストライクが最多発生する羽田空港(2019年7月、乗りものニュース編集部撮影)。
空港別に見ると、海に面した空港では、バードストライクが多くなる傾向があります。
空港でもバードストライク対策をしているものの、鳥と人間との“知恵比べ”状態が続いています。爆音を出す機械などを導入しても、鳥が順応していまい、効果は一時的なのだそうです。
おもな対策としては、空港内の目視巡視が一般的。発生件数最多の羽田空港は、2012(平成24)年から専用レーダーを導入しており、目視と合わせて24時間体制の警戒を行っています。
なお日本の航空会社では、バードストライクが原因の事故は発生していません。世界で見ると、2019年8月にロシアのウラル航空178便が遭遇。滑空状態でトウモロコシ畑に不時着し、全員生還しています。