上野動物園モノレールが、40形車両の経年劣化にともない運行を休止。ラストランイベントが行われました。

なぜ「車両の新造」や「路線廃止」ではなく、「運行休止」になったのでしょうか。また今後、どうなるのでしょうか。

車両の経年劣化で運行休止

 東京都交通局が運営する上野動物園モノレール(上野懸垂線)が、2019年10月31日(木)の夕方をもって運転を休止。車両(40形)の経年劣化にともなうもので、西園駅を17時頃に発車した最終列車に合わせて、見送りなどのイベントが開催されました。

 この路線は道路混雑が深刻化するなか、「将来の新しい都市交通機関」の実証実験として、1957(昭和32)年12月17日に開業した日本初のモノレールです。動物園の遊戯施設ではなく、鉄道事業法に基づく交通機関として、上野動物園の東園と西園のあいだ0.3kmを結んでいます。

上野動物園モノレールが運行休止 62年の歴史にひとまず幕 都...の画像はこちら >>

「上野動物園モノレール40形車両ラストランイベント」の様子(2019年10月31日、恵 知仁撮影)。

「お子様の、モノレールに乗って楽しかったという声が、とても心に残っています。今年1月に休止を発表してから、多くのお客様にご乗車いただき、別れを惜しむ多くのメッセージをいただきました」(上野動物園モノレール 永田一秀駅長)

 最終列車には、抽選で当たった50名が乗車。2000名の応募があり、40倍という競争率だったそうです。また明日11月1日(金)から24日(日)まで、東園駅で40形を展示する予定とのこと。

なぜ「休止」に? 高額な車両更新費用

 このたびラストランを迎えた40形車両は、上野動物園モノレールの4代目として2001(平成13)年に登場。

1編成2両のみの存在で、予備の車両はありません。

上野動物園モノレールが運行休止 62年の歴史にひとまず幕 都民から意見聞き今後を検討

ラストランを迎えた上野動物園モノレールの40形電車(2019年10月31日、恵 知仁撮影)。

 運営する東京都交通局ではその経年劣化にあたり、車両の更新などについて検討を重ねてきたといいます。しかし、実験的に生まれた路線を走る国内唯一の特殊な車両で製造に3年程度を要すること、車両以外にも電気関係の設備などについて大規模更新が必要であること、合わせて上野動物園全体で魅力向上に取り組んでいく必要があることから、このたびの“休止”に至り、その今後については、都民の意見を聞くなどしながら検討していくといいます。

 なお、車両の更新には18億円(8%税込)が必要という見積もりが、車両メーカーから出されています。40形導入時の4倍以上の額です。

 上野動物園モノレールの運賃は大人150円、子ども80円で、1日平均およそ3700人(2018年度)の利用者数。東京都交通局が公表している2017年度決算の概要によると、経常損益は2400万円の黒字でした。

 モノレール休止後の東園と西園のあいだには、無料の連絡バスが運転されます。

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