小田急電鉄に、12年ぶりとなる新型の通勤電車5000形が登場。車内が拡幅車体の採用により広くなっているほか、数字以上に開放感があるよう工夫されているのが大きな特徴です。

今後、この5000形で古い車両を置き換えていくといいます。

2007年以来、小田急電鉄12年ぶり

 東京都・神奈川県内に路線網を持つ小田急電鉄が2019年11月11日(月)、新型の通勤車両「5000形電車」を、唐木田車庫(東京都多摩市)で報道陣へ披露しました。2007(平成19)年に登場した4000形電車以来、小田急電鉄12年ぶりの新型通勤電車です。

 外観は、「時代を越えてお客さまの生活に溶け込めるよう、価値観の変化にとらわれないシンプルなデザイン」にしたうえで、先頭部を流線形にすることでスピード感を強調したとのこと。

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小田急電鉄12年ぶりの新型通勤電車5000形(2019年11月11日、恵 知仁撮影)。

 そして、オールステンレスの車体が持つ質感をそのままに、「アズールブルー」「インペリアルブルー」の帯をあしらい、スマート感を表現したそうです。

 また、車両固有の番号を表示する位置が車体上部になっているほか、非常時に車外から乗降用ドアを開けられるコックが、車両連結面の上のほうにも用意されました。ホームドアの存在を考えたものといいます。

 この5000形は10両編成(固定)で、編成定員は1528名。運行区間は小田急線内のみです。東京メトロ千代田線、JR常磐線には直通しません。ちなみに「5000形」の「形」は、「がた」と読みます。

小田急の新型5000形電車、車内の特徴は? 実際以上に開放感を出す工夫

 小田急電鉄12年ぶりの新型通勤電車5000形、そのキーワードは「より広く、より快適に」です。車内空間の広さ、明るさ、安心感、優しさなど、通勤環境の快適さを追求したといい、拡幅車体の導入で車内スペースを拡張。車幅は2900mmと、クリーム色の8000形電車と比べるとプラス10mmですが、現在の主力車両である3000形電車や4000形電車より110mmから130mm、広くなっています。

小田急 新型通勤電車5000形登場 拡幅で広くなった車内 数字以上にそう見せる工夫も

小田急電鉄12年ぶりの新型通勤電車5000形の車内(2019年11月11日、恵 知仁撮影)。

 担当者によると、車両間の仕切り扉や荷棚、座席横の仕切り部分に大型強化ガラスを採用し、実際の数字以上に広く、開放感があるように工夫したとのこと。照明を天井埋め込み型にすることで、閉塞感の緩和も図っているそうです。

 また、各車両に車いすスペース1か所、防犯カメラ4台、空気清浄機8台を用意。車内環境や安全性の向上を図っているといいます。

古い10両編成の車両を5000形で置き換え

 5000形は2019年度中に1編成10両、2020年度に5編成50両、合わせて6編成60両が導入される予定。車両は川崎重工業、総合車両製作所、日本車輌製造の共同設計ですが、この6編成は川崎重工業、総合車両製作所で製造される計画とのこと。

 営業運転の開始は2020年3月中が見込まれており、この新型5000形電車の導入により、古い10両編成の車両を置き換えていくそうです。

小田急 新型通勤電車5000形登場 拡幅で広くなった車内 数字以上にそう見せる工夫も

天井埋め込み型のLED照明を採用し、閉塞感を緩和した小田急5000形(2019年11月11日、恵 知仁撮影)。

 小田急電鉄は「2018年3月に完成した代々木上原~登戸間の複々線を活用して、朝の通勤時間帯を中心に抜本的な輸送サービスの改善を図りました。新型通勤車両『5000形』の導入を推進して、さらに快適な輸送サービスの実現を目指します」としています。