ANA HDが「遠隔社会見学」の授業を行いました。交通アクセスが制限されている九州、大分県の北部にある島「姫島」、ここに住む子供たちが、東京国立博物館をアバターロボット「ニューミー」を用いて、遠隔の「校外学習」をします。
ANA HD(ホールディングス)が2020年2月18日(火)、同社が手掛けるアバターロボット「ニューミー(newme)」を用いて、大分県の離島、姫島村の子どもたちに対し、島の小学校の教室にいながら東京国立博物館を見学するという、「遠隔社会見学」の授業を実施しました。
ANA HDのアバター「ニューミー」を用いた「遠隔社会見学」の様子(2020年2月18日、乗りものニュース編集部撮影)。
「アバター」とは、たとえば仮想空間における、操作者の分身たるキャラクターなどを指す言葉で、「化身」といった意味になります。
ANA HDが開発したアバターロボット「ニューミー」は、遠隔操作で移動させたり、ロボットの側にいる人とテレビ電話のように会話したりでき、またロボットが受け取った「感覚」を操作者にフィードバックすることで、操作者はこれを疑似体験できるというものです。
この「ニューミー」を使った実証実験やイベントを、ANA HDは多方面で展開しています。18日に公開された授業で「ニューミー」を操作したのは、大分県姫島村の小学校に通う子どもたちです。姫島村は大分県北部にある離島で、九州本島とはフェリーで結ばれていますが、交通の便は限られています。
「ニューミー」を使った遠隔「校外学習」の内容とは……。この授業では、子供たちが教室のパソコンから東京国立博物館にある「ニューミー」を遠隔で操り、リアルタイムで展示物を見学していきました。「ニューミー」には同博物館の学芸員がガイドとして付き添い、展示物の解説をします。
また教室には、東京国立博物館に保管されている、長谷川等伯による国宝「松林図屏風」のレプリカがお目見え、これを間近で鑑賞しました。解説するのは、教室内に置かれた「ニューミー」を東京から操作する、独立行政法人 国立文化財機構 文化財活用センターの講師です。

ANA HDのアバター「ニューミー」を用いた「遠隔社会見学」の様子。ミニ屏風を制作するワークショップも実施された(2020年2月18日、乗りものニュース編集部撮影)。
なお、去る13日(木)にはこの地域の中学生を対象に対し、同様の授業が実施されています。
ANA HDはアバターロボットを、体の移動をともなわずとも意識をその土地に移動できる「新しい移動手段」して考えているといい、「ニューミー」はその先駆けと位置付けているとのことです。今後、同社は学校や教育機関と連携し、アバターによる教育体験を提案するほか、アバターが社会インフラとして活用されることを目指し、教育や観光などさまざまな分野で検証を続けるとしています。