鉄道車両のなかには、当初の役割を終えたのち大改造され、見違えるほど“変身”したものがあります。そのひとつが、JR九州の観光列車「ゆふいんの森」に使用される、キハ58形とキハ65形の改造で誕生したキハ71系ディーゼルカーです。
鉄道車両のなかには、改造で大変身したものもあります。
いまや全国各地で見られる観光列車。それぞれ凝ったデザインや独自のサービスを提供していますが、その立役者といえるJR九州のキハ71系「ゆふいんの森」も、改造で生まれた車両です。
キハ58形とキハ65形の改造で生まれたキハ71系「ゆふいんの森」(伊原 薫撮影)。
1989(平成元)年に、JR九州は博多~由布院~別府間を結ぶ特急「ゆふいんの森」の運行を開始。観光地に向かう特急列車ということで、乗った瞬間から旅気分を味わえるよう、専用のキハ71系ディーゼルカーを登場させると、これまでにない半円状の前面や、全体の床を高くしたハイデッカー構造の客室、地元産のビールやおつまみが味わえるビュフェなどが大きな話題となりました。
優雅でレトロな雰囲気の漂うキハ71系ですが、実はなんと、国鉄時代から急行列車などで広く使われてきたボックスシートのキハ58形ディーゼルカーと、キハ65形ディーゼルカーの改造によって生まれています。といっても、車体部分は新しく造られており、元の車両の面影はまったく残っていません。一方、走行機器はそのまま流用され、のちにエンジンなどが交換されていますが、台車はいまも元の車両のものが使われています。
JR九州では、「ゆふいんの森」がデビューする前年の1988(昭和63)年に、SL「あそBOY」の運転を開始。2000年代以降は、九州内の各路線で観光列車を次々に導入していますが、「ゆふいんの森」はそのひとつのきっかけとなった列車といえます。
なお、「ゆふいんの森」はこのキハ71系に加え、キハ72系を使った編成も存在します。

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