日本ではまだ馴染みが薄いものの、海外では1万kmを超える長距離路線の定期便を飛ばすLCCも見られます。そのなかの最長路線はどこで、その飛行時間や航空券の価格、そして機内の様子はどのようなものなのでしょうか。

直行便世界最長のLCC 飛行時間は半日超え

 日本でLCC(格安航空会社)といえば、国内線やアジア方面の近距離国際線が多数で、より長距離の移動にはJAL(日本航空)やANA(全日空)などのフルサービスキャリアを使うことが一般的です。

 一方、海外では長距離の国際線に就航しているLCCが増えており、それらの会社が運航する定期便の飛行時間は、フルサービスキャリアに匹敵、もしくはそれを上回るようなものもあります。

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ノルウェー・エア・シャトルのボーイング787-9型機(画像:Anna Zvereva[CC BY-SA〈https://bit.ly/2wIcuXA〉])

 では2020年4月現在、最も長いLCCの定期便路線は、どこなのでしょうか。

 オーストラリアに本拠を置く航空コンサルティング会社CAPAによると、LCC定期便のなかで最長の直行便となるのは、北欧にあるノルウェー・エア・シャトルグループのノルウェーエアUKが運航する、イギリスとアルゼンチンを結ぶロンドン~ブエノスアイレス線です。

 その距離はANAの最長国際線、成田~メキシコシティ線とほぼ同等の1万1000km超で、ロンドン発の飛行時間は13時間40分に上ります。2020年4月時点における公式ウェブ上の片道運賃は、約210ポンド(約2万8300円)からです。

 ここで使用されているのは、日本の長距離国際線でも使用頻度の高い複通路機(ワイドボディ機)のボーイング787-9型機です。ドリンクなどは都度購入が必要なものの、機内モニターが備わる普通席は横3-3-3列の編成で、座席の前後間隔も78cm前後と、日本のLCCで標準的な71cmより若干広くとられています。

経由便ありの世界最長は機内もすごかった 日本最長は?

 直行便ではなく途中経由地ありの定期便も含めると、世界最長のLCCの航空路線は、フランスのフレンチビーが運航する、フランスと南太平洋のタヒチ島とを結ぶパリ~サンフランシスコ経由~パペーテ(フランス領ポリネシア タヒチ島首都)線です。その距離は1万5000km以上で、フライト時間は22時間を超えます。公式ウェブページ上の運賃は、片道587ユーロ(約5万8000円)からとされています。

 使用している飛行機はエアバスの最新鋭機のひとつ、A350-900型機です。

普通席には、個人モニターが備わるものの、その座席レイアウトはユニークなものです。A350-900型機の座席配置は、横3-3-3列の仕様が標準的で、大半の航空会社がこれを採用しているのに対し、フレンチビー機は1列多い横3-4-3列の仕様です。

LCC最長の定期便路線はどこ? 飛行時間半日超え路線もあり チケット価格や機内仕様は

フレンチビーのA350-900型機(画像:ERIC SALARD[CC BY-SA〈https://bit.ly/2yddG5G〉])

 日本を発着するLCCのなかでの最長路線は、オーストラリアのジェットスター航空が運航する成田~ゴールドコースト線です。同路線の公式ウェブサイト上の運賃は片道2万4000円からで、その距離は約7200km、飛行時間は9時間弱です。横3-3-3列で、機内モニターが備わった普通席をもつ、ボーイング787-8型機が投入されています。

 なお、これらの路線は2020年4月現在、感染拡大が続く新型コロナウイルスなどの影響で、いずれも一時的に運休中です。

 そして2020年内に、日本でも初の中長距離国際線LCC「ジップエア(ZIPAIR Tokyo)」が誕生予定です。同社はまず、タイや韓国への路線から就航を始める予定ですが、将来的には北米路線にも参入も視野に入れており、実現すればLCCでの長距離フライトが日本でも行われることになります。

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