新型コロナの影響による外出自粛が徐々に緩和されるなか、JAL機の乗り方も大きく変わっています。そのJAL国内線に「乗るまで」を取材、利用者が気をつけるべきポイントはどういったところなのか聞きました。

JAL国内線では事前座席指定の活用を推奨

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため全国で発出されていた非常事態宣言が解除され、都道府県をまたぐ移動の自粛も6月19日(金)から解除されるなど、国内移動のハードルが低くなったことにともなって、国内航空便の需要も増えています。

 JAL(日本航空)は2020年6月15日(月)以降、国内線における運休、減便数を順次縮小し、新型コロナ禍以前の状態に戻す方針です。しかし飛行機の乗り方は、これまでと一緒というわけではありません。どこが変わり、利用者はどういったところに気をつけるべきか、JALの取り組みを取材しました。

JAL直伝「コロナ後のJAL国内線乗り方」とは? JAL機に...の画像はこちら >>

羽田空港のJALの飛行機(2020年6月15日、乗りものニュース編集部撮影)。

 JAL国内線が羽田空港で拠点とする第1ターミナルは6月15日現在、これまでと違った光景が広がっています。

スタッフはマスクをして利用者の対応にあたるほか、設備面でも次のような変更が見られます。

・カウンターにパーテーションを設置(作成はJALスタッフによるもの)。
・フロアに足跡や線のシールを設置。
・一部の自動チェックインカウンターの稼動を止め、利用者同士の横の距離を確保。
・チェックインカウンターや保安検査場入口に消毒液を設置。

 JALは、利用客が保安検査場を通過するまでに協力を求めたいポイントとして、次のように話します。

「国内線は事前座席指定をすることで、空港でのチェックインが不要となり、保安検査場へ直行できるようになります。空港内での手続き時の接触や混雑を避けるため、是非ご協力いただけますと助かります」(JAL 広報部)。

 ちなみに羽田空港の場合、検査場入口にはサーモグラフィが設置され、搭乗前の検温ができるようになっているのは第1、第2ターミナル共通ですが、第2ターミナルでは自身で画面を見て体温を測るものなのに対し、JALが入る第1ターミナルのものは検温の結果によってブザーが鳴り、そこで地上係員が体調を尋ね、チラシを渡すような形です。

荷物の消毒製品も要注意 搭乗時にも変化が

 新型コロナウイルスの影響で、消毒グッズを持ち搭乗する人が多くなっていると予想されるなか、保安検査場を通過する際、利用者が持ち込める消毒製品にも制限があります。JALの場合、大幸薬品のクレベリンの置き型、クレベリンスティックペンタイプ、フックタイプといった「製品に腐食性物質(亜塩素酸ナトリウム水溶性)が生じる一部空間除菌製品」は2020年6月現在、持ち込むことも預けることもできません。

 JALは、ジェルタイプの除菌剤など直接肌につけるものについては問題ないとしているほか、「機内に手指用の消毒液を順次配備させていただきます。

ご自由に使用ください」としています。

JAL直伝「コロナ後のJAL国内線乗り方」とは? JAL機に乗るまでに気をつけるポイントは

羽田空港第1ターミナルの保安検査場、サーモグラフィの画面は利用者から見えない(2020年6月15日、乗りものニュース編集部撮影)。

 保安検査場を抜けた羽田空港の搭乗ゲートも、新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに変化が見られます。おおむね出発フロアと同じように床に足跡や線の印をつけソーシャルディスタンスに配慮、飛行機へ乗り込む前に利用者が通る搭乗橋にも消毒液が設置されています。また搭乗人数を10人から20人ごとに分け、順次機内に案内することで、利用者同士の距離が詰まり、近づきすぎないようにしています。

 JALは利用者が気をつけるべきポイントとして、係員の指示や表示に沿って利用者同士の間隔を確保すること、マスク着用、手指消毒のほか、機内へ持ち込む手荷物の規定サイズを遵守し、できるだけ小さくしてほしいとしています。

「荷物預けを小さく」推奨のワケ

 JALによると持ち込み手荷物の極小化をポイントとしたのは、次のような理由があるとしています。

「手荷物の収容に時間がかかり機内でお客様が留まってしまうと、お客さま同士の間隔が確保できない可能性がございます。また大きなお荷物の収容には、客室乗務員のサポートが必要な場合があり、荷物を介して不必要な接触機会が発生してしまうこともあるので、機内に持ち込む荷物はできるだけ小さく少なくして頂けると助かります」(JAL 広報部)。

 なお、航空機メーカーのエアバスによると、機内の空気はおよそ3分で入れ替えられているため、飛行中の機内の空気は清潔に保たれている一方で、もっとも接触に気をつけなければならない場面は、「降機のとき人が近い距離で並ぶ」場面といいます。これと同様に搭乗の際にも「人が並ぶ」場面は発生します。

 また、「荷物の極小化」は空港のカウンターで手荷物を預ける際も関係します。

従来、カウンターに利用者が並ぶ光景は日常茶飯事でしたが、荷物を少なくすることで預ける人が減れば、そのぶん列も形成されず、利用者同士の接触機会も減らせる、というわけです。

JAL直伝「コロナ後のJAL国内線乗り方」とは? JAL機に乗るまでに気をつけるポイントは

羽田空港のJAL福岡便搭乗ゲート(2020年6月15日、乗りものニュース編集部撮影)。

 また、6月13日(土)からJALは、機内で利用者が自分の手や座席回りを拭くことができる除菌シートを順次、提供開始しています。使用する飛行機にもよるものの、搭乗口付近に除菌シートが入ったカゴを設置しました。

 6月15日に取材に応じたJAL執行役員の鳥取三津子 客室本部長は「お客さまと共に、常に衛生的で清潔な環境を作り、またこういった取り組みに関する情報は迅速にお届けすることで、今後更に安心いただける空の旅を提供したいです」と述べています。