新型コロナウイルスの影響が世界に広がるなか、外航貨物船乗組員の帰宅が難しくなっています。商船三井では、通常は6か月程度が基本であるなか、下船できず、約9か月の乗船も発生。
2020年、世界へ広がった新型コロナウイルスの脅威。世界各地を結ぶ船の世界にも、さまざまな影響が出ています。
そのひとつが「船員」です。
日本の大手海運会社のひとつである商船三井によると、通常、日本人乗組員は「6か月乗船、3か月休暇」というのが基本の勤務スケジュールであるところ、新型コロナウイルスの影響により下船できず、家族にも会えないまま最長で約9か月の乗船も発生しているとのこと。
商船三井のコンテナ船「MOL TRIUMPH」。世界最大級の全長400m、幅59m(画像:商船三井)。
世界の海を行く同社外航貨物船の日本人乗組員は、どこかの港で下船して飛行機で日本に帰国、その港には飛行機で日本から後任者が来ていて交代する、というのが通常の形です。
しかし、新型コロナウイルスの影響により各国で移動制限、入国制限が行われているため、下船できても後任者がその港に行けない、また、そもそも港で下船してその国に入国できない、という状況になっているからです。
ようやくオランダで4名 イギリスで2名がコンテナ船から降りる 国連も指摘全長およそ400mという世界最大級の船で、アジアと北欧州を結ぶ航路にて運航されている商船三井のコンテナ船「MOL TRIUMPH」。その日本人乗組員も下船が延びてしまい、ようやく1週間ほど前(2020年6月中旬)にオランダのロッテルダムで4名が、そして6月19日(金)、イギリスのサウサンプトンで2名が下船できたとのこと。
先述した「家族にも会えないまま最長で約9か月の乗船」というのも、この「MOL TRIUMPH」の日本人3等機関士で、2019年9月末から今回ヨーロッパへ到着するまで、乗船していました。
商船三井によると、普段のように船員交代できる状況にはほど遠く、多くの乗組員が家に帰れなくなっているそうです。
国連も6月12日(金)に声明を発表。貨物船などの運航にあたる数十万人の船員が上陸できない状態が続いていると指摘し、グテーレス事務総長が各国に改善を求めています。