JALの国内線が多数乗り入れる羽田空港の第1ターミナルで、空港内施設としては世界初という自動運転車いすを使ったサービスが始まります。羽田が選ばれたのは、そのターミナルの造りからとJALの担当者は話します。
JAL(日本航空)と、羽田空港の国内施設をおもに運営する日本空港ビルデング、近距離用の移動サービスを提供するWHILL(横浜市)が2020年7月1日(水)、羽田空港の第1ターミナルで、自動運転車いすを活用したサービスを開始しました。
空港での自動運転のパーソナルモビリティ(ひとり乗りの移送手段)の実用化は、世界初といいます。
羽田空港第1ターミナルに登場した「自動運転車いす」(2020年7月1日、乗りものニュース編集部撮影)。
このサービスは、同ターミナルの南端に位置する3、4、5A、5B、6、7番搭乗口から乗り込む利用者すべてが対象です。利用したい場合は保安検査場B通過後に設けられた待機場所から乗り込み、タッチパネルで任意のゲートを選ぶだけ。車いすは指定されたゲートを目指して自動で走り出します。用意された車いすは3台です。
搭乗口に到着した車いすは、その後一定時間(デモ走行では60秒)を経過すると自動運転で戻っていくよう設定。また、安全面も考慮し、ステレオカメラの画像情報から他の利用者と衝突する可能性があるときなどは自動停止する機能もあります。
「羽田だけは車いす使いたい」利用者要望が多いワケJAL空港企画部の大西康晴さんは、羽田空港に「自動運転車いす」を導入したのは同空港ならではの理由があるといいます。
「羽田空港は端から端まで800mあり、私たちも移動するのに疲れるときがあります。また長距離歩行にご不安を持つ方のなかでは、普段車いすでなくても、羽田空港だけは車いすを使いたいと思われる方もいらっしゃいます。

右がJAL空港企画部の大西康晴さん(2020年7月1日、乗りものニュース編集部撮影)。
なおJALによると、これは同社が提唱する「スマートエアポート」の取り組みのひとつといいます。JAL機に乗るまでの動線に先端技術を使うことで利用者の待ち時間を減らし、時間をより有効活用してもらうことを目指すもので、羽田空港では自動手荷物預け機もこの一例として挙げられます。
今後、羽田空港の自動運転車いすは、対応できるゲートの数を増やすことも検討しているとのことです。