中古車市場でも圧倒的な高値で売買されるという日産のR34型「スカイラインGT-R」。1990年代に発売され「スカイライン」シリーズでは最後の直列6気筒ターボを搭載した同車が、埼玉県警ではパトカーとして現役です。

埼玉にはR34型GT-Rの前にR33型GT-Rもいた

 日産「スカイライン」のなかでもいまだに根強い人気を保つ、「スカイラインGT-R」の最終型BNR34型、通称「R34」。同車は日産伝統の直列6気筒ターボエンジンを積み、なおかつテールランプ(尾灯)のレンズ形状も丸目4灯である最後の「スカイラインGT-R」です。

 令和の現在でこそ、「スカイライン」はあまりパトカーとして導入されなくなっていますが、昭和から平成にかけては全国で見られ、長年にわたって用いられてきた経緯があり、ノンターボの4ドアタイプも警ら用で納入されていました。

 ターボ仕様についても、各タイプが高速道路交通警察隊や交通機動隊などで使用されており、20世紀において「スカイライン」は、パトカーとして非常にポピュラーな存在だったのです。

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旭日章(警察章)が取り付けられたR34型「スカイラインGT-R」パトカーのフロントグリル(2019年1月、柘植優介撮影)。

 そのため「スカイラインGT-R」についても、1990年代初頭に登場したR32型のあとは、R33型、R34型まで連綿とパトカーとして納入され続けました。

しかしR32型と、R33およびR34型では厳然たる違いがありました。それは調達方法です。

 R32型「スカイラインGT-R」は警察庁が大量調達し、全国の都道府県警察に割り振る、いわゆる「国費調達」だったのに対し、R33とR34は各都道府県警察が地方自治体の独自予算で必要な数だけ調達する、いわゆる「県費調達」でした。

 そのため、R32型「スカイラインGT-R」パトカーが、警視庁や大阪府警、神奈川県警、静岡県警などで運用されたのに対し、R33型は神奈川県警(オーテック4ドア仕様)と埼玉県警だけであり、R34型に至っては埼玉県警のみの導入でした。

車歴20年でもいまだ現役 イベントで大人気のR34GT-Rパトカー

 前出のとおり、R34型「スカイラインGT-R」パトカーが配備されたのは、埼玉県警の高速道路交通警察隊だけでした。そのため、基本的には同県内の高速道路上のみが守備範囲だったわけですが、屈指の国産スーパースポーツである「スカイラインGT-R」のパトカー、そして埼玉県警にしかないという希少性から大きな注目を集め、その知名度は非常に高いものになりました。

 導入数は白黒のカラーリングのものが5台、覆面パトカー仕様のものが1台の計6台。現在は初期導入車から用途廃止が始まっていますが、いまだに複数が現役で、とくにボンネット上面にエアスクープ(空気穴)がなく、ウインカーがオレンジ色のマイナーチェンジ前のモデルが残っています。

 R34型「スカイラインGT-R」パトカーは、様々な意味で埼玉県警のパトカーを代表する存在です。パトカーとしてだけでなくクルマとしても圧倒的な知名度を持っているため、各種の公開行事などでは抜群の存在感を放ちます。

まだ現役!? 「スカイラインGT-R」パトカー 伝説の直6エンジンを積む希少車のいま

R34型「スカイラインGT-R」パトカーの18インチアルミホイール。標準装備のブレンボ製ブレーキキャリパーが確認できる(2019年1月、柘植優介撮影)。

 それでも全車、すでに導入から約20年が経過しています。また使い勝手などは4ドアのセダンタイプのパトカーの方が優れているため、イベント用としての維持がメインになるでしょう。

 なお、用途廃止になった初期導入車も、さいたま市浦和区にある県庁第二庁舎内の埼玉県警察PRセンターに展示されているため、そこに行けば見ることは可能です。