飛行機の座席はクラスが設定されていますが、航空券を見ると「ファーストクラス」は「F」であるものの、「ビジネスクラス」は「C」「エコノミークラス」は「Y」と統一されていません。なぜでしょうか。
飛行機、とりわけ国際線では座席のクラスは数タイプ設けられ、おおまかに上位から「ファーストクラス」「ビジネスクラス」「エコノミークラス」に分けられるというのが一般的です。
そして搭乗券には、座席番号や名前とともにクラスが記載されています。ただその券面を見ると、ファーストクラスは「First」の頭文字「F」ですが、ビジネスは「C」、エコノミーは「Y」です。なぜこのような不統一が生じているのでしょうか。
ANAの最新ビジネスクラス「The Room」(2019年、伊藤真悟撮影)。
ビジネスクラスの「C」のナゾに関わっているのが、かつてアメリカ航空業界のトップに君臨したパンアメリカン航空(パンナム)でしょう。
戦前、草創期の旅客機は非常にリッチな乗りもので、いってしまえば「ファーストクラス」のみだったそう。その後1950年代には、ファーストクラスとエコノミークラスの2クラスを備えるというスタイルも発生します。
ところが1970年代に「ジャンボジェット」ことボーイング747型機がデビューし、「団体割引運賃」が導入されたことなどで、特にエコノミーの航空券価格が大きく低下。これにより、エコノミーとファーストの料金差がさらに開いてしまった結果、ビジネスクラスに相当するものが誕生したとされています。
ビジネス、エコノミーがアルファベットの頭文字ではない理由先述の経緯にともなって、かつてのパンナムは「クリッパークラス(Clipper Class)」というものを導入しました。これが世界中の航空会社に広まったのが、現在のビジネスクラスといわれています。
ちなみにこの「クリッパー」という言葉をパンナムは重用し、世界的にもそれをパンナムの二つ名としていた傾向があり、機体の愛称や、同社機のパイロットと管制官のやり取りで用いられるコールサインなどで用いています。

パンナムのボーイング747型機。機首部分には「Clipper Rainbow」の文字が入っている(画像:clipperarctic[CC BY-SA〈https://bit.ly/2TugrZ0〉])。
そしてエコノミークラスの「Y」は、「Economy」の語尾をとったものという説が一般的です。この背景として考え得る有力な説の一つが、アルファベットの順番です。
エコノミーの頭文字をそのまま取って「E」とした場合、ファーストの「F」よりアルファベット順で先に来てしまいます。このことから、末尾の「Y」を使うことでファーストクラスの利用者に配慮した、というのが有力視されているものの一つです。