リアワイパーをあえて取り外しているクルマが見られます。そもそも不要なものなのでしょうか。
クルマのリアワイパーをあえて取り外し、車体に残ったボルト部分にキャップをしているクルマが見られます。そのキャップも、シンプルなボトルキャップのようなものから、「いいね」マークのような手をかたどったもの、さらにはネコミミ風まで、様々なものが販売されています。
カー用品店「オートバックス」を展開するオートバックスセブンによると、「リアワイパーを必要としない方もいらっしゃいます」とのこと。ハッチバックやミニバンなど、リアガラスが垂直に近い車種は、撥水加工などがされていれば、雨の日でもガラスから水が落ちやすいといいます。
ミニバンなどで、リアワイパーを取り外しキャップを付けているクルマが見られる(乗りものニュース編集部撮影)。
とりわけ1990年代、ミニバンが台頭してきたころには、リアワイパーを取り外す人が多かったそうで、「車種としては『S-MX』や『ステップワゴン』『ノア』『セレナ』などが挙げられるでしょうか」(オートバックスセブン)と話します。数は減ってきているものの、たとえばシフトノブを交換するのと同じように、クルマをオシャレにするカスタムのひとつだといいます。
元カスタムカー専門誌の編集担当だった40代男性によると、その筋では「リアワイパーがカッコ悪い」という意識があるとか。やはり、その取り外しとキャップの取り付けはカスタムの定番だと話します。
装備の有無も分かれるリアワイパーそもそもリアワイパーは、車検で必要なパーツではなく、特にセダンはついていないケースが多いです。一般的にセダンはリアガラスが傾斜していて、荷室も後ろに出っ張っているので、跳ね上げた水や泥もある程度防げるといえます。
一方、ハッチバックやワゴンのようなリア全体が直立に近い形状の車種では、リアワイパーも備わっている傾向です。日本で初めてリアワイパーを装備したクルマもハッチバック車、1972(昭和47)年発売のホンダ「シビック」でした。
そうしたなか、セダンも含め、ほとんどの車種にリアワイパーを標準装備しているのがスバルです。雨や泥、雪など、視界を遮るものを払拭して視界を確保することを「0次安全」という安全思想の大前提と捉える、その企業風土にも関係しているといいます。またスバル以外でも、寒冷地仕様のクルマでは、雪の払拭を考慮してリアワイパーを装備しているケースがあります。

スバル「インプレッサG4」。セダンでもリアワイパーがつく(画像:スバル)。
ただスバルも、一部スポーツカーなどでは軽量化を目的としてリアワイパーを装備しない場合があるほか、北米向けなどでは、セダンでリアワイパーを装着する慣習がないことなどから省略しているケースもあるといいます。
オートバックスセブンによると「パフォーマンス向上を目的に軽量化を考える人は、100gでも10gでも軽くしたいでしょう。しかし一般の乗用車では、リアワイパーを外しても重量の変化は、ほぼ誤差の範囲です」と話します。