車内で雨音を聞きながら海岸線の白波を眺める。3月14日早朝、数日前の好釣果の余韻が残る宮崎県木崎浜を訪れた。

今回はターゲットをヒラメに絞る。さて、今回はどんな釣りになるだろうか。

(アイキャッチ画像提供:WEBライター・楢崎人生)

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木崎浜でサーフフラットゲーム

『木崎浜』フラットゲームで60cmヒラスズキ ベイトは1cm小魚【宮崎】
使用したタックル(提供:WEBライター・楢崎人生)

雨上がりの早朝5時からサーフフラットゲームを開始する。干潮から2時間、満潮まで4時間。何とも言い難い時間帯だ。ヒラメがシラスウナギを食べているという情報を事前に得ていたので、木崎浜でもシラス漁の盛んな清武川河口を攻める。

サーフフラットゲームのタックル

『木崎浜』フラットゲームで60cmヒラスズキ ベイトは1cm小魚【宮崎】
当日のタックル(作図:WEBライター・楢崎人生)

だがシラスウナギをイメージするような小型のルアーもタックルも準備していない。手抜かり甚だしい。とにかく様子を探ろうとミノーを引くと、次々とフグが釣れてくる。フグはシラスウナギを食べているので河口付近に集まっているのだろう。暫く清武川河口を攻め、そこから徐々に南下してブレイクラインをジグで探ることにした。

『木崎浜』フラットゲームで60cmヒラスズキ ベイトは1cm小魚【宮崎】
フグが次々と(提供:WEBライター・楢崎人生)

波打ち際で60cmヒラスズキ

河口を南下するにつれて海底の変化が乏しく、水深は浅くなっていく。波の交差する浅場を境に再び北上してカニ歩き戦法を取る。すると極めて浅い波打ち際で60cmを超えるヒラスズキが釣れた。『魚が釣れたのは魚が釣れる条件を満たしたから』という信条があり、釣れた魚からできる限り多くの情報を得ることが鉄則なのだが、この1匹は正直『???』であった。

『木崎浜』フラットゲームで60cmヒラスズキ ベイトは1cm小魚【宮崎】
60cm超のヒラスズキをゲット(提供:WEBライター・楢崎人生)

日の出前で辺りは暗く、厚い雨雲が暗さに拍車をかけているのでベイトは目視できない。小型のスズキならともかく、60cmを超えるサイズがブレイクも絡んでいない浅場の波打ち際で食ってきたということは、ベイトを追っている可能性が高い。しかし浜に小魚が打ち上げられている形跡もボイルが発生している様子もない。気にはなったが、偶発的な魚である可能性もあるので考察は一時保留とした。

『木崎浜』フラットゲームで60cmヒラスズキ ベイトは1cm小魚【宮崎】
ヒラスズキがヒット(提供:WEBライター・楢崎人生)

波打ち際でベイト&大型魚を目視

雨雲が去り、日が差すようになって徐々に状況把握ができてきた。まず目に付いたのは1cmほどの小魚が波打ち際付近や波頭に漂っている。その小魚を追っていると思われる手のひらから足の裏サイズの魚も確認できる。イシモチかチヌだろうか。さらに驚くことには膝下ほどの水深を大型のスズキが悠々と泳いでいるではないか。もうヒラメどころではない。

ただ気になるのは魚影で言えば大小様々お祭り状態の波打ち際に反して、魚たちの反応が若干落ち着いていることだ。やけに静かな祭りだ。

大きめミノーで狙うも不発

『木崎浜』フラットゲームで60cmヒラスズキ ベイトは1cm小魚【宮崎】
比較的大きめのミノーで狙う(提供:WEBライター・楢崎人生)

1cmほどの幼魚、それを追う20cmほどの魚、そしてスズキ。これらの魚から導き出したルアーは、比較的大きめのミノー。

スズキは20cmほどの魚を追っていると予想したからだ。あの巨体が1cmの魚を狙っているとは考えにくい。

20mほどのショートキャストで手早く探っていくが、チェイスもバイトもない。ルアーサイズを落としたりカラーを変更したりするも手応えのないままお祭りは終わってしまった。千載一遇のチャンスを逃しガックリと肩を落とす。完全に魚っ気のなくなった浜で暫くキャストを続けたが、結局その後は何の反応のも得られなかった。

スズキは1cmのベイトを捕食していた

この日の魚は食卓に並んでもらうことにした。食事も楽しみだが、自分が最も気になったのは浅場の波打ち際で釣れたスズキの胃袋の中身だ。捌いて吃驚。食っていたのは何と1cmほどの幼魚だった。小さなルアーをよちよちと泳がせるのが正解だったとは。

『木崎浜』フラットゲームで60cmヒラスズキ ベイトは1cm小魚【宮崎】
シラスに似たルアー(提供:WEBライター・楢崎人生)

良型ヒラメがシラスウナギを食べているという情報といい、60cm超のヒラスズキの胃袋に1cmほどの幼魚が入っている件といい、自然が相手の勝負は知識と経験を総動員させて、かつ固定観念にとらわれない柔軟さが必要だと身に沁みて感じた。

水難事故を防止しよう

遊泳禁止の木崎浜で水難事故が絶えない理由の一つに、『波打ち際近く、膝丈くらいまでなら大丈夫だろう』という考えで水遊びをする人の多さもある。

だがこの波打ち際近くが最も強い流れの発生している場所でもあるのだ。

清武川河口はかつて数百mも南に大きく蛇行していた。幅は20~30mで狭い場所では10mほど。大潮の干潮時にその全貌があらわになるが、急に落ち込んでおり、深さもかなりある。ヒラメが足下でバイトしてくるのはこの河口跡の地形に由来している。

引き潮になるとこの旧河口を通って海へ至る強い流れが発生する。それは30gのジグですら延々と転がり続けるほどに強い流れだ。しかも、はた目には旧河口がどこにあるか判別できず、膝丈までなら大丈夫と思いながら沖へ歩いていくと一気に背の立たない深さになり、激流に襲われ、旧河口が沖へ向かう場所で発生する離岸流に流されてしまう可能性がある。岸から近ければ安全というわけではないのだ。

ライフジャケット未着用の釣り人の多さにも閉口している。例えどんなに通い慣れた場所でも、必ずライフジャケットを着用し、暗い時間や波の高い日は特に注意を払って釣りを楽しんでほしい。多くの人が安全に対する意識を持ち、木崎浜での水難事故がゼロになることを願ってやまない。

<楢崎人生/TSURINEWS・WEBライター>

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木崎浜

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