釣り場のトラブルでよくあるのが、ロッドのガイドの破損。とりあえず使えるように、素早く直してしまいたいもの。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村計吾)
竿のガイドの役目
竿に付いているガイドは竿の曲がりのバランスを保ち、竿の特定部分に負荷が掛からないようにしてくれる、非常に重要なもの。
極端にイメージして欲しい。竿のガイドがトップ(一番先)だけしかなかったら・・・。リールから出るラインをトップガイドに通して引っ張ると、まるで弓のようになってしまう。竿は穂先に近いほど細い作りなので、穂先の強度に対して大きな負荷がかかる事になる。
ガイドを増やしていき、細い部分ほどガイドの間隔を密にする事でしなやかに、バランス良く曲がって、竿が折れるのを防いでくれる。市販の竿などはメーカーがその竿の曲がりに最適なバランス(間隔)でガイドを付けているので、ガイドが一つなくなるだけでも破損の率が高くなる。
ガイドの素材について
ガイドにはガイドリングとガイドフレーム(脚部も一体化している物が多い)があり、ガイドリングはハードリングやSiC、セラミックなどいろいろな素材が使われているが、現在はそこそこの価格帯の竿はSiC製のガイドリングが使われている事が多い。
ガイドフレームも鉄、ステンレス、チタン、カーボンなど様々な素材が使われていてそれぞれに特徴もあれば、価格帯もかわる。ガイド&ガイドフレームと竿との組み合わせ自体は、自作したりオリジナルでオーダーできる竿以外は、メーカーがすでに搭載して販売するのであまり組み合わせを選ぶ事はない。
ガイド破損時の対策
問題はそんなガイドが壊れてしまった時だ。ガイドの破損にもいろいろある。ガイドリングの場合は、岩などに当ててしまって割れたり、ヒビが入ったり。ガイドフレームなら衝撃でゆがんだり、割れてしまう事もあるし、フレームが錆びてしまった経験をお持ちの人もいるだろう。
そんな時でも、メーカー補修に出せば時間も料金もかかる。そこで、比較的簡単にガイドを交換する方法を紹介したい。ここで紹介するのは竿に補修糸で巻き付けて固定するタイプで、並継ぎ竿に多いガイドを例に挙げた。
振出竿用のガイドは竿に通して固定するためピッタリ適合するサイズのガイドが必要なので、こちらは釣具店で適合するガイドを付けて貰うか、なければメーカーに修理で出すのが手っ取り早い。
補修に必要なアイテム
ここでは壊れたガイドを竿から取り外して新しいガイドを付ける方法を紹介する。まずはガイド補修用に必要なアイテム類だが、竿、ガイド以外では、補修糸、瞬間接着剤、コーティング剤、カッターがあればOK。

補修糸
補修糸は釣具店のD.I.Yコーナーでも売られているが、極細、細、中、太、極太などと太さが分かれている。ガイドを取り付ける際に巻き付ける糸なので、使用する糸のカラーがそのままガイド取り付け部分に反映される。ガイドを1カ所だけ交換する場合、他のガイドに付いている補修糸とある程度合わせないと、少し格好の悪いできばえになる。
基本的には黒、ブラウン、藍色などかなり暗めの色が多いので、その辺りを数色購入して常備しておけば良いだろう。
ちなみにガイドを取り付ける時の補修糸を巻く方法そのままで、ガイドを付けずに視認性の良い色の補修糸を穂先に1cmほど巻いておけば穂先が見やすくなる。
巻き付ける補修糸は細いほど、巻き付けるのに時間も掛かるが、密にでき上がるので、コーティングした時に滑らかにコートできる。具体的にはシーバスロッドなどでは、「細」くらいを好んで使っているが、穂先など竿の細い部分に巻き付ける場合は、さらに細いタイプを使う。
コーティング剤
一般的によく使われているコーティング材としては「エポキシコート」がよく知られている。しかし、2つの液を混ぜたり、薄め液で薄めるなど、慣れないと扱いも面倒な事が多い。
エポキシの方ができ上がりがきれいで強度もあるが、手軽さにはかえられないので私はトップコートを使っている。使用頻度にもよると思うが、今までトップコートだからと言う不都合は起きていない。
瞬間接着剤は取り付けるガイドを仮固定するためのもの。カッターは古いガイドを外すのに使う。ほか、あればきれいに仕上がるのが細手のサンドペーパーと爪切り。道具が揃ったら、実際の交換方法に入ろう。
ガイドの補修作業手順
1、古いガイドを取り外す
まず、ガイドの脚の部分をカッターでコーティングと補修糸をまとめて削り取る。この時、ガイドの脚の金属部分をそぎ取る事で竿に傷を付けないようにする。ガイドの脚にかかる補修糸をそぎ取ればガイドは接着されているものの簡単に外れるハズ。

ガイドが外れたら、ガイドが外れた部分から補修糸とコーティングを剥がす。ある程度は指でも剥がせるし、補修糸の端が出てくれば引っ張ってみるとバラけて外しやすい。

さらに表面をきれいにするなら、細めのサンドペーパーで軽く削ると良いが、この場合も竿本体のコーティングを傷つけない注意が必要だ。
2、ガイドを仮固定する
ガイドを付ける位置にガイドを仮固定する。ガイドの脚裏に瞬間接着剤をごく少量付けて竿に接着する。この時注意したいのは、1度付けてしまうと細かな調整はきかないので、取り付け位置に狂いがないか(他のガイドとズレていないかなど)しっかりと確認して付ける。取り付けたら、そのまま乾くまで待つ。

3、補修糸で巻き付ける
固定したガイドの付け根の方に補修糸を1回転巻き付ける。この時に端糸の上に本線が来るようにクロスさせて、そのまま緩まないよう指で押さえつつきれいに巻き目を揃えて巻く。端糸はそのまま本線の下に入れたままでOK。

ある程度巻いたら、端糸の先をカットする。そのまま巻き続けると端糸の先が巻いた補修糸の本線で隠れてしまう。ガイドの脚部分まで巻ききったらそのまま、竿に巻き付ける。この時もあまりデコボコができないように、できるだけテンションをかけて密に巻く事。

4、巻き付けの仕上げ
補修糸をある程度まで巻いたら、別に10cmほどの糸を用意する。その糸を2つ折りにして、輪を作る。巻く先の方に輪の部分を持っていき、上から本線で5、6mm程度の幅まで巻き付ける。

最後まで巻いたら緩まないよう指で押さえて、本線の補修糸を10cmほど余裕を残してカットする。カットした補修糸の端を、別糸の輪になった部分に通す。

別糸の輪になっていない端(2本)をまとめて引っ張り、本線の補修糸を本線の下から抜いて外へ出せば緩まずに固定できる。

巻いている部分から出てきた端糸をできるだけ残さないように、ギリギリの場所でカットする。この時、ハサミよりも爪切りでカットするとギリギリでカットしやすい。

5、コーティング塗装する
補修糸で巻いた部分の上に刷毛でコーティング剤を塗る。この時に1度に多量のコーティング剤を付けると塗りにムラが出るので、薄く何度も塗るように心がける。薄め液で薄めて使えるなら、少し粘度を下げて、薄く何度も塗る方が、補修糸の中にコーティング剤が入るので強度や耐久性が増すハズ。

また、塗る時は竿を固定してしまうと、コーティング剤が下に垂れてくるので、できるだけ竿を回転させてコーティング剤の厚みにムラができないよう気を付ける。

市販の竿に付いているガイドなども強度のあるコーティングがされているのだが、何度も使用しているウチにガイドに負荷が掛かって固定している脚の部分(コーティング剤)にヒビが入ってくる事もある。
<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>