初心者にも挑戦しやすく、ファミリーフィッシングの代名詞的なサビキ釣り。魚が回ってくれば釣果を手にすること自体は難しくないですが、同じ堤防に並んで釣っていても、よく釣る人と、釣れない人に分かれることがあります。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWS関西編集部 松村計吾)
サビキ釣りの基本
「サビキ釣り」はアミエビなどに似せた疑似針(エサを付けない針)を使った釣りです。釣り方の基本は、まずはカゴにアミエビなどのまきエサを入れて海中に撒くことで魚を集めます。その海中に撒かれたまきエサの中にサビキ仕掛けを紛れ込ませることで魚が間違って食べたところを釣り上げるというものです。

魚の群れがまきエサに集まってくると比較的簡単に釣れるので、ファミリーフィッシングや初心者でも挑戦しやすい釣りの代名詞です。しかし、基本的な要素や、釣れないときの工夫を知ることで、より釣果を伸ばすことができます。まずはサビキ釣りの基礎を紹介していきましょう。
釣れる魚は回遊魚がメイン
サビキ釣りのターゲットとしてはアジ、イワシ、サバが代表的な魚種です。サビキ仕掛けはこの他にも色々な魚を釣ることができ、サッパ、コノシロ、カマス、イサキ、メバル、メジナなどの小~中型魚から、ブリやカンパチの若魚、ソウダガツオなど、なかなかの大物まで狙うことができます。

これらのターゲットは群れで海を広く移動しながら暮らす「回遊魚」が多く、サビキ釣りではポイントに魚の群れが回遊してくるかどうかが、釣果を上げるには非常に重要な要素です。この回遊を予測するためには、「時期」・「時間」・「釣りをする場所」が鍵になります。
サビキ釣りの最適な時期は?
多くの魚種は水温が下がると自分たちの適水温を求めて水深の深い場所に移動する傾向にあります。アジやサバなどの回遊魚も、水温の低い厳冬期や春の初めは沿岸部への回遊が減るため、釣果の望みづらい時期といえます。そのため、サビキ釣りに向く時期は水温が上がる5月ごろから水温が下がり切る12月ごろまで。
春~初夏はその年に生まれた豆アジや小サバ、カタクチイワシなどをメインにサビキ釣りのターゲットが回遊をはじめます。夏~秋と季節が進むと、沿岸が適水温になる魚種も増え、春に産まれた当歳魚たちも大きくなるので、より多くの魚が狙えるようになってきます。

冬が近づくにつれて水温が下がると、魚たちの沿岸への回遊も減っていきますが、1月~2月前半頃でもアジが頻繁に回遊するポイントなどもあり、冬でも釣れるかどうかはその年の水温や地域差も大きいです。
サビキ釣りに最適な時間帯は?
魚によって昼行性、夜行性の違いがありますが、日が沈みかける時間帯や、日が昇る時間帯の、いわゆる「マヅメ時」は多くの魚の活性が上がりやすい時間帯です。そのためサビキ釣りは朝マヅメか夕マヅメを絡めて釣行すると、堤防に魚が回遊してくる期待値は一段と高くなります。
また、サビキ釣りは夜でも行うことはできますが、擬餌針には匂いがなく視覚に頼って魚を掛けるためか釣果は落ちる傾向にあります。夜釣りの場合は水中ライトなどを付けるか、常夜灯周りで釣るなど、明かりでサビキ針を目立たせるのが釣果を上げるコツです。
サビキ釣りで狙いたい場所
基本的にはサビキ釣りのターゲットのエサとなるプランクトンが多い、潮通しの良い港が狙い目になります。また、日中は深場にいる魚も多いので、少し沖に深場があるような釣り場も有望。マヅメ時や潮が動くタイミングなどに浅場に回遊してきやすいです。
釣り座は回遊の通り道となる堤防先端が鉄板ですが、潮の流れ次第では意外に港の奥まった場所にも魚が溜まる場合もあります。

また、回遊魚のポイント選びは情報収集も重要で、ネットや釣具店で釣果情報を得ておくと確実です。特に海釣り公園はHPで毎日釣果情報を更新していることが多く、釣果の期待値が予測しやすいほか、設備やレンタルタックルなども揃っているので初心者にはオススメの釣り場となります。
サビキ仕掛けの種類
サビキ仕掛けにはいくつか種類があり、仕掛けの構造によって特性が変わってきます。釣り場によっては沖を狙えるウキサビキやぶっこみサビキが効果的なことも多いので、自分の通う釣り場に合った仕掛けを選択しましょう。
上カゴ式
上カゴ式はその名の通り、サビキ仕掛けの上側にカゴが付いた仕掛けです。振ったコマセがサビキ仕掛けの上から沈んでいく構造なので、コマセとサビキが同調しやすい特徴があります。また、竿を振るまでコマセが出てこないため、水深の深い釣り場でも使いやすいです。基本的には足元狙いの仕掛けですが、オモリが下に付いているので少し投げて底付近を釣ることも可能です。
サビキ釣りの釣り方と効果的な誘い
ここからはサビキ釣りの基本となる釣り方とともに、一歩踏み込んだ技術面での釣果アップのコツを紹介します。
サビキ釣りの基本的な釣り方は仕掛けを海中に投入したら、タナを決め竿を上下に動かしてまきエサをカゴから出し、魚を寄せて釣ります。
基本としてはごく簡単ですが、たとえば夏のサビキ釣りの主役となる小アジをメインに考えてみると、その習性から一工夫が欲しくなります。ここからは足元狙いの下カゴ仕掛けでのサビキ釣りを想定して、有効な誘いを紹介しましょう。
コマセの撒き方
たとえばサビキ仕掛けの長さが1mあったとして、竿先で1m上げると、仕掛けの最上部であった部分にカゴがきます。ここで考えたいのは再び竿先を下ろし、仕掛けを沈めてアタリを待つ時に、仕掛けより上のタナにまきエサをしても、ハリがないので無駄なまきエサになるということです。
なので、大きくシャクり上げる必要はなく、自分が使用しているサビキ仕掛けの長さ分を、上げる幅のマックスとして認識するといいです。それにより。仕掛けの周りに効率的にまきエサを撒くことができ、より仕掛けの周りに魚を集中して寄せることで、多点掛けを狙うことができます。

フォールの誘いが有効
アジやサバなどは上から落ちてくるエサに非常に良く反応します。そこで、仕掛けをごくゆっくりと下げていく誘い方が有効になります。よく、竿の上下動で力いっぱい竿を上げて下ろしている人を見かけますが、実は仕掛けを上げる時にはカゴからエサが出ないので、力を抜いて問題ありません。
重要なのは竿を上げてから、下ろす時の動作となります。下カゴ方式のマキエカゴは上に口が開いていて、沈める時にまきエサが出ますが、実は沈み始めるときがもっともまきエサが出る瞬間です。フリーに近い一定の速度で沈めると、カゴによって生まれる反転流により、まきエサが押さえつけられて、大量に出ることは少なくなります。
それを考慮した上で紹介したい誘いが、スローフォールの誘いです。この場合、竿を上げた状態からゆっくりとフォールさせるとあまりまきエサが出ません。そこで、たとえば1mのサビキ仕掛けを使っている時に、1m上げたら、その半分(50cm)程度までをフリーフォール、そこから残りの50cmはごくゆっくりと下げていきます。
コマセに同調するように意識
フリーで少し落とす時にまきエサを出し、そこからゆっくりとフォールさせることで、コマセと同調しつつ、落ちてくるエサに好反応を示す小アジにアピールすることができます。
この時の典型的なアタリのパターンが、穂先を大きく1度、2度と浮かせるようなアタリです。これが小アジ独特のアタリとなります。サバなどの場合は、いきなりギューンと引き込んだり、イワシなどはプルプルと穂先に振動が伝わることで掛けた反応を見て、魚の種類を見分けることもできるでしょう。
なお、上カゴ式のサビキ仕掛けはシャクった瞬間にコマセが出やすいです。このような場合は、シャクった後、少し上に糸を巻いてからコマセの煙幕に同調させるように落とし込むなど、考え方は一緒で動作を変えていきましょう。

釣るタナを一定にする
水深がある程度ある釣り場だと、中層でタナを固定するのは難しい作業です。簡単にタナを固定して釣るなら、ウキを使う手もありますが、釣っている最中に幅広く探ることができないことや、前述した細かな誘い方ができないのが欠点となります。
秋くらいになると、小アジも徐々に大きくなり、釣れるタナはほぼ底付近となるので、逆に釣りやすいのですが、夏場のアジは、広い範囲(タナ)で食ってくることが多いです。しかし、タナが広いからといって、あちこちのタナで釣っていると、群れが散らばって効率が悪くなってしまいます。
そこで、幅広く散っているアジを広いタナで釣るのではなく、固定したタナに集めてしまいましょう。釣れる限りは、中層であっても同じタナを釣り続けることを意識するといいです。
タナを固定しやすいように道糸にマーキングをするのも手です。油性の蛍光マジックで、アジが釣れるタナで元ガイド(竿の一番リールに近いガイド)付近で、道糸にマーキングします。こうすることで、リールから糸が出て、ガイド近くに来た時に見やすくなります。
ただ、マーキングのデメリットは、タナがかわれば新しいマーキングをするので、何度も繰り返しているとマーキング部分が増えてややこしい点です。
そこで、遊動ウキを使う時に道糸に取り付ける「ウキ止め糸」を使う方法もあります。

タナを探っていて、アジのアタリがあったタナで、こちらも元ガイドの付近にウキ止めを持ってきて下さい。これでタナがかわってもウキ止めをズラすだけでタナの目安とできます。
サビキ釣りの釣れない原因
以上、サビキ釣りの基礎知識と釣り方を紹介しました。
アタリの多いサビキ釣りでは試行錯誤の答えが出やすく、工夫が釣果に直結する釣りです。釣れないときはもちろん、釣れているときにもいろいろと試してみて、さらなる釣果アップを目指してみて下さい。

<松村計吾/TSURINEWS編集部>
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