釣りの好ターゲットである「ヘラブナ」。しかし、普通の「フナ」との違いを知っている方は少ないかもしれません。
(アイキャッチ画像提供:週刊へらニュース編集部)
ヘラブナってどんなサカナ?
まずヘラブナというサカナ、これはこのサカナの正式名称ではありません。本当の名は「ゲンゴロウブナ」と言い、コイ目コイ科コイ亜科フナ属の淡水魚です。

日本を代表する淡水魚であるゲンゴロウブナは、一般的にはヘラブナと呼ばれていますが、養殖された地域によっては「カワチブナ」「オウミブナ」などと呼ばれることもあるようです。
釣りの好ターゲット
実はこのヘラブナ、もともと自然界にいたサカナではなく、人間が品種改良によって作り出したサカナなのです。
ゲンゴロウブナは、滋賀県の琵琶湖にしか生息していない固有種です。大正時代の頃に、体高が異常にある突然変異個体のゲンゴロウブナが発見され、それを養殖することで特徴が固定されていったのが現在のヘラブナなのです。
その後、独特の引き味が人気を博し、ゲームフィッシングのターゲットとして広まっていきました。
しかし、これまでの話だと品種改良によって別種だと思われた人もいるかもしれませんが、あくまで本種のみを品種改良し形態的特徴を固定しただけですので、分類学的にはどちらも(Carassius cuvieri)となっています。
ヘラブナの特徴
本来は琵琶湖の固有種でしたが、現在では人為放流によって日本全国にの池や河川にヘラブナは生息しています。
魚体の特徴
ヘラブナはギンブナなどの一般的なフナに比べ、体高があり横から見ると菱形の体型をしていることが大きな特徴でしょう。

また、他のフナと比べて比較的に成長が早く、生後3年も経つ頃に30cmほどまで育ち、大きなものは40~50cmにまで成長します。これまでの最大サイズは、青森県姉沼で釣られた64cmで、地元では標本として保存されているそうです。
食性
また、ヘラブナの特徴としては原種であるゲンゴロウブナや一般的なギンブナは雑食性ですが、ヘラブナだけは基本的に植物性プランクトンを好んで食べる草食です。
その点が大きく異なるため、ヘラブナは別種と思われがちですが、前にも述べた通り、分類学的にはゲンゴロウブナとヘラブナは同じ種類だということを忘れないようにしましょう。
原種のゲンゴロウブナは絶滅寸前?
原種であるゲンゴロウブナですが、現在、外来種であるブラックバスやブルーギルによる食害や環境開発による影響で個体数をかなり減らし、絶滅危惧種に認定されています。
そのため、大阪で盛んに養殖が行われ、主に淀川水系へ放流されています。
ヘラブナの生態数が安定している一方で、原種が減っていってしまっているのは非常に悲しい現実かもしれません。
同じだが別のサカナ
「フナ」は聞いたことがあるけど、深くを知らない人は大勢いるのではないでしょうか。中には「ヘラブナ」というサカナがいると思っている人もいるかもしれません。
また、ちょっと魚に詳しい釣り人の中には、ゲンゴロウブナとヘラブナは別の魚だと認識している人も少なくないかもしれません。
解釈は難しいかもしれませんが、ヘラブナとゲンゴロウブナは同じ種だけれど、別のサカナであると思っていただければいいかなと思います。
<近藤 俊/サカナ研究所>
The post 「ヘラブナ」は「フナ」と違う? 原種「ゲンゴロウブナ」は絶滅の危機 first appeared on TSURINEWS.