今年も冬を迎え、釣りはもうオフシーズンという人もいるだろう。しかし冬こそハイシーズンの釣りもあり、管理釣り場でトラウトを狙うエリアトラウトフィッシングもその1つだ。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 松尾尚恭)
冬はエリアトラウトのハイシーズン
中部地方には愛知県一宮市の北方川釣り体験場、滋賀県米原市の醒井養鱒場、三重県いなべ市のフィッシングサンクチュアリなど、いくつかの人気エリアがある。今回は私のホームフィールドであり、また日曜と祝日に釣具の出張販売を行っている北方川釣り体験場を取り上げ、その釣り方をご紹介したい。

北方川釣り体験場(北方マス釣り場)は、3つの区画に分けられており、上流から第1ブース、第2ブース、第3ブースとなっている。第1、第2ブースは水深が非常に浅く、重いスプーンや深く潜るプラグはあまり出番がない。第3ブースは上流から下流に向けてどんどん水深が深くなり、川幅も一番広くなっているのが特徴だ。
タックル
次にタックルについて。
ロッド
ロッドはエリアトラウト専用ロッドで、長さは6ft前後。最大3g程度が投げられれば十分で、ある程度張りがあり軽量のロッドが操作性に優れているためオススメだ。
リール
リールは1000~2000番のスピニングリールで、細いイトを扱うためドラグの滑りが優れたものがいいだろう。

ライン
タックルの中でラインの太さがとても重要で、軽いルアーをある程度の距離投げなければならないため、可能な限り細いイトが好ましい。扱いやすいのはナイロンラインかフロロカーボンライン。PEラインとエステルラインは扱いに慣れが必要だが、感度が抜群に良い。私はフロロカーボンの1.5lbを常用している。
ちなみに1g以下のマイクロスプーンを使いたかったら、ナイロン、フロロ、エステルの1.5~1.7lb程度を巻いておかないと、全く飛距離が出ないため釣りにならない。クランクベイトをメインにするならもう少し太くてもいいが、どんなに太くても3lbが限界の太さだ。
現在北方マス釣り場に放流されている魚のサイズは最大で40cm程度なので、細いラインでもドラグ設定さえきちんとしていれば、ラインブレイクは防げる。
スナップ
ラインをルアーに結ぶ際は、必ずスナップを使用する。エリアトラウトではこまめなルアー交換が必要になるため、いちいち結び替えなくてもいい。また現在販売されているほぼ全てのエリアトラウトルアーは、スナップの使用が前提で作られており、スナップを介さずにルアーのアイに直結すると正常に泳がないものも多い。

サイズは0000~00番の極小サイズで、これ以上大きかったりスイベル付きはルアーの泳ぎが悪くなるので、使わない方がいい。エリアトラウトは何かと繊細なのだ。
その他ギア
他に重要なギアは、ランディングネット、リリーサー、偏光グラスだ。ランディングネットは魚をすくう際に必要で、魚体を傷つけないラバーネットのものを使おう。リリーサーは魚が掛かっているフックに引っ掛けて魚を外す器具で、リリースがメインの人は持っておくと便利なギアだ。
偏光グラスは、基本的に水がクリアな北方マス釣り場で、魚影を直接見ながらのサイトフィッシングの際に威力を発揮する。偏光グラスがあるとないとでは大違いで、あまり高価なものでなくとも、効果はあるので用意した方がいいだろう。
基本の釣り方
エリアトラウトのメインルアーであるスプーン、クランクベイトはただ巻くだけで魚を釣ることができる。しかし、「ただ巻くだけ」の中でも、気を付けないといけない点が3点あるので紹介しよう。

一定速で巻く
まずは、一定の速度で安定して巻くこと。ハンドルを巻くスピードが速くなったり遅くなったり、持っているロッドがギクシャクしてブレてしまうと、ルアーが不自然なアクションになってしまい釣れない。テクニックとして、わざとイレギュラーなアクションを入れるというのはあるが、まずは安定して巻くことを身につけたい。
タナ・レンジ
次にルアーを引くレンジ(タナ)を把握すること。ウキ釣りのウキ下の調整や、船釣りでのタナ調整などと同じく、エリアトラウトにおいてもレンジの調整は必須技能だ。レンジを外してしまうと一切反応しないことも珍しくない。おおむねトラウトは自分の目線から上を意識していることが多い。
北方マス釣り場は水質がクリアで、魚の泳いでいる層が分かるため、見えている魚の目線よりちょっと上を通すことを意識しよう。北方での第1、第2ブースはそもそもの水深が浅いため、表層から水深80cmまでの間がヒットレンジとなっていることが多い。

巻きスピード
最後に巻きスピード。私が現場で釣りを見ていて釣れていない人の多くは、巻くのが速すぎることが多い。エリアトラウトにおいては1秒でハンドル1回転巻くのが「速め」のスピード感となり、自分が多用するスピードは、1.5~5秒でハンドルを1回転巻くスピードだ。
この3点を意識して、魚の反応するレンジを一定速度で、反応するスピードを見つけて巻く。これができれば北方に限らず、どの釣り場でも安定して釣果は出せるだろう。
オススメルアー
筆者オススメのルアーを紹介。
クランクベイト
エリアトラウトと言えばスプーンが王道の釣りだが、最も扱いが簡単なのがクランクベイト。誰にでもオススメできるルアーだ。

理由は3つ。ある程度重さがあるため、キャストしやすく引きやすいこと。釣り場のレンジに合った潜航深度のルアーを選べば、巻くだけでオートマチックに任意のレンジを通せること。魚のバイトがスプーンより大きく、伝わりやすいことだ。
中でも特にオススメなのが、ティモンブリブリミノーF、ペピーノMR、ちびパニクラSR・DR、ディスプラウトガメクラ、メガガメクラ、なぶら家なぶクラF・FSRだ。

スプーン
スプーンであれば、放流狩り用にフォレストMIU1.4g、ファクター1.2g、放流後の展開用にバイソングレープ0.9g、なぶら家アキュラシー0.9g、さらにスローな展開用にアイジェットリンクデカピット0.7g、ニュードロワーハント0.7g、アンデッドファクトリーハザード0.6g、ノリーズ鱒玄人ティーチ0.5gなどが今季の実績ルアーだ。

初心者お助けルアー
また、初心者お助けルアーとして名高いザクトクラフトのセニョールトルネードもよく釣れるのでオススメだ。

放流後はボーナスタイム
北方マス釣り場では、毎日オープン直後の午前8時すぎに魚の放流があるため、まず放流狩りと呼ばれる最もよく釣れるボーナスタイムがいきなりやってくる。時間が経つにつれて魚の反応が変わっていくため、それに合わせたカラー、ルアーローテーションを行うのが攻略のキモだ。

まず放流直後に投げるべきは赤金、オレンジ金の動きの大きいスプーン。高活性の魚にずば抜けて反応が良い。だが30分もすると反応が悪くなってくるため、次にグリーンメタリックなど色付きの光るカラー、さらに明るめのベタ塗りのカラー、そして暗めのカラーへと色を落とし、スプーンのウエイトや巻きスピードも落としていく。
キモは完全に反応がなくなってから次のスプーンへ替えるのではなく、ちょっと反応が悪くなりだしたら、早め早めにローテーションすること。そして9~10時ぐらいで放流狩りは終わり、次の段階へと移る。ここから先の時間は1g以下のマイクロスプーンとクランクベイトが多用されるルアーだ。
バイト(アタリ)の取り方
トラウトのバイトはとても繊細だ。ブラックバスや青物のように、大口を開けてルアーを飲み込むような食い方はめったにしない。ルアーを追いかけてきて、ルアーのお尻をチョンッ!と突くだけということがほとんどだろう。そしてこれが手元に感触はほとんど伝わってこないのだ。
ではどのように魚を掛けていくのかというと、ラインの変化を見てバイトを感知し、フッキングしている。具体的にはルアーを引いているとき、ロッドティップから水面までラインが緩やかに弧を描いている、あるいは風が強ければ大きく弧を描いているだろう。
魚がルアーにバイトしたとき、このラインが張るか緩むかするので、そこですかさずフッキングをすると掛かるという寸法だ。
フック交換のススメ
超一流のルアーをそろえていても、フックがなまっていると全く意味がない。私の経験上、5~10匹に1本のペースでハリ先がダメになっている。
これは5匹までなら耐えられるというわけではなく、当たりどころによっては1匹釣るだけでハリ先がつぶれることもある。バイトはあるのに乗らなかったり、やたらバレるときは必ずハリ先をチェックして適宜交換するようにしよう。
エリアトラウトの釣りは何が良いかというと、絶対に魚がいるという保証があることだ。よって、あとは自分の腕の見せどころ。ちゃんと工夫すれば上達していくのが感じやすい釣りなので、ハマる人はドップリとハマってしまうだろう。
▼この釣り場について北方川釣り体験場
<週刊つりニュース中部版 松尾尚恭/TSURINEWS編>
この記事は『週刊つりニュース中部版』2020年12月25日号に掲載された記事を再編集したものになります。The post 【東海2021】冬は「エリアトラウト」入門好機 フックはこまめに交換を first appeared on TSURINEWS.