脂の乗った寒グレを求めて千葉県・勝浦の地磯へ。外房屈指の地磯「黒鼻の磯」の紹介と中型の口太4匹を仕留めた釣行をレポートします。

(アイキャッチ画像提供:WEBライター・尾崎大祐)

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「黒鼻の磯」は入釣難易度高め

房総半島屈指の入釣難易度を誇る磯なのですが、ポイントに到達さえしてしまえば防波堤のように手前から水深があるので、釣り自体は比較的やりやすい点が大きな特徴。ターゲットは上物、石物の他、カゴ釣りにてアジやサヨリ、ルアーで青物等も狙えます。

入釣までの道のりは山越えルートとなっていて、ウェーダー着用の必要はありません。一番手前のポイントで駐車スペースから約20分、突端までとなると40分は見ておいた方が良いです。

ただし、途中ロープを使う崖が多く待ち受けているため、体力に自信のない方は厳しいかもしれません。また、断崖絶壁の尾根も歩かなくてはいけないので、高所恐怖症の方も厳しいでしょう

ライフジャケット、磯用スパイク、軍手の他、背負子を担いで両手を使えるようにし、更に万が一の事態にそなえてヘルメットもかぶった方が無難。また、安全のため1人では行かず、必ず複数人で行くようにしましょう。

ちょっと大げさに聞こえるかもしれませんが、それだけ危険な釣り場という認識でのぞむ必要がある磯です。

黒鼻の磯の釣りポイント

黒鼻の磯の釣り座は大きく分けて3か所あります。

1. 手前のポイント

一番手前のポイントは入釣しやすく、釣り座によっては水面から高さもあり、休日は常に釣り人が入っている人気のポイント。上物はもちろん、カゴ釣りにてアジやサヨリも狙えるようです。石物を狙う際は30m程度沖を狙うと良いです。

2. 中間のポイント

中間のポイントは手前のポイントとの分岐点より更に尾根を歩き、最後は中途半端にかけられたロープにて急な崖を下る事になるため、危険度は格段に上がります。釣り座は4畳半程度のアリーナになっていて足場は良いのですが、高さはないのでべた凪の日(TSURINEWSの風波情報で勝浦の波高0.5m以下が目安)限定。

このポイントの大きな特徴は、足元で石物が狙える点。私も小型ではありますがイシダイを掛けた経験あり。その他、ウキフカセでの上物の他、クロダイやブダイ等も狙えます。

3. 一番奥の突端

一番奥の突端はポイント全体が低く、風よけもない事から、こちらも中間のポイントと同じくべた凪限定。ルートは中間のポイントよりも更に厳しい崖伝いのため、入釣難易度は最も高くなっています。

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突端に行くほど入釣難易度は高い(提供:WEBライター・尾崎大祐)

黒鼻の磯・突端から。突端のポイント自体は広いのですが、全体的に足場は低く、少しでも波っ気があると危険な印象。釣行の際は万が一に備えて、チャランボを立て荷物を括り付けておくと安心だと思います。

また、ワンドを挟んだ向こう側は今回入った中間のポイント、その更に向こう側の、少し黒くなっている足場の高い岩から先が手前のポイントとなっています。

いざ黒鼻の磯へ

昨年末に来た際は手前のポイントにて竿を出し、足裏サイズに満たないグレと遊んでもらったのですが、今回はちょっと頑張って1つ奥のポイントを目指してみる事に。予想通り、年末年始をステイホームで過ごした体には少々険しい道のりであったのですが、同行者と安全を確認しながら慎重に踏破。

翌日、全身筋肉痛になってしまった事は言うまでもありません。早速同行者はイシダイ狙いで、私は上物狙いで準備開始。

入り口~手前のポイントまで

黒鼻の磯の入り口はお墓の横の階段。夜間や濃霧時は、別の意味でも怖いかもしれません。

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入り口は墓横の階段(提供:WEBライター・尾崎大祐)

まずは草木が多く茂っている山道を上る事になります。勾配はそれほどでもないのですが、春から夏にかけては虫が多いので苦手な方は注意。

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山道を上る(提供:WEBライター・尾崎大祐)

上りきると今度は尾根を伝ったルート。

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尾根伝いに移動(提供:WEBライター・尾崎大祐)

天気が良いととても気持ちが良いのですが、右横は断崖絶壁。慎重に歩きましょう。このワンドの周りが手前のポイントになります。

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ワンド周りがポイント(提供:WEBライター・尾崎大祐)

手前のポイントへはここから下ります。

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手前のポイントへ下りる地点(提供:WEBライター・尾崎大祐)

中間ポイントまでのルート

中間、突端のポイントへ行くにはもう少し尾根を進みます。

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突端のポイントはさらに奥(提供:WEBライター・尾崎大祐)

今度は左の崖に注意しながら歩く。前方に見えるワンド右側が中間のポイント。

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ワンド右側がポイント(提供:WEBライター・尾崎大祐)

中間ポイントの釣り座。定員2名といった所でしょうか。

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中間ポイントの釣り座(提供:WEBライター・尾崎大祐)

下から見た中間ポイント最後の崖ルート。写真を見てわかる通り、途中からロープがありません。

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途中からロープなし(提供:WEBライター・尾崎大祐)

背負子に括り付けたタックル等の他、磯用ライフジャケット、ヘルメット。この他、軍手、磯スパイクが必須となります。

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筆者の釣行グッズ(提供:WEBライター・尾崎大祐)

当日のタックル&エサ

竿は5.4mの1号でリールはレバーブレーキ付きのもの。大物が掛かって走られた時に後悔しないよう、レバーブレーキ付きのリールがお勧めです。道糸は2号、ハリス1.7号、針は迷いましたが、目の前には良い感じにサラシができていたので少し大きめのグレ針7号を選択。これに2Bの円錐ウキと2Bのガン玉をつけ、初めから底付近を狙う仕様でやってみる事に。

本命のグレもさることながら、ここでは良型ブダイの実績もあるので、これを考慮しての作戦です。

まきエサにオキアミ2kgと配合エサ3kg(5時間相当の量)を準備し、さしエサには生オキアミ1本。あまり多くの荷物を持ち込めないので必要最小限の準備で挑みました。

また、ここは最後の崖下り(上り)がとても過酷なので安易な釣り座変更し難く、ポイントも4畳半程度と狭いため、一度ポイントに入ったら覚悟を決め、腰を落ち着けて釣りをするようにしています。

レバーブレーキ付きのリールは準備するだけでなく、慣れていなければ少し練習しておいた方が良いです。

外道にキタマクラ

駐車スペースから30分かけてポイントに到着。コーヒー飲んで一息つきたいところですが、目の前の良い感じのサラシに勇気づけられて休むことなく準備。コマセを先に準備し、ポイントに撒きつつ仕掛けをセットしていきます。

そして期待を込めて第一投。しかし、水温がまだそれほど下がっていないのか、ベラやフグのエサ取りにやられっぱなし。ウキ下の調整をこまめに変えながら我慢の釣りとなりました。

この日は外道にキタマクラが多く掛かりました。腸や肝の他、皮にも毒があるので素手で触らないようにしましょう。

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外道にキタマクラ(提供:WEBライター・尾崎大祐)

ようやく26cm口太グレ

エサ取り多いながらも、その下の方には黒い魚もちらほら見えていたので、うまくエサ取りかわすようにコマセを撒いて仕掛けをコントロールしていくと、ようやく本命っぽいアタリ!中型ながらも本命の顔を見る事ができてホッと一息です。

その後もポツポツとアタり、ランディングネットを使うようなサイズこそ掛かりませんでしたが、26cmを筆頭に中型4匹。お昼前に潮目が変わり、エサ取りも少なくなってきたところでサンノジを追加。コマセが尽きたところで納竿としました。

ちなみに同行者は本命釣れずもウツボを2匹確保。この時期のウツボは脂が乗っていてとても美味しいので、良いお土産になったと言っていました。

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本命グレ(提供:WEBライター・尾崎大祐)

26cmの口太グレ。中型ですが、この時期の口太はとても脂の乗りが良いです。

釣り人の間では「サンノジ」の名前で有名なニサダイ。ちょっと生臭いので生食には不向き。

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サンノジ(提供:WEBライター・尾崎大祐)

全釣果。

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全釣果(提供:WEBライター・尾崎大祐)

この時期のウツボは専門で狙っても良い位。とても脂が乗っています。

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ウツボ(提供:WEBライター・尾崎大祐)

寒グレのお刺身は予想通り脂が乗っていて美味しかったです。

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寒グレの刺身(提供:WEBライター・尾崎大祐)

黒鼻の磯・突端へ

釣りを終えて荷物をまとめ、崖を登った所で一休み。同行者とコーヒーブレイク中「ちょっと冒険してみようか」という話になり、荷物を置いて身軽な状態で黒鼻の磯の核心部・突端を目指す事に。更にルートは危険度が増すので、私は背負子を担いで行く勇気はありません。今はありませんが、以前は渡船があった事もうなずけます。

もちろん荷物を担いで行けない事はないのですが、ここに荷物を担いで行く場合は細心の注意と万全の態勢で臨む事をおすすめします。

あの丘の向こうに突端のポイントがあります。

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この岩の向こう側がポイント(提供:WEBライター・尾崎大祐)

陰になってわかりにくいですが、左側からまわり込むように崖を背にして進んでいきます。

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左側からまわり込むルート(提供:WEBライター・尾崎大祐)

黒鼻の磯突端へ行くための最大の難所は粗末なロープが頼り。足場はつま先がかかる程度。

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最大の難所(提供:WEBライター・尾崎大祐)

これが黒鼻の磯突端。

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突端の様子(提供:WEBライター・尾崎大祐)

最後のロープ区間。ここは箱根駅伝でいえば5区の「宮ノ下交差点」といった所でしょうか。往路制覇まであと少しの地点です。

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>最後のロープ区間(提供:WEBライター・尾崎大祐)

細心の注意を払おう

関東周辺の磯は過去に十数か所行ってみたのですが、感想といたしましては勝浦周辺の磯は全体的に入釣難度が高く、中でも黒鼻の磯はピカイチ。ウェーダーを必要とするルートがない点は良いのですが、それ以上に山越えルートが過酷。

しかしながら、そういう過酷なルートさえ踏破してしまえば、当然釣果への期待も高まり、何より素晴らしい景色に出逢えるというメリットもあります。

とはいえ、黒鼻の磯に限らず、地磯での釣りは他の釣りに比べてはるかに危険を伴う釣りになる事も事実。無理をせず、雨上がりはもとより、少しでも危険と判断したらやめる、という選択肢を常に持ちながら慎重な姿勢で臨む事をおすすめします。

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磯は危険と隣り合わせ(提供:WEBライター・尾崎大祐)

釣りをはじめて数時間で写真のようになってしまった事もありました。判断は早めに。

「磯は危険」というネガティブな点を全面に出して書かせていただきましたが、景色が良い磯での釣行はとても気持ちが良く、他の陸っぱり釣行に比べ思いがけない釣果に恵まれる可能性が高い点も事実。

しっかり準備をして、初心者であればベテラン者の手ほどきを受けながら出かけてみてはいかがでしょうか。

<尾崎大祐/TSURINEWS・WEBライター>

▼この釣り場について
黒鼻の磯

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