暦の上では立春。比較的低水温に強い底棲魚、いわゆる根魚は盛んにエサを追い始める。

今回は泳がせ釣りで狙うハタ釣りの基本を紹介しよう。

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低水温に強い根魚

世界中に蔓延する件(くだん)のウィルスのせいもあろうが、今年の大寒はことのほか寒々しく感じるのは私だけであろうか。陸でも海でも目に見えぬ何かにおびえ、恐れて窮屈ったらない。

たまの休日は自由に好きな場所に釣りに行き、気のおけない仲間と大声で笑い合う。その日常が簡単には手に入らなくなった今、釣りに行くことがいいことなのか、果たしてそうじゃないのか、誰も答えは知らないし誰も下を向いてほぞをかむ事態はもうたくさんだ。

とは言え、暦の上では立春。雨水と続き春は決して遠からじ。海は少しずつにぎわいを戻しつつある時期である。年間最低水温を記録するのはもう少し後のことだが、注ぐ真水によってベイトとなる小魚は一斉にわきだし、比較的低水温に強い底棲魚、いわゆる根魚は盛んにエサを追い始める。

読者の皆さんが気軽に釣りに行き、夕食にはその日の獲物を堪能できる現実的なエリアは、おおむね伊勢湾口から志摩、尾鷲辺りだろうか。

狙えるハタ類

狙える獲物はクエ、マハタ、ホウキハタを筆頭にアカハタやキジハタ、オオモンハタなどいずれ劣らぬ怪力高級魚ぞろいときている。メインとなるターゲットの最大は、70cm5kgから6kgといった中小型であるが、掛けた直後の瞬発力たるや思わず腰が浮いてしまうほどだ。

【東海2021】イワシ泳がせで狙う「ハタ釣り」超入門 タックル~釣り方
怪力の持ち主であるホウキハタ(左)、マハタ(右)(提供:週刊つりニュース中部版編集部)

そして何より寒の時期の根魚は、言わずもがなの絶品。白身にまとった上品な脂は、鍋に良し造りに良しと、皮から骨まで余すことなく堪能できることうけあいだ。

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近年増加中のキジハタ(提供:週刊つりニュース中部版編集部)

「泳がせ釣り」が最短距離

釣り方はやはり生きイワシを使っての、ライトな泳がせ釣りが最短距離である。今回は根魚を狙った泳がせ釣りを紹介していこう。

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イワシの泳がせで狙ってみよう(提供:週刊つりニュース中部版編集部)

ハタ狙いのタックル

まず使用するタックルだが、準備するものはそれほど多くない。

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タックル例(作図:週刊つりニュース中部版編集部)

ロッド

ロッドはオモリ負荷50~100号程度で、2~2.5mほどの泳がせ専用ロッドが望ましいが、タテ釣り用や強めのヒラメザオでも十分に代用可能だ。

リール

これに合わせるリールは、PEラインの2~3号が最低200m巻けるものであれば、電動でも手巻きでも構わない。狙う水深は100m以浅が大半で、タナを探る釣りでもないので個人的には駆け引きのダイレクト感が増す手巻きリールがオススメだ。

ライン(ミチイト・リーダー)

高さのある漁礁や瀬を攻める場合、根ズレは必至だ。必ずミチイトにはリーダーとして擦れに強いフロロカーボンラインの10号程度を長めに接続しておき、傷んだら端からためらわずに切っていくといいだろう。

仕掛け・ハリ

仕掛けはハリス6~8号の胴つきでのヒラメ釣りとおおむね同じと考えていいが、ハタ類の捕食はヒラメと違って一気に丸のみする型であるため、孫バリは特に必要はない。

孫バリは多少フッキング時のすっぽ抜けが減る気がしないでもないので、付けるなとは言わないがエサの弱りも早めてしまう。あった方が安心という人は、エサに刺さずにフリーでチラしておいてもいいかもしれない。

ハタ類をメインに狙う場合は、トリプルフックの孫バリはタブーだ。これまで船上で何度もハリを伸ばされ、折られ地団駄を踏む釣り人を見てきた。バラすなら掛からないのと同じだ。安心できるハリを使用して挑んでいただきたい。

オモリ

オモリは水深に合わせて用意するが、60~80号をメインに50~100号ぐらいまでを用意すればいいだろう。当然根掛かりのリスクもあるので、予備は多めに準備しておきたい。

ハタ類の釣り方

タックルの準備が整えばいよいよ実釣だ。

仕掛けを投入

ポイントに到着して合図があれば、鼻掛けか口掛けにしたイワシを落とし込んでいく。ハタ類はフォールへの反応もすこぶるいいので、着底まで15mを切れば強めのサミングでゆっくりとアピールしながら落としていこう。

カサゴとの違い

船が流すポイントは根周りや漁礁など、変化と起伏が豊富なエリアを狙い撃っていく。そのため着底後はすみやかに2~3mほど仕掛けを上げてアタリを待つ。「根魚釣り」と活字にしてしまうと、いかにも底ベッタリをオモリでトントンしながら、アタリを出していく釣りを想像してしまいがちだが、それはカサゴ釣りであってハタ釣りは全く別物である。

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カサゴでもこのサイズなら嬉しい?(提供:週刊つりニュース中部版編集部)

ほどよく潮が効き、ベイトがわく状況、いわゆる時合いになれば、ハタ類は私たちの想像以上にエサを追って立ち上がってくる。あまりに底ばかりをしつこく狙うと、カサゴのオンパレードになってしまうこともしばしばだ。

時合いに備えよう

じっと海底に潜む良型のハタが、短い時合いにだけエサを求めて泳ぎ回るチャンスを信じて、仕掛けを浮かせて根気強く待とう。

もちろん時合いが何時に訪れるかなんて、船長にだってはっきりとは分からない。おおよその目安は、潮の動き始めと速かった潮が緩む瞬間であることが多い。海の変化にも常に注意を払っておこう。一番分かりやすい合図は同船者だ。誰かに食えば、それが時合い。一日を通してダラダラポツポツと食う魚ではないので、チャンスタイムはトラブルなく集中して釣っていこう。そのために釣り座の周りは常に整理整頓を心がけ、いざ時合いになったときに無用なトラブルを起こすことは避けよう。

根掛かり対策

この釣りは手持ちが基本。ロッドホルダーに掛けての置きザオでも釣れなくはないが、起伏のあるエリアを攻めるので、常に底からオモリの距離が変化する。変化が激しい所だと、知らず知らずのうちに根掛かりしてしまっていた……なんてこともある。

最低でも5~6分に一度は底を取り直し、底からオモリまでの距離を常に意識するようにしよう。トラブルのときに限って時合い到来……なんて話はよく聞く。大型ほど時合いは短い。チャンスは逃さないようにしたい。

ヒットしたらとにかく巻く

仕掛けを浮かせてさえいればアタリは明確だ。ハタならば唐突にドンッ!とサオが海面に突き刺さる。この時点では、丸のみにしたエサをほお張って泳いでいるだけなので、必ず大きくアワセを入れてからとにかく巻く。

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とにかく巻く!(提供:週刊つりニュース中部版編集部)

逆に仕掛けを浮かせておらず底トントンだった場合、気がついたら根に行かれていた……なんてことが高確率で起こる。どちらが先に先手を取るか。先手を取るために、仕掛けを釣り人が優位になるポジションに置くことが大事なのだ。

このハタ類を狙った泳がせ釣りは、クライマックスが最初の10mに凝縮された釣りである。

たとえ3~4kgの中型であっても、根に行かせると釣り人の負けである。逆に底さえ切ってしまえば、首振りのストロークでサイズを想像しながら、ゆっくりと巻き上げてくればいい。

取り込みはタモを使おう

取り込みは必ずタモで。万が一抜き上げで失敗した場合、カサゴと違ってハタは元気が残っていれば海底に一直線……ということもありうる。貴重な1匹は、必ずタモで取り込むようにしよう。

血抜き・注意点

釣った魚は必ず絞めてある程度血を抜いた後にクーラーに入れるのだが、タイほどではないが青物に比べて骨が硬い。軍手か手袋をして、タオルでしっかり魚を押さえてから刃先を入れるようにしよう。

読者がお住まいの地域によっては、大手を振って釣りに行くことさえはばかられる世界になった現在、この記事がお役に立てる日はもしかしたら今ではないのかもしれない。だが、冬来りなば春遠からじ。必ず釣り場で思い出していただけると信じています。

<週刊つりニュース中部版編集部/TSURINEWS編>

この記事は『週刊つりニュース中部版』2021年2月12日号に掲載された記事を再編集したものになります。

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