早春は一斉に植物が芽吹く季節。この時期、私は公園の池や田んぼの用水路での小物釣りとセットで山菜採りを楽しんでいます。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)
見沼田んぼで山菜採り
かつて埼玉県が武蔵の国と呼ばれていた頃、現代の埼玉県さいたま市と川口市にまたがる土地に巨大な沼があったのですが、これを江戸時代に新田開発して「見沼田んぼ」と呼んだのが起源。総面積は1260ha。今でも水田が広がっていてとてものどかな場所であるものの、残念ながら近年は耕作放棄地も目立つようになってきました。
半面、公園や遊歩道が整備されつつあり、私を含めた近隣の住人の憩いの場になっています。
早春は山菜の宝庫
山菜といえば山奥で採れるタラの芽やワラビ、ゼンマイ等が有名ですが、実は田畑の畔や河原の土手にて採れる、いわゆる野草と呼ばれているものも分類上は山菜。その山菜が、実は2月末から3月末にかけて見沼田んぼでも多く採れます。専門で採りに行くのも良いですし、釣り好きであればセットで楽しむのもまた良いです。
今回は私が特に好んで採る5種類を初級、中級、上級の3ランクに分け、それぞれ特徴を書かせていただきます。
初級:カラシナ(セイヨウカラシナ)

採れる時期
2月末から3月末まで。陽当たりの状況や個体差によって採れる時期が変わる。
採れる場所
芝川や綾瀬川の土手。その他、埼玉県内であれば荒川や利根川等、他の河川の土手でも採取は可能。
特徴

ギザギザの葉をしており、黄色い花(菜の花)を咲かせる。似たようなものではアブラナ(セイヨウアブラナ)やハマダイコンがある。

それぞれの特徴としては、アブラナは似たような黄色い花を咲かせるが葉はギザギザではなく、やや丸みをおびた形をしている。ハマダイコンについては荒川や利根川等の河口付近で多く見られ、花が紫色。2種とも毒草ではないため、間違って採って食しても問題はない。

注意点
似たような毒草はなく、3月中は河川の土手であればどこでも採れるが、3月末頃からモンシロチョウの幼虫がつきだす。また、4月以降は自治体が農薬散布の予算を取るらしく、一斉に農薬をまきだすのでおすすめの採取時期は3月上旬から中旬にかけてだ。
食味&料理
その名の通り、ほんのり辛子の風味がある。定番の天ぷらやおひたし、洋風にオリーブオイルとベーコン等と一緒に炒めても美味しい。
初級:ノビル

採れる時期
2月末から4月末まで。徐々に大きくなっていく。GW頃に花を咲かせ、その後枯れてしまう。
採れる場所
芝川や綾瀬川の土手、田んぼの畔等どこにでも生えている。葉(緑の部分)も美味しく食べられるが特に球根が美味しいので、確実に採るためにはスコップを使うと良い。

特徴
ネギのように切断面が円形になっている。香りも特徴的。
注意点
毒草であるスイセンと似ていると言われるが、大きさが全然違うので注意していれば間違える事はない(油断は禁物)。
食味&料理
独特の香りがする小型のネギや玉ネギといった感じ。天ぷらの他、そのまま洗い味噌をつけて食べても美味しいし、塩昆布に漬けるのも美味しい。
中級:フキノトウ

採れる時期
3月中旬。採れる時期がピンポイント。因みに南房3月上旬、秩父地方3月下旬、奥日光4月上旬。関東地方のフキノトウ前線はザックリこんな感じ。
採れる場所
河原の土手等の限られたポイント。
特徴
ゴルフボールのような花の蕾を採る。とてもわかりやすく、他の植物と間違える事はまずない。
注意点
時期と生える場所がピンポイント。また一般に良く知られた山菜なので、先に採られてしまう事が多い。
食味&料理
独特のほろ苦い風味が特徴的。天ぷらはもちろん、フキ味噌にすれば1週間以上楽しめる。
上級:ヤブカンゾウ(ノカンゾウ)

採れる時期
3月上旬から下旬まで。3月上旬の新芽が特におすすめ。
採れる場所
芝川や綾瀬川の土手、見沼代用水の川べり。

特徴
切断面が楕円形でユリ科のような新芽。因みにヤブカンゾウはユリ科の植物ではなくススキノキ科との事。
注意点
新芽は毒草であるスイセンのそれととてもよく似ている。香りもほとんどない事から、見た目で見分けるしかない。見沼田んぼにはスイセンを含む野生化したユリ科の植物が多く自生しているため、慣れないうちは一人で判断しない方が賢明。

食味&料理
新芽の白い部分は火を通すとネギのようにトロッとするので、湯がいて酢味噌和えにすると美味しい。天ぷらもおすすめ。
上級:セリ

採れる時期
2月上旬から3月下旬まで。早い時期のものは小さくて採るのに苦労するが、柔らかくて香りが非常に良い。後半に採れるものは大きく食べ応えあるが香りは劣る。
採れる場所
用水路の脇、田んぼの畔。
特徴
ギザギザの葉で根本が紫がかっている。また、独特の香りがする。
注意点
見た目がとてもよく似たドクゼリという毒草が存在するので注意が必要。ドクゼリは日本の三大毒草であり、中毒による死亡例も多い。見沼田んぼ近辺で目撃した事はないが、ないとは限らない(と思っている)。微妙な見た目の違いや、根本付近の色(紫がかっているか否か)、香り等で判別できるが、セリと混在している恐れもあるため、ヤブカンゾウと同じく慣れないうちは一人で判断しない方が賢明。
食味&料理
天ぷらはもちろん、おひたし、ナムル、炊き込みご飯にしても美味しい。たくさん採れたら鍋にすると絶品!
以上、見沼田んぼで採れる5種類の山菜を紹介させていただきました。採れる時期は限られていますが、天気の良い日にお散歩がてらに探してみるととても楽しいと思います。
ただし、当たり前の事ですが私有地や公園内での採取は厳禁。また、晩春から夏にかけてどれもきれいな花を咲かせ、これはこれで私たちの目を楽しませ、心も和ませてくれます。ごっそり採らず、食べる分だけ採るように心がけましょう。
マナーを守って採取に出かけてみてください。
山菜料理を堪能しよう
カラシナはたくさん採っておひたしに。1週間は持ちます。

ノビルは定番の食べ方でしょうか。お酒のおつまみに丁度いいです。

たくさん採れたら塩昆布と一緒に漬けておけば1週間位美味しく食べられます。

フキ味噌も同じく保存食。

ヤブカンゾウはトロッとしたネギみたいです。

セリのナムル。

セリはそれなりの量が採れたら鍋がおすすめ!

炊き込みご飯も香り豊かで美味しいです!

天ぷら5種 (上左からカラシナ、ヤブカンゾウ、セリ、下左からノビル、フキノトウ)

<尾崎大/TSURINEWSライター>
▼この場所について見沼田んぼ
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