釣ったサカナの記録方法はこの時代色々ありますが、昔ながらの魚拓もまだまだ文化として残っています。しかし、一回もしたことが無い人がほとんどなのも事実でしょう。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
魚拓とは
魚拓(ぎょたく)というのは、釣りで釣ったサカナを、墨や絵の具を使って紙などに転写したものです。
釣り上げたサカナを原寸大で記録することが出来るため、釣具屋や遊漁船の待合所に飾られていることが多いです。
なかなか個人で魚拓をとる人は少ないかもしれませんが、意外と作る手順は簡単です。
最近はデジタル魚拓も
最近ではデジタル魚拓というものもあり、スマートフォンやデジカメで撮影した写真をPCで加工し、実寸大で印刷することもできるようになっています。
最新の技術を駆使していますので、左右を反転させたり、曲がった体や、尾の位置、寝ているヒレを伸ばしたりすることも可能だとか。
発祥について
魚拓は庄内藩が発祥とされ、日本で現存最古のものは天保10年(1839年)2月に現在の東京都墨田区錦糸町付近で釣られた鮒の魚拓「錦糸堀の鮒(ふな)」とされています。
黙々とサカナを釣る様子が、武士の道にも通じ、鍛錬にはもってこいと考えられていたため、大きな獲物が取れた際は、「討ち取った敵将の首」に見立てて、魚拓にして藩主に献上されたこともあったそうです。
魚拓の方法は2種類
まず、魚拓には、「直接法」と「間接法」というの2種類の方法があります。
『直接法』というのは、サカナに墨などのインクを塗って、和紙などの紙を上から押し当てる方法です。
なんとなく魚拓と聞いて思い浮かぶのはこの方法でしょう。
そしてもう一つの『間接法』は、サカナに和紙などの紙を載せて、その上から墨や絵の具などを落として着色する方法です。
直接法に比べ技術が必要ですが、複数の色を使い分けることが出来るうえ、細かいところまで記録に残すことができます。
用意するもの
ではさっそく、魚拓の作り方を解説していきます。
今回は「直接法」で解説です。
まず一番大事な魚拓を獲るサカナですが、こちらは釣りたてでしっかりと締めてあるサカナが望ましいです。
というのも死後、時間が経過してしまったサカナは体が死後硬直してしまいます。
そうなると硬直の状態によってはうまく紙が当てられない上に、かっこいい形に仕上げるのが難しくなってしまいます。
ですので、死後あまり時間がたっておらず、死後硬直の始まる前のサカナが扱いやすいでしょう。

その他の道具については
・墨汁
・筆(ハケ)
・たわし
・スポンジ
・新聞紙、ダンボール
・タオル、キッチンペーパー
・和紙(障子紙、ふすま紙)
・ティッシュ
があれば問題なく製作可能です。
和紙、墨汁などはなかなか家にないかもしれませんが、どれも100円ショップに必ずありますのでご安心ください。
制作手順
それでは「直接法」での魚拓の制作手順を紹介します。
手順1
まず、サカナの表面のヌメリをたわしで軽くこすり、水で流します。
種類によっては、ヌメリが強いので、塩をかけてこすりながらヌメリを獲っていきましょう。
手順2
タオルやキッチンペーパーを使って、サカナの水分を十分に拭き取ります。
サカナの大きさにもよりますが口の中、エラにも水分が残りがちです。ここも細かく水分を取り除いてあげて下さい。大型のサカナで制作する場合は鼻の穴や肛門なども注意が必要です。
水分が残っていると完成の際に墨がにじんでしまうので注意深く作業してください。
手順3
新聞紙や段ボールを数枚敷き、その上にサカナを乗せます。
サカナの腹部を下、頭部が右(ヒラメは左)を向くように置きましょう。
この時、背ビレ、臀ビレの裏側にティッシュなどをはみ出さないように当て、ヒレが立つように固定してあげて下さい。
この時、作業をする場所についてですが、屋内なら問題ありませんが、屋外で行う場合は、風や直射日光が強く当たる場所は避けましょう。
塗った墨がすぐ乾いてしまいますので、風の当たらない日陰で行うのが望ましいです。
手順4
頭部から尾に向け、いよいよ墨を塗っていきますが、この時、墨汁は原液ではなく少し水で薄めたものを使用してください。
そして、大事なポイントですが、まず墨を塗るのは、「頭部」と「体の上半分」、「各ヒレ」の3つの部分だけです。
この段階では、目と体の下半分には墨を塗ってはいけません。
手順5
スポンジを使い、墨を塗った頭部、体の上半分、各ヒレを、軽く叩きます。
スポンジで叩く事によって、筆の跡(スジ)が無くなり、うろこの模様が良く出てくれます。
この時、叩いたスポンジにも墨が付着しますが、一通り塗った個所を叩いたら、サカナの墨を塗っていない下半分のエリアを、そのスポンジで叩き、墨を付けていきます。
手順6
そして塗り終わったらいよいよ正念場です。
スポンジで叩き終わったサカナに、和紙を乗せていきます。
この時、尻尾から頭部の方へ順に紙を押さえながらやると、最後に口元がきれいに写ります。
逆に、頭部から尻尾に向けてのせていくと、口元のあたりがべったりとして不鮮明になってしまう失敗のケースが多いです。
手順7
すべて写し終えたら、筆で和紙に直接目を描き入れ、墨がすべて乾燥したら魚拓は完成です。
個人の判断ではありますが、サカナの種類、長さ、重さ、釣り上げた年月日なども記入すると完成度がアップするかもしれません。
親子でチャレンジしてみるのも
思っているよりも簡単にお手軽にチャレンジできる魚拓。
コロナ渦中ではありますがG.W中のちょっとしたアクティビティとして親子で釣りに出かけ、魚拓にチャレンジしてみて下さい。
もちろん、魚拓に使ったサカナは墨をしっかりと落とすことで問題なく食べることが出来ます。
大物を釣って素敵な魚拓を自宅に飾ってみてはいかがでしょうか。
<近藤 俊/サカナ研究所>
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