6月16日、大物漁場で知られる福井の玄達瀬が解禁を迎えた。今回は玄達瀬における完全フカセ釣りのヒラマサ攻略法を4つのポイントを踏まえ紹介したい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 鈴木利夫)
日本海の大物天国・玄達瀬
玄達瀬は福井県の沖にあり、鷹巣漁港から35kmほど離れた場所に位置する。天然礁で長さ18km、幅6kmほどあり、水深300mから最浅部は20mぐらいになる。この起伏の激しい天然礁に、大型魚であるヒラマサやブリが回遊してくるのだ。鷹巣和布(めら)港から航程は1時間ほど。

完全フカセ釣法とは
玄達瀬のヒラマサ狙いは、完全フカセ釣法がメインとなる。船長が魚探で魚影を見つけ、アンカーを入れるカカリ釣りスタイルだ。船上からオキアミのまきエサをまいて、潮の流れに仕掛けを乗せ、まきエサとさしエサを同調させてヒラマサをメインで狙う。
オモリは使わず、仕掛けは潮の流れに乗せて、サルカン、ハリ、さしエサの重さだけで流すのが完全フカセ釣法である。ヒラマサやブリは回遊魚だから、重要なのはコマセワークになる。
完全フカセ釣りはヒットゾーンさえ見つかれば、女性でも簡単にブリやヒラマサを手にできる。だが青物の引きは強烈。仕掛けの準備は万全を心がけよう。

この完全フカセ釣法の醍醐味は、魚がヒットすれば勢いよくライン飛び出して、スプールが回転音を発する。この瞬間が最高の快感なのだ。
特にヒラマサは高速スプリンターの異名で知られる。玄達瀬ではヒラマサのヒット率が高く、多くのアングラーが足を運び一喜一憂するのだ。
完全フカセ釣りのタックル
玄達瀬の潮流は速い。この速潮に仕掛けを流すための完全フカセ釣りのロッドは、外ガイドでオモリ負荷50~80号、豪引に耐える先調子(7対3)で、長さ3m超えるサオを推奨したい。電動リールはフカセ対応で、フロロカーボンライン7~8号を300m巻けるクラスがベストだろう。

ラインは潮の流れにより、200m以上流す場合も少なくない。仕掛け回収の時間ロスなどを考えれば、電動リールを推奨したい。ちなみに近年は完全フカセ対応の電動リールが主流である。
その理由は青物がヒットした場合、ライントラブルが少ない点にある。ラインは完全フカセ釣りに適したフロロカーボンライン7~8号で、300mは必要だ。少々ライントラブルで高切れしても、何ら支障はないだろう。
完全フカセ仕掛け
ハリスは8~10号で長さ3m、ハリはヒラマサバリ13~14号の2本バリが基本だ。手慣れたアングラーなら6mでも支障はないが、暴れまくる青物は手繰り寄せるときに魚が暴れて、ハリ外れが多い。

取り込み時はサオを立てたタイミングで、即ネットインすればバラシも少ない。同船者とオマツリしても、仕掛けが短いので速やかに外せてタイムロスは少ない。仕掛け長さの基本は3m。これがベストの長さだ。
完全フカセでヒットゾーンを早く探すには、同船者全員が同じ仕掛けを使うこと。予備を含めて4~5セットは持参したい。大型ヒラマサ狙いならハリス10号だが、少し食いが悪くなるのが難点だ。
また玄達瀬でも、潮が流れない日もある。そんなときはサルカンの上に、発泡ウキ(6~8号)を付けて、潮の抵抗を受けさせて仕掛けを流す場合もある。完全フカセ釣りにおいて、発泡ウキは必需品といえる。
いよいよ投入
船上で投入前にドラグはしっかり締めて、船長からの投入合図を待つ。その間にまきエサのオキアミをシャクで5~6杯海面にまく。
仕掛けの投入を終えたら、再びオキアミをまいてここでまきエサはいったん終了。潮が速いときは手でラインは送らなくてもいいだろう。スプールが回転し始めたら、あとはアタリを待つだけだ。

仕掛けを回収するときは、同船者と回収時点の距離を教え合うこと。またさしエサの有無の情報交換も重要だ。全員が協力してヒットゾーンを探し当てよう。仕掛けを回収してさしエサがなければ、次投はその数値の手前でラインが勢いよく飛び出すだろう。
青物は回遊魚だからまきエサは頻繁にまいて、いち早くブリ、ヒラマサを呼び込もう。それぞれ仕掛けを回収する時間を、極力少なくすることを考えること。
ヒット~取り込み
ラインが飛び出してサオがたたかれたら、慌てず素早く電動の高速で巻き上げる。モタモタしていたらハリ掛かりしたヒラマサは、瞬時に岩礁へ逃げ込む。ここで岩礁にハリスが擦れてブチ切られることが多い。

強引に巻き上げて暴れるヒラマサを岩礁から引き離し、アングラーが主導権を握ることが重要だ。岩礁からヒラマサを遠ざけたら、強烈な引きに耐えてかわす。そして豪引を楽しみながら巻き上げればいい。
巻き上げ途中にも突っ込みもあり、ネットに収めるまでは油断禁物だ。同船者にヒラマサがヒットしたら、隣の人は群れが逃げないように、必ずまきエサを絶やさずにまくこと。

ブリやヒラマサは寄せてきても、大暴れして船底に潜り込もうとする。タモ入れは船長に任せよう。そこで先に述べた仕掛け長3m。この長さならタモ入れは容易なはずだ。ヒラマサやブリを仕留めた後は、ハリ先のチェックはその都度必要だろう。さらに根ズレしている可能性があるため、ラインとハリスの損傷確認は忘れてはならない。
玄達瀬ヒラマサ攻略法
以上が玄達のヒラマサ攻略法を述べたが、重要項目をまとめてみた。

(1)全員仕掛けの長さは3mに統一する。
(2)青物が回遊するまでまきエサは頻繁にまこう。
(3)ヒラマサがヒットしたら強引に高速で巻き上げる。
(4)やり取りの主導権はヒラマサに渡すな。
ちなみに玄達一日便なら、まきエサのオキアミは1人8~10枚は持参したい。
準備万端で臨もう
釣り上げたヒラマサは船上でエラ切りして、血抜きを行うこと。クーラーボックスの中に氷で冷やした海水を入れ、鮮度を保った状態で持ち帰ろう。鮮度の良い魚をおいしく食べるために氷はたっぷり持ち込もう。
玄達瀬の釣りは長丁場(12時間)なので、船上での飲み食いは欠かせない。特に夏場の船上は暑いので、熱中症に注意が必要。飲料は多めに持参しよう。そして強烈な太陽の照り返し対策として、偏光サングラスの着用を心がけよう。

また玄達瀬は激流として有名な天然漁礁だ。
<週刊つりニュース中部版 鈴木利夫/TSURINEWS編>
この記事は『週刊つりニュース中部版』2021年6月11日号に掲載された記事を再編集したものになります。The post 日本海の大物天国『玄達瀬』が解禁 完全フカセ釣りで狙うヒラマサ攻略法 first appeared on TSURINEWS.