メッキの回遊をチェックしにライトゲームに出かけた筆者。本命からの反応はなくヒットしたのは45cmチヌ。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター森英雄)
ライトタックルでメッキ狙い
この時季、ライトタックルで手軽に狙え、かつスリリングなやり取りが楽しめる魚のひとつがメッキである。しかし明石でメッキを狙って釣行する釣り人は少ないため、メッキが釣れているかどうかという情報はほとんどない。
だからメッキが回遊してきているのかどうかは、毎年自分で釣行して確かめるしかない。そんなわけでライトタックル片手にメッキを狙いに明石川へと釣行することにした。
当日のタックルと状況

明石川のメッキ狙いでは7g程度のメタルジグを遠投して広く探ることもあるので、長さ8.6ft・ルアーウェイト1~15gと、ライトゲーム用のロッドでもやや長めで少し重めのルアーも扱えるロッドを使用。
リールは小型スピニングリール、メインラインはPEライン0.3号(6lb)、リーダーはフロロカーボン1.5号と一般的なライトゲーム用のラインとした。
当日の状況
釣行日時:2021年10月3日、午前6時~7時30分
潮汐:若潮の後の中潮1日目
ポイント:明石川~明石川河口~明石川河口サーフ
メッキは死滅回遊魚
南の海から黒潮に乗って回遊してくるメッキだが、明石界隈で釣れるのは主にギンガメアジとロウニンアジの幼魚だ。
死滅回遊魚なので大きく成長したものはいない。釣れるのはせいぜい20cm程度のものまでだが、そこは何と言ってもGTの子。海面を割ってトップウォータープラグに襲い掛かるシーンは実にエキサイトだ。もちろんハリ掛かりした後の引きもシャープで力強い。
ポッパーでは不発
そんなライトタックルの好敵手を求めて明石川護岸へと降り立ったのは午前6時。トップウォーター主体のゲームなので、完全に夜が明けてからの開始だ。
まずは7cmのポッパーからスタート。
ルアー変更も反応なし
ポッパーがだめならペンシルベイトだ。6cmのペンシルにかえて上流から下流へと広くドッグウォークさせてみるが、やはり魚の気配は感じられない。「あれ?どうなってるの?」メッキは年によって回遊にムラがあるから、釣れないことがあっても不思議ではない。
ただメッキがいなくても、いつもなら数釣れる20cm前後のチビシーバスの姿も見当たらない。トップに反応がないならと、シンキングペンシルやミノーで表層直下を探ってみてもやはりダメ。
魚がいるなら偏光グラス越しにルアーの後ろを追いかけて来る姿が何匹も確認できるはずだが、それがまったくないのだ。エントリーポイントから河口部まで約400mの間をトップウォータープラグ、ミノー、シンキングペンシル、メタルジグと様々なルアーを使って探ってみたものの、魚の反応はまったくない。
河口部横のサーフへ移動
ここで河川内は諦めて河口部横のサーフを探ってみることにした。過去にはサーフでメッキやチビシーバスを数釣ったこともある。
明石川河口部から横に伸びるサーフは200m足らずの小さなサーフだ。ルアーを投げながら往復しても大して時間はかからない。
「メッキよ、こい!」「チビシーバスでもいいぞ!!」
力を入れてルアーをフルキャストして引いてくるが、ここでも魚の反応は得られない。そうこうしているうちにサーフの反対側の端まで来てしまった。ちょっと一息ついてから今来たサーフを折り返す。
ペンシルベイトをフルキャスト。ロッドティップを軽く揺らす程度の力でドッグウォークさせる。反応がないので5m移動。
待望のアタリ到来
「何でもええからこい!」
もう半分やけくそでルアーを投げる。右へ左へと頭を振りながら波打ち際近くまでルアーがきた。また移動やな。そう思って移動する方向へよそ見をした瞬間、バシンッ!という大きな音とともにロッドを持つ手に衝撃が伝わってきた。
びっくりしてルアーの方を振り向くと水しぶきが上がり、大きな波紋ができている。魚はいきなりガンガンと大きく頭を振りだした。
良型チヌと緊張のやりとり
今度は魚が沖に向かって走り出す。ライトタックルなので無理は禁物。魚が走る時はロッドを寝かせ気味にしてラインを出し、走りが止まったところでロッドを立てて魚を寄せる。少しずつ弱らせるように慎重にやり取りをし、波打ち際まで寄せてきた魚が偏光グラス越しに見えた。
「チヌだ」。まずまずの大きさのようだ。
波打ち際まで来ていたチヌがまた沖へと走ろうとする。リーダーがチヌの背中に擦れるのが見える。「こ、怖い……」。
見えなければ何とも思わないのだろうが、なまじやり取りが見えると、チヌの硬い背びれに当たってリーダーが切れないかと冷や冷やものだ。リーダーとの角度を付けようとロッドを立てたままで耐えているとチヌはこちらを向いた。その場で苦しそうに何度もヒラを打つ。
もうかなり弱っているはずだ。次の寄せ波を待って砂浜へずり上げよう。
が、ずり上げる時がさらに怖い。チヌの重さプラス砂浜との摩擦の負荷がラインにかかる。
魚が暴れませんように……!
ラインが持ちますように……!!
45cmチヌ手中
幸いチヌはおとなしく寄せ波に乗ってくれたが、上半身(?)は陸に上がったものの下半身(?)は波に洗われるという中途半端な状態になった。ラインが太ければ強引にずり上げるところだが、そうはいかない。
ロッドを持つ右手でラインテンションを緩めないように注意しながら、ズボンのベルトループに引っ掛けてあったライトゲーム用のフィッシュグリップを左手で外し、そ~っとそ~~っとチヌに近寄ってグリップを口に掛けた。
フィッシュグリップを持って砂浜へとずり上げた魚は、腹回りが少し痩せているように見えるが銀ピカ・ヒレピンのきれいなマチヌだった。いつ見ても背びれをピンと立てたいぶし銀の姿は実にカッコいい。

魚体の下側になって分かりにくいが、ルアーのテールフックの1本がチヌの右カンヌキにガッツリと掛かっていた。

計測すると45cm。痩せ気味だったせいかもう少し長さがあるように見えたが、まあそれでも立派なサイズだと言えるだろう。

ライトタックルでドラグを効かせての慎重なやり取りだったのに、チヌのカンヌキを捉えていたフックは少し伸びていた。
ライトゲームの可能性
今回は狙ったわけではなくたまたまライトタックルでチヌが釣れたが、そのゲーム性の高さからライトゲームでチヌを狙うアングラーは増えているようだ。細いPEライン、細いリーダーで50cm近いチヌを狙う。それは確かにエキサイティングな釣りだと思う。
しかしチヌを狙うエサ釣り=フカセ釣りや紀州釣り、落とし込み釣り、かかり釣りなどでは(かなりやわらかい調子のサオを使うとはいえ)、ハリスはフロロカーボンの1.5号程度を使うことが多い。
今回ぼくが使用したラインはPEライン0.3号(6lb=1.5号)にフロロリーダー1.5号。ルアーフィッシングではライトゲームに分類されるかなり細いラインだが、PEライン、リーダーともに1.5号と、エサ釣りのチヌ狙いでは標準的な太さ(強度)のラインである。そう考えるとライトタックルでチヌを狙うことは、さほど無理のあることではないと言えるのかもしれない。
関西でハネ(フッコ)、スズキを狙う際の代表的な釣り方であるエビまき釣りでも、ミチイトはナイロンの3号程度のものを使うが、ハリスは1.5号~2号程度を使うのが標準的な仕掛けである。であれば、チヌ狙いと同様、ライトタックルでシーバスを狙うというのも十分アリな話だと思う。
というか、すでにライトタックルによるシーバスゲームの楽しさを発信しているアングラーもたくさんいるし、ぼく自身も60cm程度のシーバスまでならライトタックルで釣ったことがある。エギングに行くときにはタックルボックスにメタルジグをひとつは忍ばせておくというエギンガーの方も多いだろう。
ライトタックルを使ったゲームはアジングやメバリングなどにとどまらず、その可能性は今後もっともっと広がっていくのではないだろうか。
<森英雄/TSURINEWSライター>
▼この釣り場について明石川河口
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