カレイシーズン本番ということで、今回は投げ釣りで狙うカレイの入門解説をしたい。タックルと釣り方はもちろん、それ以上にポイントとなる「時合い」や「ポイント選び」についても言及しているので、ぜひ参考にカレイ釣りに出かけていただきたい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 長谷川靖之)
投げカレイ釣り
私たち投げ釣りファンにとって、秋口は最もソワソワする時期である。投げ釣り好ターゲットのカレイがシーズインするタイミングで「そろそろあの釣り場で釣れだしたのではないだろうか」と思いを巡らせていると、いても立ってもいられなくなる。

特に今年の中部エリアでは、知多半島や渥美半島で好釣果が聞かれており、当たり年の予感も。今回はそんな投げ釣りファンを魅了するカレイ釣りについてのノウハウを書いてみたい。
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時合いはごく短時間
数ある投げ釣りのターゲットの中でも、潮による時合いがこれほどはっきりしている魚種はない。シロギスやマダイは回遊性の魚なので、回遊して来てエサを見つければ捕食行動につながるが、カレイの場合は目の前にエサがあっても、時合いに入らないと捕食しない。
この時合いは一日のうちでもせいぜい30分~1時間程度であり、この時間に自分の釣り座の前にカレイがいればバタバタッと釣れるが、それ以外の時間は釣れることが少ないし、目の前にカレイがいなければ時合いに入っても当然釣れることはない。
この時合いは釣り場と潮回りで同じパターンになるかというと、そうならないケースが多々あることも厄介だ。前日の午前9時~10時の間によく釣れたから、同じ釣り座で翌日も同じ時間帯に時合いに入るとは限らないのだ。
忍耐と粘りの釣り
つまりカレイ釣りは目の前にカレイがいるかいないか分からないなかで、いつくるか分からない30分~1時間程度の時合いのために、エサを付けてキャストし、誘いをかける動作を続ける釣りなのである。
2~3時間釣りをして釣れないからといってポイントを移動しているようでは、カレイの顔を拝むのは至難の業であると言えるだろう。

冒頭にハードルを上げるようなことを書いたのは、昔から「カレイは腰で釣れ」という格言があるように、忍耐と粘りの釣りであることを知っていただくことが、カレイと出会うための第一歩だからである。その代わりに我慢した分、釣れた時の感動は他の魚種では得られない特別なものだ。
投げカレイ釣りのタックル
カレイが集まるポイントは、自分が構えた釣り座からほんの10m先の場合もあれば、120mも投げなければ届かない場合もある。近ければ近いほど釣り荒れが早く、先客が釣り切ってしまった場合は、好ポイントであってもボウズのリスクがある。投げ釣りでは遠投力があれば、それだけ探れるポイントが広くなるので有利である。

近年の投げ釣りタックルの進歩は目ざましいものがあり、タックルと体のバランスが大きくずれない限り、少し練習すれば100mは誰もが届く射程距離である。カレイの好ポイントは前述の通り、潮の流れによってエサが集まる所なので、雑誌などで紹介される有名ポイントはいずれも潮の流れが比較的速い。
ロッド
そのようなポイントで海底に仕掛けを落ち着かせるために、オモリは最低でも30号は必要である。それを振り切るためにオモリ負荷30~33号で4.05~4.25mのロッドがいい。
リール
一般的な投げ専用リールで3号のミチイトが200m巻けるタイプのものでいい。近年大物用の投げ専用リールとして、クイックドラグ調整機能付きのものが発売されており、不意の大物に対処できる利点がある。カレイ釣りだけに関してドラグ調整はあまり必要ないが、カレイを狙っていてスズキやクロダイが乱入してくるケースはそう珍しくないので、不意の大物に備えてドラグ機能のあるリールがお勧めである。
ミチイト
ミチイトの素材はナイロンライン、フロロカーボンライン、PEライン(ポリエチレン)の3種類がある。ナイロンラインは安価だが、劣化が早く3回の釣行ごとに巻き替えが必要となる。
フロロカーボンラインは比重が大きく、沈降速度が速いので漁船の航行が多いポイントでは有利であるが、高価なのがネック。PEライン(ポリエチレン)も高価なのがネックだが、耐久性に優れるのと、伸びがほとんどないので海底のくぼみやカケアガリの位置を把握しやすいという利点がある。
また、エサ取りなどの小魚の細かいアタリもダイレクトにサオ先に伝わる。特に秋のシーズン初期は海水温が高く、ベラやカワハギ、フグなどのエサ取りが海底にひしめいており、ハリにエサが残っているかどうかの判断ができるかできないかで打ち返しの効率が変わり、それがカレイと出会えるかどうかの分かれ道となる。
ただし、比重が小さいので風の強い日にはイトさばきに苦労するのと、漁船の航行が多いポイントでは船にイトを掛けられてサオごと持っていかれるので注意が必要だ。
エサ
近畿圏~中部・北陸圏で釣れるカレイの大半はマコガレイとイシガレイである。カレイは普段砂泥底に身を潜めてじっとしているが、食事タイムになると底をはうように動き回ってゴカイや貝類を捕食している。最近ではユーチューブでカレイの捕食シーンの動画を見ることができるが、姿に似合わず大きなゴカイを一気に口に入れる様子は、貪欲な一面を垣間見ることができる。

投げ釣りでは重いオモリと硬いサオで振り切るので、貝やエビなどの軟らかいエサでは切れてしまって釣りにならない。一般的にはアオイソメやイワムシといった多毛類を使うが、物価高の影響は釣りエサ業界に押し寄せている。購入するエサの目安は半日で約4千円、夕方までみっちり釣る場合は6千~7千円分を用意するが、エサ取りの状況によって増やしたり減らしたりする。
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残ったエサのうち、イワムシは塩漬けにすれば、次回以降の釣行に使用することが可能である。
ポイントの見極め
自分が釣り座を取った目の前にカレイがいるかいないかは、運命の分かれ道である。大きな港湾の波止などで数人のグループが横並びでカレイ釣りをして、全員にまんべんなくカレイが釣れることはまずない。
1人が数匹の固め釣りをする一方、ボウズになる人が必ずいるのがカレイ釣りだ。カレイは群れで生息していると言われている。釣り場を見渡してみて、彼らが集まるスポットは、潮流や波の力で形成される海底のくぼみやカケアガリ、砂底に点在するシモリ周りや藻場である。

このような場所は潮の流れによってエサが集まりやすい条件となっているためで、波止のコーナー部や本流からの反転流が渦を巻くような場所はこのような条件を満たしやすい。
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アタリから取り込みまで
イシガレイのアタリはマコガレイよりも大きく出ることが多く、大型イシガレイではサオ尻を浮かせることもしばしばある。
ミチイトにPEライン(ポリエチレン)ラインを使うとマコガレイでも「カレイのアタリ?」と思わせるぐらいはっきりとサオ先にシグナルが出るので面白い。
カレイの場合、食い逃げをする魚ではないのでアタリがあっても焦らず、10カウントするくらいの余裕を持とう。

アワセは海底からゆっくりとカレイをはがすようなイメージで、サオ全体でカレイの重みを受け止める。よくのけぞるように大きくアワせる人を見かけるが、ショックが強過ぎるとハリスが切れたり、せっかくのみ込ませたハリが口からすっぽ抜ける場合があるので、無理な大アワセは不要だ。
カレイ釣りのクライマックスは手前まで寄せてきたカレイが、最後に下に突っ込もうとする時である。この直後に水面下に茶色い菱形が現れた時は感動のひと言。
ここであせらずにハリ掛かりを確認し、しっかりと口元に掛かっているようなら一気に抜き上げても問題ないが、ハリをのみ込んでいるようなら、逆にスッポ抜けの可能性があるので、大型なら無理せずタモですくう。タモはカレイ以外の大型魚に備えて必ず準備しておきたい。
釣ったカレイのレシピ
カレイと聞くと真っ先に煮つけが思い浮かぶ人が多いと思う。しかし30cmを超えるカレイは肉厚で何といっても刺し身が最高である。この時期は肝も肥大しているので、丁寧に取り出して水洗いした後、スライスをして、それをエンガワで巻いてポン酢で食べると、この世のものとは思えない最高の風味と食感を楽しむことができる。これはまさに釣り人の特権といえるだろう。

もちろん、身を取った後の中骨、ヒレは唐揚げに。
<週刊つりニュース中部版 長谷川靖之/TSURINEWS編>
この記事は『週刊つりニュース中部版』2021年12月17日号に掲載された記事を再編集したものになります。The post 投げカレイ釣り入門 【タックル・釣り方・時合い・ポイント選び解説】 first appeared on TSURINEWS.