ほとんどの魚種が大きく活性を落とす厳冬期にも釣りが成立するのが、イワシ泳がせのヒラメ釣り。もちろん釣れないこともあるのだが、2022年の運試しにいかがだろう。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 APC・峯卓)
泳がせ釣りで狙う寒ビラメ
読者の皆さまの明けて新年の釣りは、何を計画されているだろうか。2022年も幸先の良いスタートを切るために、いろいろと計画を練っていることだろう。
やはり縁起がいい魚の最右翼は、その身にまとう赤色がいかにも邪気を払ってくれそうなマダイだろうか。しかし海上釣り堀を除けば、今は短いシーズンオフ。なかなか手堅い釣果は難しい。
しかし縁起をかついでめでたい魚で新春の釣りを飾りたい。いたいた!あの魚!唱歌、浦島太郎でもタイと一緒に舞い躍っていたアイツ。新春の低水温期で締まった厚い身は、白身にも関わらず脂の乗りも十分だ。

厳冬期は食いが落ちる魚が大多数だが、アイツは違う。春からの産卵に備え、大型ほど低水温でも活発にエサを追いかけ回す。そう、ヒラメである。
冬は座布団クラスも射程圏内
茶色いボディーはオメデタくないって?裏返しときゃまっさらな年の始まりにふさわしい純白だ。ギッシリ並んだ鋭い歯が恐ろしいって?口を見ずに目をご覧なさい、金色に縁取られた瞳の形は、なんとハート型。
70cmを超える大型は座布団ビラメと呼ばれる。新年早々からクーラーボックスに座布団重ねようもんなら、悪い年になる訳がない。もちろん個体数の少ない大型を仕留めるには、鼻水垂らして寒風蹴散らす根性と周到な準備、そして一番大事な少しの運が欠かせない。今回はイワシ泳がせでのヒラメ釣りを紹介しよう。
タックル&仕掛け
まずはイワシ泳がせに必要な道具立ての紹介をしていこう。

ロッド
おおむねオモリ負荷50号前後で、全長2~2.7m前後のオーソドックスな7対3調子がオススメだが、6対4調子で負荷をあえてモタレ気味に楽しむのも、釣趣がより深くなって面白い。
この季節にベタナギの日なんて期待できないので、ロッドは終始手持ちが絶対となる。そのため強さや調子もさることながら、持ち重りの少ない軽さとバランスが重要な要素になってくる。
リール&ライン
小型の電動か手巻きのベイトリールを使用する。ミチイトのPEライン1.5~3号が最低200m巻ける製品なら事足りるだろう。
PEラインの強度は想像以上である。うれしいゲストのブリやハタ類だって、1.5号あれば走り回られて手に負えないなんてことは決してない。細いラインは潮切りがいいのでオマツリも避けられるし、何より操作性が格段に上がる。

少し前までは4号、5号といった猛者もいらっしゃったが、強度と心理的な安心感だろうか、2号を使用する人が多いようだ。
タックルの持ち重りは総重量ではなく、バランスで決まる。必ずリールをセットした状態で構えてみて、セッティングを決めるようにする。
仕掛け
最後に準備する小物類だが、仕掛けは親バリと孫バリの胴つき仕掛けである。親バリは丸セイゴの17、18号、孫バリは伊勢尼の10、12号かトリプルフックの6号といったところだ。
アタった瞬間のびっくりアワセでも掛かってしまうことの多いトリプルフックは慣れていない人には最適だし、ハリ数の多さは何となく安心感があるというのも否定しない。しかし晩冬から初春のこの時期は食ったら良型、大型であるし、掛かる外道もブリにワラサと怪力ぞろいだ。

構造上、浅く掛かる確率の高いトリプルはあっけなく伸ばされてしまうことも多く見かける。数釣り期ではない今はなるべく親、孫ともに強度に不安のないシングルがベストだ。ハリスはフロロの6~7号を80cm前後、捨てイトは3~4号を20~50cmでバッチリだ。
オモリは船宿によって、潮回りによって指示される号数は違うので、60、80号をいくつかと、念のために100号が1つあれば、どのエリアでもおおむね対応できるだろう。
その他
その他にはイワシをすくうザルやハリを外すプライヤー程度で、用意すべき小物は意外に多くない。イワシを元気に泳がせてナンボの釣りであるから、ウロコをはがす手袋だけは我慢!濡れた手を守るタオルとカイロで辛抱だ。
エサ付け
では具体的な釣り方の説明だが、基本的には季節やヒラメの多寡、活性にかかわらず釣り方は同じだ。ポイントに着くと各釣り座にイワシが2~3匹ずつ配られる。

投入の合図があれば素早くエサ付けを行う。まずは十分に手を濡らし、イワシの目を隠すように親指と人差し指の腹で軽く握る。ウロコがはがれると途端に弱るので、手のひらは使わないことだ。
頭部だけを握った状態で素早く口掛けか鼻掛けで親バリを掛ける。口ならば上アゴの硬い部分に、鼻ならハリのフトコロまで丁寧に刺せばイワシはズレずに泳いでくれる。親が刺せたらそのまま手首を返して孫バリを打つ。孫バリの場所は肛門や尻ビレ、背ビレ付近など好みの場所で構わない。

打つ場所で釣果は変わらないので、自分が最も素早くスムーズにエサ付けできる場所にハリを掛けよう。
投入&タナ取り
エサ付けが済めばいよいよ落とし込んでいくが、必ずサミングで緩くテンションをかけながら落としていく。
フリーで落とすと高確率でミキイトにハリスが巻いてしまい、絡んだエサにはまず食ってこないので注意していただきたい。着底したらまずは素早く底を切る。捨てイトの長さにもよるが、50cmから1mは浮かせよう。
勘違いが一番多いのがココだ。

少しでも浮かせて飛びつかせるとアタリも大きく出て、底に戻ろうとする本アタリまでのタイミングも明確だ。必ずオモリは底を切っておこう。
ファイト&取り込み
イワシを弱らせずハリに掛け、底を少し切った状態で流せたならば必ずアタリは出せるはずだ。ガンッと金属的なアタリで一気に持ち込むのは大型が多く、フッキングも容易に決まるが、一番典型的であり、なおかつヒラメ釣りの醍醐味といってもいいのが、間欠的にガシガシとロッドをたたくアタリである。

「いけ!いけ!」と祈る釣り人の想いとは裏腹になかなか持ち込まず、かといってエサを離すでもなく、どこで勝負すべきか悩ましい限りである。よく言われる送り込みはさらにアタリをぼやけさせるので賢明とは言えない。どうか勇気を出してゆっくりと、至極ゆっくりと巻き上げていただきたい。

底を離れすぎることを嫌ってか、反転しての大きな引き込みが出るはずだ。ココが勝負時!ゆっくりと大きなストロークでアワせればきれいにフッキングは決まるはずだ。
後は心地よい重量感を堪能しながら巻き上げてくる。
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アフターフィッシング
冒頭でも書いたが、この時期のヒラメは上品な脂が乗りどんな調理方法でもおいしくいただける。刺し身が一般的であるが、釣ったその日は身がいかった(弾力のある)状態なので、薄造りがお勧め。キッチンペーパーでくるんで2日ほど寝かせると、弾力は失われるものの皮目からの脂とうま味が広がり、えもいわれぬ味を堪能できる。
また酢で濡らした昆布でサクを包み、2日ほど寝かせた昆布締めもお勧め。もちろんフライやムニエルも絶品だし、アラは最高のダシが取れるのでミソを使わない潮汁が最高だ。アラをそのまま水から煮ていき、アクを取りつつ味つけは少量の塩のみ。酒宴の後の締めの一品に最適だ。
運試しにいかが
ほとんどの魚種が大きく活性を落とす厳冬期でも釣りが成立する泳がせのヒラメ釣り。とはいえ大型狙いにはつきものだが、ボウズだってないわけじゃない。そんなリスキーなことせず、コタツでみかん食べてたって全く問題ございません。

でもね、新年早々ヒリヒリしびれる釣りを制そうものなら、2022年は間違いないよね。
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<週刊つりニュース中部版 APC・峯卓/TSURINEWS編>
この記事は『週刊つりニュース版』2022年1月7日号に掲載された記事を再編集したものになります。The post 【2022中部】船ヒラメ釣り入門 イワシ泳がせ釣りのキホンを解説 first appeared on TSURINEWS.