今回はある程度釣りの経験はあるけ磯釣りは初めてという方を対象に、メジナ(グレ)狙いの磯フカセ釣りの6つの基本要素について解説いたします。難しい理屈やレベルの高い釣りテクニックは必要最低限で、とにかく安全第一で、かつ楽ちんな釣りができて、楽し時間が過ごせたらいいと思います。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター山口義宏)
1、釣りのポイント
まずは釣りのポイント関連の要素を紹介。

距離
立ち位置が決まったら、正面のだいたい10m(サオ2本)前方ぐらいに狙いを定めます。理由はウキの視認性とまきエサの投入の容易さです。逆に手前すぎるとまきエサ投入は容易なのですが、根掛かりの可能性があり、トラブル発生の元になります。
また、遠投(目安は15m前方)してしまうとウキの視認性が落ち、まきエサの有効範囲も落ちてきます。10mぐらいが経験的に適度なポイントと言えるでしょう。
なお、理想のポイントは潮目付近、ヨレ、泡立ちの辺り、沈み根付近といったところですが、最初のころはあまり考えなくてもいいです。だんだん釣行を重ねると潮を見る目もできてきますので、焦らなくともいいです。ベテランの釣り師も最初のころはみんなそうでした。
方向
自分の正面にします。つまり磯場に直角な方向です。なぜかというと正面が一番魚とのやり取りがしやすいということと、釣り座の横に仲間がいる場合に、互いに正面に投げていれば、互いの仕掛け絡みも防止できます。
ただし、潮の流れで左右どちらかに流される場合は、自分のウキが横の人の正面ぐらいになったら、横の人の邪魔になるので回収して下さい。横にせり出た岩場がある場合なども根が掛かりするので注意しましょう。
タナの設定
タナは取り敢えずサオ1本から開始してください。メジナの釣れるタナは2ヒロから概ねサオ1本半に集約されるので、中間のタナのサオ1本で始めましょう。
その後アタリの状況を見ながらタナの変更を考慮しましょう。先客がいればタナの設定を聞くのも一つの方法です。ざっくりな感じですが、メジナの活性が高いと2ヒロぐらいで、逆に冬場の活性が落ちている時は深めで攻めるのがセオリーです。
中間のタナは活性がある時も釣れるタナですが、さすがに活性が落ちているときはかなり分が悪くなります。もしも複数の仲間で釣りを開始した時は、互いにタナをかえて、一番釣れるタナにする手法もいいと思います。
2、まきエサワーク
続いてまきエサワークに関しての要素を紹介します。
投げ方
オーバースロー、サイドスロー,アンダースローの3種類があります。最初のころはアンダースローがやりやすいです。始めのころはなかなか思った所に飛びませんが、徐々に慣れてきます。サオを振る前に10回ぐらい練習すれば概ね感じもつかめます。
サイドスローは手前にまく時に有効で、オーバースローは遠投向きで、45度ぐらの上方に投げると距離がでます。
まく要領
まきエサは仕掛けの投入前に軽く1回、もしくは2回まきます。先にまく理由は、付けエサの沈下速度がまきエサよりも速いからです。これは、仕掛けにはウキ以外にハリ、ハリス、カラマン棒、スイベル(場合によってはガン玉)の重さがさしエサにプラスされるためです。重要なことはまきエサと付けエサを同調させて釣りをすることです。
それと裏ワザとしては、まきエサしたポイントよりも少し遠方に投げて、その後まきエサした付近までウキを引き寄せるというやり方です。このやり方であれば間違いなく付けエサが、まきエサと概ね同調するので、釣果に繋がるでしょう。
あとヒシャクのスプーンも時々水汲みバケツの中で洗いましょう。こうするとバッカンの中のまきエサを、スムースにスプーンですくうことができます。また、適度なまきエサも考えましょう。頻?にまくとエサ取りが増える要因になります。
3、サオのさばき方
次はサオのさばき方に関する要素を紹介します。
サオの振り方
サオの振り方は、サイドスロー気味に振るのが一番やりやすいでしょう。磯場の状況(地形や風)では利き手と逆に振る必要性も生じます。オーバースローは遠投に向いていますが、最初のころはあまりしなくてもいいです。もしも将来的にかご釣り遠投をする場合は、この振り方が必要となるのでフカセザオで経験しておくといいでしょう。
サオの構え方
アタリを待つ間のサオの構え方は、寝かすか立てて待つかですが、割と大物が食いついた時にサオを寝かしていると、バラシの確率が高いです。理由はサオを立てる前に一瞬ハリスと魚を棒引きする状態になるため、ハリ外れか、ハリスが切れるケースとなるからです。
サオを立てている場合は、既にサオは立て気味になっているため、そこからしっかりとサオを立てる状態を作れるので対応は素早くできます。特にアタリが手前ほど、サオを立てて構えておきましょう。
ただ、ウキが沖に流れていく場合などで、割とサオを立てる時間的に余裕がある時は、サオを寝かしていても問題ないでしょう。ただし風がある時はミチイトが風下に流されて、立ち位置の横方向にある岩場に、ミチイトが引っ掛かり予期せぬトラブルが発生しますから注意が必要です。サオを寝かせている時は、ウキをメインでミチイトも時々見てください。
アタリからタモ入れ
アタリの直後のやり取りは、そのままサオを立てた状態でリールをゴり巻きして結構です。私は常にこの方法でやっていますが、特に問題ありません。ポンピングする方もおられますが、逆にサオを下げた時に締め込みが重なると、バラシのリスクが発生します。
魚の引きが強力な場合は、レバーブレーキの使用、またはドラグを緩めて対応しますが、不必要にミチイトを出すのは厳禁です。そして常にサオを立てた状態にしておきます。数回の締め込みに耐えれば魚も弱ってきます。最後に魚を海面から少し出せば、空気を吸い一気に弱るので速やかにタモ入れします。
またタモ網に魚が入ったのを確認したら、ミチイトを少し出してサオとリールにかかっている負荷を取り、その後の作業をスムースにしましょう。タモ入れは、最初は仲間にしてもらうのが確実です。もしも一人の時は、事前によくイメージしておいてください。あとは何回か小魚が掛かった時に練習しておくことをお勧めします。

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4、仕掛けの変更・調整
続いて、仕掛け変更などに関した要素を紹介します。
タナの変更
アタリがない時はタナを深くします。ただし深くし過ぎるとウキが浅場に流れた時に、根掛かりするので注意が必要です。タナの変更は30cmぐらいに刻みながらやりましょう。釣れ始めたらそのタナをキープします。
なおタナを深くするためにウキ止めを伸ばすと、だいたい3回目ぐらいにはウキ止めの結束力が落ちるので留意してください。結束が緩んでいる時はウキ止めを交換します。
ハリスの交換
アタリがない時はハリスを細くします(例、1.75から1.5号ハリス)。途端に釣れ始める場合もあります。
ただし、マヅメの時間帯は大物が掛かる可能性があるので、サイズダウンは控え目にしましょう。特に夕マヅメは大物の確率が高まるので、それまで釣れていなくともハリスのサイズアップ(例、2から5号ハリス)を機械的に行います。
なお、ハリも場合によってはかえますが、最初のころは同じハリでいいと思います。グレバリの5から7号が基本になります。
立ち位置をかえる
時間の推移と共に潮の流れや風向き、また潮の上がり下がりもあるので、回りをよく見ながら立ち位置も考えましょう。事前に立ち位置の腹案を持っていると移動も楽になります。特に潮が満ちてくる際は、足場が濡れてくるので安全上も早めに移動しましょう。
ウキの交換
ウキの交換は最初にMの3Bぐらいから開始していれば、特に変更の必要性はありません。余ほど遠投すればLの1号前後のウキの必要性も考えます。重要なのはウキから下の仕掛けです。色は日中はオレンジでやや暗くなっきたらイェローがいいといわれています。私はあまり気にしません。
もちろん夜釣りになれば、電気ウキにします。
5、エサ取り対策
次にエサ取り対策に関する要素を紹介します。
まきエサで分断
まきエサを別々の場所にまき、エサ取りを本命のポイントから離す手法は、最もオーソドックスなエサ取対策でしょう。
基本は自分の足元に多めのまきエサを行い、狙うポイントに少々のまきエサをするやり方です。それとまきエサにパン粉を多めに入れると、まきエサの匂いがかなりしなくなるので、有効な手段です(匂いに魚が反応するので、その逆手を考えます)。
ガン玉の利用
エサ取りの層を速やかに突破するために、ハリスの真ん中付近とハリのチモト付近にガン玉を付けます。ガン玉付きの仕掛けは通常の仕掛けより、早く沈降するのでまきエサとの同調する時間は短くなりますが、エサ取り対策としてはかなり有効です。
ただしガン玉を付けるとウキの浮力が少し必要になるので、ウキの交換を考えておきましょう。なお、理想はガン玉なしで、さしエサとまきエサとを自然に同調させるのが、望ましいのは言うまでもありません。
さしエサの変更
通常のエサのかわりに次のエサを考えます。
・練りエサ
・ボイル
・通常のエサを複数抱き合わせる
・エサ巻き糸の使用
上記の中で練りエサはエサ取り対策には有効とされ、パン粉入りの練エサもあります。ただ付けエサに比べ自重がある場合(練エサの大きさにもよる)は、まきエサとの同調の点でやや微妙かもしれません。
ボイルはエサ持ちとハリ持ちもいいので割と長持ちします。私もボイルを頻?に使用して、グレの食いもいいのでお勧めですが、エサ取り対策的には完全ではありません。また巻きイトはイトを巻くのに少々時間が必要で、手返しが減るのがやや難点。エサの抱き合わせは若干長持ち感がある程度、その他疑似エサの使用もありますが、グレが食った経験はありません。
以上から状況を見ながら、まきエサによる分断作戦をしつつ、仕掛けにガン玉を付けて、付けエサにボイルを使用が一番ベストのエサ取対策かもしれません。
あと小アジや小サバがわいた場合はおそらく何をしてもダメな場合が多いので、瀬がわりで場所をかわる事も考えてください。
6、トラブル対応
最後に、トラブル対応関連の要素を紹介します。

根掛かり
根掛かりは一度の釣行で数回は覚悟しましょう。もしも根掛かったらサオを磯に置き、磯手袋の上にさらにウエスを巻いて(怪我防止の為)慎重にミチイト引きます。上手くいけば、ハリが外れて無事に仕掛けを回収できますが、運が悪い時はウキも外れます。ウキはタモで回収できる時もありますが、無理は禁物です。間違って海に落ちないようにしましょう。
根掛かり防止としては沈み根付近や瀬際付近を注意すれば、根掛かりの頻度は減らせます。事前にウキがこの辺まできたら回収と決めているといいです。
転倒防止
磯では必ず濡れた岩場を歩くケースがあります。例えばタモ入れ、水汲みバケツに海水を入れる時、根掛かりした時などです。磯靴を履いていても足の踏み外しやスリップは必ず起きるので、できれば片手は必ず何も持たないでください。片手が空いているとバランスが取りやすいので転倒防止になります。
それと常に安全で歩き易い経路を決めておくのも有効な手段です。最短ルートではなく、安全ルートを歩きましょう。
指のひび割れ
海水で頻繁に手を洗ったりすると手先の部分にひび割れが生じます。現場でも痛く、また家に帰ってもなかなか治らないのですが、奥の手があります。ホームセンターに売られている瞬間接着剤を使用します。
切れている部分にほんの少したらして下さい。数分で皮膚が接着して痛みも感じなくなります(米軍でも有効な傷を治す応急処置と文献で読みました。また、瞬間接着剤が皮膚についても科学的に問題ないそうです)。
留意点は際瞬間接着剤をつけた指先は下を向けて下さい、また他の指先もくっつけないようにして下さい。そうしないと不要な指と指の接着が発生するのでこの点だけ注意して下さい。
体調管理も重要
初めて磯フカセ釣りをする方対象で、割と簡単で要点のみの説明になっており、実際に磯場で解決しなければならないこともあるかと思いますが、概ね上記の要領を基本にされて、さらに応用力をつけられれば確実に実力は備わると思います。
なお、意外と釣りに夢中になって、休憩が取れない時が多いので、何時なったら休むとか、次投げたら食事するとか考えて、疲労がたまらないようにしましょう。
せっかくの休日の大切な時間ですから、明日の仕事に支障のないようにして下さい。そして、くれぐれも安全第一で釣行をされますようお願い申し上げます。
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<山口義宏/TSURINEWSライター>
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