水温の低下とともに沖の深場へ移動するアオリイカ。ショアから狙いにくくなる冬に効果的なのが、船から深場を狙うティップランエギングだ。

今回は最近のオフショアエギングで主流になっている厳寒期のティップランについて解説しよう。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 山根充伸)

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真冬のティップランエギング

年の暮れに大寒波が到来し、日本列島は一気に冷え込んでしまい2022年は寒い年明けとなってしまった。海の中も同様に海水温は一気に低下し、アオリイカたちは春の産卵シーズンまで沖の安定した深場に定着するようになり、岸近くの浅場では簡単に釣れなくなってきた。

【中部2022】ティップランエギング入門解説 タックル&基本の釣り方
価値ある1匹を狙ってみよう(提供:週刊つりニュース中部版 山根充伸)

ティップランエギングとは、通常のエギングのようにラインでアタリを取って掛けアワせていく釣り方と違い、繊細なロッドティップに出るアタリを目で見て掛けアワせていく釣法だ。エギの投入からラインメンディング、そしてシャクリからアワセまでが、従来のエギングとは全く別の釣法といっていいだろう。

タックル

基本的なタックルを紹介しよう。

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タックル図(作図:週刊つりニュース中部版 山根充伸)

ロッド

この釣りで一番重要になるアイテムがロッドだ。通常のエギングロッドと違い、ティップが驚くほど繊細で、かつ深場で掛けた大きなイカを巻き上げられるだけのバットパワーを兼ね備えたティップラン専用ロッドを用意しよう。最近のエギング船の中には、ティップラン用のタックルをレンタルしているところもあるので、これを利用してもいいだろう。

リール

リールは2500~3000番クラスのスピニングリールが標準で、ドラグ性能のいいものをセットしよう。最近では底取りが容易で重いエギをシャクりやすく、手にかかる負担が少ないベイトタックルも人気となっている。

ライン

ラインは水深のあるポイントを攻めるので、潮受けの少ないPEラインの0.4~0.6号を150~200mほどリールに巻いておこう。

リーダー

リーダーはフロロカーボンラインの2~2.5号を1.5ヒロほど取り、強度のあるノットで結束しておく。

エギ

エギはティップラン専用のエギを、各色各サイズそろえておく。根掛かりでロストすることも考慮して、多数用意しておこう。

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ティップラン専用エギ(提供:週刊つりニュース中部版 山根充伸)

シンカー

エギの鼻先に装着するノーズ系のシンカーを各サイズ用意し、そのときの風や潮の流れ、水深などに合わせてその都度付け替えてアジャストしていく。

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ノーズ系シンカー各種(提供:週刊つりニュース中部版 山根充伸)

またこのシンカーは、ショアで使うノーマルのエギに装着することで、深い水深にも対応することができるようになる。

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ノーマルのエギにシンカー装着(提供:週刊つりニュース中部版 山根充伸)


『ボートエギング』ステップアップ解説 ティップラン用と通常エギの違い - TSURINEWS

基本的な釣り方

釣り方のスタイルはドテラ流しが基本で、まずはエギを足元付近に投入し、流れていないときはスピニングタックルで少しキャストしてみよう。リールはフリーで、一気にボトムまでエギをフォールさせる。

エギが着底したらアクションの開始だ。巻きジャクリを数回入れ、すぐにラインを張ってティップにテンションをかけてアタリを待つ。このときのエギの姿勢は、流れる船に引っ張られながら横方向へスライドする、いわゆる水平移動の状態だ。

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まずはボトムまでフォールさせる(提供:週刊つりニュース中部版 山根充伸)

この釣りのアタリは、この水平移動中にしか出ないので、ティップに集中しよう。数秒待ってアタリがなければ再び底を取り直して、同じ動作を繰り返す。

船が流されラインに角度がついてきたら、エギをピックアップして再度同じ動作を繰り返そう。イカの群れに当たれば、同船者に連鎖して釣れるのが特徴だ。

ボトムを確実に取る

この釣りは確実にボトムとのコンタクトを取らないと、アオリイカに出会うことはできない。船長から水深が伝えられたらエギを投入するのだが、このときのラインの送り出し方はスピニングならベールを起こして、ロッドをあおりながら海面にラインを乗せるように出し、一定のリズムでボトムまで一気に落としていく。

エギの着底は、送り出したラインの出が止まったり緩くなったりしたときだ。波やウネリで確認しづらいこともあるが、ラインの出と船の流れる速度を比べながら、着底をしっかり見極めることが重要だ。ベイトの場合はスプールの回転が止まるので、確認しやすい。

アクション&アタリ

アクションはロッドのバットを利用したシャクリ幅の小さい巻きジャクリ(シャクリ1回入れると同時にリールのハンドルを素早くひと巻きする)を、一定のリズムで行う。水深にもよるが、5~10回ほど入れてアピールしよう。

特徴的なアタリとしては、ロッドティップがピンと一瞬戻ったり、ティップがモゾモゾやフワフワ揺れ動いたり、コツッとしたり、ティップが引き込まれたりなど。あれ?これ?ん?と感じたときは、とにかくアワセを入れてみよう。

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繊細なアタリを掛けた時の充実感が醍醐味(提供:週刊つりニュース中部版 山根充伸)

アタリが出ても乗らなかったときは、通常ボトムまでエギを落としてシャクり直すのだが、この時期は空振りしてもエギを落とさず、上に上がったティップをその位置から超スローに元の位置まで戻していく。このときに再度アタリが出ることがある。

ロングポーズ

ディープの釣りでは、実際重量級のエギをシャクっても、思っているほどアクションしていないのが現実。

着底後アクションなしでリールをくるくる巻くだけでも十分アピールでき、過去の実釣でもこの釣り方で良型を釣ることができている。

また手に感じるエギの重みや疲れも軽減することができる楽ちんな釣り方なのだ。

超スローリフト&超スローフォール

イカは常にエギの後ろに着いていると信じることが大事だ。

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船はドテラ流しで片舷で釣ることになる(提供:週刊つりニュース中部版 山根充伸)

ポーズを入れた後に超スローにロッドを持ち上げていき、ある程度上げたら今度は超スローにロッドを下げてみると、リフト中やフォール中にアタリが出ることがある。ぜひ試してほしい。

エギのローテーション

エギのカラーはとても重要だ。反応がないときは、どんどんエギをローテーションさせてみよう。カラーや重さは当然のことながら、シンカーの色やサイズとエギとのマッチングもいろいろ試してみて、その日の当たりエギを見つけだそう。

また同船者にイカがヒットしたら、そのヒットカラーやサイズを聞いて合わせていくことも、釣果アップにつながる。


ティップランエギング攻略!タックル&エギ&釣り方【概要解説】 - TSURINEWS

ランディング

沖の深場でアオリイカがヒットしたら、水深がある分以下の大きさ以上に重量を感じるはずだ。だが少しファイトすれば本当に大きいかどうか分かるので、慌てないで対応しよう。

もし本当に1kgをオーバーするような大型のイカがヒットした場合は、イカの大きさと引きに合わせてリールのドラグを調整しよう。イカが引けばラインを出し、止まったらリールを巻いて、とにかく海面に浮かせてしまうことだ。

【中部2022】ティップランエギング入門解説 タックル&基本の釣り方
良型は必ずネットで取り込もう(提供:週刊つりニュース中部版 山根充伸)

ティップランでは触腕だけにハリ掛かりしていることが多いので、ラインのテンションを緩めずに船べりまで寄せ、ランディングネットを使ってスミを吐かせてから船上に取り込もう。

デカアオリにチャレンジ

盛期に比べると格段にアタリの数が少なくなったこの厳寒期に、繊細なアタリを見極めて良型のアオリイカを手にすることができれば、歓喜の渦にのみ込まれることは間違いないだろう。

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良型を手にしよう(提供:週刊つりニュース中部版 山根充伸)

軽装で楽しめた秋とは違い、防寒対策は必須のこの時期、皆さんもティップランエギングで、デカアオリイカに挑戦してみてはいかが。


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<週刊つりニュース中部版 山根充伸/TSURINEWS編>

この記事は『週刊つりニュース中部版』2022年1月21日号に掲載された記事を再編集したものになります。The post 【中部2022】ティップランエギング入門解説 タックル&基本の釣り方 first appeared on TSURINEWS.