伊良湖沖のニューターゲットとして注目されているコウイカ。食材としての価値も高いことから人気が上昇している。

今回、このイカの生態や基本的な釣り方のほか、コウイカ専門便を出している現地の船長に聞いた、虎の巻を紹介したい。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

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コウイカの生態

胴長で20cm前後になるイカで、どっしりとボリューム感のある体形をしている。水深10mから100m程度までと幅広い水深帯に生息しており、早春から春にかけての産卵期は、沿岸の浅場に集まってくる。

【伊良湖沖2022】船コウイカエギング入門 道具・仕掛け・釣り方を解説
ズシッという重量感がたまらない(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

常に底付近を生活の場としており、砂地か砂に岩礁が交じるような地形を好む。エサはエビやシャコなどの甲殻類を主食としているが、動きの速くない小型の魚類、弱った魚なども捕食する。

タックル

一般に「コウイカタックル」として紹介されているのは、関東式のライトな釣り方に合わせたもの。伊良湖水道のコウイカ釣りは、潮流が速い水深30~70mの場所が釣り場となり、使用するオモリは60号(船によって80号指定となる場合もある)。ゆえに、このオモリをシャクったときの負荷に耐えるサオが必要になる。

また、この釣りは底スレスレで誘いを繰り返すため、操作性や着底感知に優れた先調子(7対3~8対2調子)で、長さは2~2.1mのものが適する。

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電動タックルは手返しがいい(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

リールは電動でも手巻きでもいいが、電動の方が手返しが楽だ。ミチイトは、PEライン1.5~2号を200~300m。実際に使うのは100m未満だが、オマツリなどでミチイトを失った場合を考えると、これぐらいあった方が安心だ。

仕掛け

ハリスの先にエギを付けた胴つき仕掛けがメイン。潮が緩ければテンビン仕掛けも有効だ。

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テンビンはキス・カレイ用がマッチ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

また、ベタ底の釣りを意識した仕掛けで、捨てイトを用いずハリスの基部となる親子サルカンに、直接オモリを装着する仕掛けもある。

これら3パターンの仕掛けの仕様は、イラストを参考にしてほしい。

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仕掛け図(作図:週刊つりニュース中部版 編集部)

エギ

アオリイカ用の3~3.5号のものが主力。タコエギなども有効だ。重心のバランスが良く、水平姿勢で沈むものがベスト。また、シャクり上げたときにダート(斜めにジグザク起動で動く)したり、沈下時にユラユラと動くものはアピールが強い。

また、エギ自体の沈下速度もコウイカの捕食に影響する。ゆっくり沈むタイプが、コウイカが視認したり抱き着いたりする時間が稼げ、自然のエサにも近く好適となる。

ただし潮が速いときの使い勝手や、エギを見たコウイカが反射的に抱く効果(リアクションバイト)を期待する場合は、速く沈下するものが適するので、このようなタイプも持っておきたい。

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エギは多色用意しよう(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

そして、一番気になるエギのカラー。他のイカ類同様、空模様や潮の濁りによって効果的な色が異なる。陽光の弱い時間帯や天候、潮が濁っている場合は、夜光の下地が施された蛍光色のオレンジやピンク、イエロー(チャート色)などアピールの強いもの。晴天で澄み潮なら、紫(パープル)が有効とされる。

エサ巻きスッテ

なお、エサ巻きスッテも効果的だが、船によっては使用が禁止されているので、乗船の前に使用の可否を必ず確認してほしい。

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エサは冷凍キビナゴ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

エサ巻きスッテを使用する場合は、先述のエギと同サイズとし、エサは冷凍キビナゴを1匹丸ごと使う。

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エサ巻きスッテのセット例(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

誘い

終始底付近かベタ底を狙う釣りとなる。砂地がメインなので根掛かりの心配は少ないが、着底を見逃したりオモリを底に着けてイトをフカせたりすると、高確率で他の人とオマツリするので避けること。

仕掛けの着底を確認したら、すぐリールを巻いてイトフケを取り、オモリがわずかに底を離れるようにする。続いてシャクリを入れるが、着底してすぐにやってはいけない。理由はオモリに比べてエギは軽いので、ハリスがバンザイしている状態にある。ここでシャクってもエギが動かないばかりか、ハリスが緩んでしまう。

そこで、あらかじめエギの沈下速度を把握しておき、着底後その時間が経過してからシャクリを入れるようにする。

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初挑戦でも釣果は手堅い(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

シャクリはサオを大きく振り上げるように行う。空アワセも兼ねるため、ある程度のスピードが必要だ。

シャクる回数は基本的に1回。60度ほどの振り幅で行う。コウイカは底付近でエサを探しているので、上に向かって3度、4度と連続してシャクリ上げても意味はない。

ひとシャクリしたら、ゆっくりサオを下げ、オモリを底付近に下ろしてアタリを待つ。

この間、エギが漂いつつ沈降してコウイカを誘う。この動作を「ステイ」と言うが、ステイの時間はコウイカの活性、エギの沈下速度、潮の速さで変わるので、一概には言えないが、実績としては5~10秒待つのが有効だ。

また、シャクリとステイを繰り返していく過程でも、まめに底を取り直し仕掛けが底から離れないようにする。

アワセ~取り込み

仕掛けの構造の特性や、エギの沈下中に抱くことが多いなどの理由で、明確なアタリは出にくく、違和感や抵抗を感じる程度だ。結果的に次のシャクリがアワセになることが多い。誘いを兼ねた空アワセも積極的に行おう。

コウイカはエギを抱き締める力、吸盤の吸着力ともに強い。アワセが中途半端だとイカの足の中でエギが滑らず、カンナが掛からない。大きくしっかりアワせよう。掛かった後は、サオを立て気味にして一定のテンションで巻く。ポンピングは不可。

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取り込みは備え付けのタモを使う(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

注意が必要なのが、波による船の上下動。テンションが抜けるとイカが外れてしまう。

船が下がるときは巻くペースを上げ、間に合わなければサオを立てこれを補う。

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後ろからすくう(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

無事コウイカを寄せたら、取り込みに移る。取り込みはカンナの掛かりどころを確認し、安全なら抜き上げる。釣り座にはタモが備えられている(2~3人で共有)ので、これを使ってもいい。イカはバックするので、魚と違い後ろからすくうようにする。

スミに注意!

なお取り込みの際に余裕があれば、船に上げる前にスミを吐かせよう。コウイカのスミは粘質で量も極めて多く、思いっきり周囲に飛び散る。

また、スミをまき散らしてしまったら、すぐに洗い流すこと。放置すると汚れが取れなくなる。自分が汚れるだけならよいが、船を汚したまま放置すればあとで船長が困るし、周囲の人の衣服や道具を汚せばトラブルになりかねない。このことをよく肝に銘じて釣りに臨むこと。

船長のコウイカ釣り虎の巻

さて最後になったが、伊良湖沖のコウイカ釣りの立役者の1人であり、同海域のコウイカ釣りに精通している乗合船・忠栄丸の山下船長に、この釣りの虎の巻について聞いてきた。釣果を上げている人は以下を実践しているという。

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忠栄丸の山下船長(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

(1)まめに底を取り直し、仕掛けが「底から離れない」、「底を引きずらない」ようにしている。

(2)ステイ中も、船の揺れをサオを上下に動かして吸収し、仕掛けを底付近で安定させている。

(3)ステイの時間を長く取り、船が流れる作用を利用して、底スレスレをトローリングするイメージでエギを引いている。この間、オモリは底からほんの少し離れた状態で、引きずってはいない。

また、エギのカラーについては、蛍光オレンジ、蛍光イエロー、パープルの3つは、その日の当たりカラーになることが多いとのこと。この3色は必ず持参したい。

そして、仕掛けは捨てイトを付けないタイプが、ベタ底を攻めやすいのでお勧めとのこと。このタイプの扱いは多少慣れが必要だが、使いこなせると強みを発揮する。

なお遊漁としてのコウイカ釣りは、まだまだ発展過程。今後も新しいシーズナルパターン、ポイントなどが見つかるかもしれないという。船のブログをチェックし、情報収集を続けてほしいとのことだ。

船長に聞いたコウイカのおいしい食べ方

最後に、船長に教えてもらったコウイカのおいしい食べ方を2つ紹介。

刺し身

1つは、しょうゆではなく粗塩を振り、好みでレモン汁をかけて味わう刺し身。コウイカの身本来の味が引き立ち、ねっとりとした甘みと食感がたまらないという。

イカゴロ炒め

もうひとつは肝を和えたゲソや身を炒めた「イカゴロ炒め」。肝の濃厚な味が加わり、お酒のおともに最適だそうだ。

掛かったときの重量感、手にしたときのボリューム感、和洋問わずおいしい料理に化けて釣り人の心を満たしてくれるコウイカ。昨年の動向を見ると、盛期は2~3月、釣期は4月ごろまで続く。寒さが厳しい今冬だが、伊良湖沖では熱いゲームが待っている。


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<週刊つりニュース中部版 編集部/TSURINEWS編>

▼この釣り船について
忠栄丸
出船場所:片名漁港
この記事は『週刊つりニュース中部版』2022年2月4日号に掲載された記事を再編集したものになります。The post 【伊良湖沖2022】船コウイカエギング入門 道具・仕掛け・釣り方を解説 first appeared on TSURINEWS.
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