渓流釣りシーズンが開幕した。まだ見ぬ渓魚を求めて山奥深くにわけいることは、野生の生活圏に足を踏み入れることでもある。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター筑井直樹)
渓流釣りでの危険
心地よい川のせせらぎに新緑の香り……。渓流釣りは日常の疲れを癒やしてくれる最高のレジャーだ。しかし、ハチやブヨ、ダニ、ヘビにウルシと、思わぬリスクとも背中合わせ。その中でも、最も御免被りたいのがクマとの遭遇だろう。
筆者はヒトがクマに襲われたというニュースを耳にするたびに、どうすれば避けられるかを考えてきた。今回はそんなクマについてピックアップするよ~。
クマの習性を知ろう
まずはクマの習性から。参考になるのが、自治体や森林管理機関のホームページだ。それらによると、クマの聴覚や嗅覚はイヌをはるかに上回り、音や匂いに敏感だ。主な活動時間は早朝や夕方。基本的には臆病な動物なので、ほとんどの場合はヒトより先に接近に気づいて逃げていく。ただし、濃霧や雨のときは気づきにくい――。
同じ野山に入るにしても、基本的に山道を進む登山と、川の中を歩いたり藪漕ぎもしたりする渓流釣りとでは、リスクに差がある。
だからこそクマ対策の効果と限界を理解し、相互に補うことが必要だと考えている。筆者はそれを「ハイブリッド型」と名付け実践している。以下、具体的に見ていこう。

「クマ鈴」
クマ対策と言えば代表的なのがクマ鈴だ。ホームセンターやアウトドアショップに行けば、文字通り鈴型から鉄板製のカウベル、真鍮鋳物製など多種多様な商品が並んでいる。どの音が遠くまで届き、クマに覚知されるかはその時々の環境によって異なるはずだ。したがって、複数の鈴をカラビナなどで組み合わせてベルトやザックにぶら下げるのがいいようだ。
音質によっては好奇心旺盛なクマ(北海道ではヒトを恐れないことから「新世代ベアーズ」と呼ばれている)を呼び寄せてしまうという話も耳にした。クマは高音を嫌うらしいので、今シーズンからは「キーン」という高い音が長く響く真鍮鋳物製を購入した。体の前後にぶら下げて、さらに複数の音を発するようにするつもりだ。
ただ、クマ鈴にも欠点がある。渓流釣りは登山と違って静止してポイントを見極めたり、仕掛けを交換したりすることがあるので、そうなると音が途絶えてしまうのだ。

「ホイッスル」
携帯ラジオなら立ち止まっても音が出せるが、水音が激しければ音がかき消されてしまう。かわりに持参したいのが、ホイッスルだ。吹くだけで高音を発せられるので効果は高い。ただ、大きく息を吹くことは体力を消耗するので常時吹き続けるのは現実的ではない。
人工的に音を発せられるものとしてオススメしたいのが、電子ホイッスルだ。騒々しい体育館で審判が使ったり、野球場でファウルボールを警告するときに使われたりするように、その音は強烈だ。自室で一瞬鳴らしただけで耳鳴りがやまず、家人を激怒させたほどだ。渓流でも威力は抜群。釣り竿を右手に、左手に電子ホイッスルというスタイルも可能だ。ベストの胸ポケットにもすっと入るので取り出しやすく、水濡れに注意しながら積極的に活用している。
念のために持参しているのが、子ども用の防犯ブザーだ。

「爆竹」
聴覚と同時に嗅覚にアピールする爆竹は、それ自体がハイブリッド型のグッズだ。入渓前に一発鳴らし、途中、不安を感じたら数回鳴らす。ただ、威力はかなり大きいものの音も匂いも持続性に欠ける。水ぬれ防止のためビニール袋に入れているため、いちいち取り出すのが面倒だ。ライターで着火して放り投げるので、山火事への注意を怠らないようにしたい。ロケット花火を使っている釣り人も見たことがあるが、環境への配慮に欠けるように思う。
音と匂いといえば、YouTubeで推奨されていたおもちゃのピストルも使ってみた。一応連射はできるし匂いもそれなりにするのだが、子ども用のため火薬量が少ないのが致命的。わざわざ持参するほどの価値はないようだ。

「蚊取り線香」
常時匂いを発することができるものとして、蚊取り線香も悪くないと考えている。虫を寄りつかせないのが目的とはいえ、ほんのわずかでも漂わせていれば存在を察知させることができるはずだ。
ただし、風は一般に川下へ向かって吹いているため、あくまでも補助的な役割だろう。

未体験のグッズ紹介
よく知られているクマ撃退スプレーは使っていない。携帯に不便だし、とっさに使える自信がない。むしろ持参しないことが無理して山奥に進まないという自制心を保ってくれるのではないか。匂いといえばオオカミの尿の液体もホームセンターで販売されていた。害獣を追い払うのが目的だが、衣類に付着したらどうしようと思い購入には踏み切っていない。
おわりに
クマの習性や渓流釣り特有の環境対応の重要性が理解してもらえただろうか。決して無理をせず、ハイブリッド型の対策でクマの聴覚や嗅覚にアピールし、今シーズンも安全な渓流釣りを楽しんでほしい!
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<筑井直樹/TSURINEWSライター>
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