いよいよ渓流解禁だ。今回はヤマメ攻略の手引きをお伝えしよう。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース西部版APC・津曲隼丞)
仕掛けの流し方
自然に流下するエサを演出できれば、ヤマメも躊躇なく口を使う。また、自然に流すと、早アワセを必要とせず、ひと呼吸間を置いてからでも十分にアワせられる。”自然に演出”する流し方が、ヤマメ釣りの釣果を上げるキモといえるだろう。
流し方もいたってシンプル。流れの線に沿って、エサが自然に流下するように流せばいい。そのためには流れに適合するガン玉をマメに交換し、エサが底波を流れるように流す。オモリが重いと、仕掛けイトを張った状態で流してしまい、仕掛けイトが円を描くように、自分側に寄り、不自然な流し方となる。

タナは、しっかり底波に入れるために、水深に対して、オモリから目印までの長さを約1.5倍にしている。
流す際は、3つ取り付けた目印のうち、最下部の目印、もしくは真ん中の目印を水面下の水中に出し入れし、水中イトが流れ過ぎないように、常にテンションコントロールしている。また、決して仕掛けの目印をブラさないように、しっかりと、サオを手と体全体でホールドし、自然に流すことを徹する。
流している間は、呼吸をゆっくりと吐きながら流すと仕掛けがピタリと止まりやすいので、ブレの気になる人は、ぜひ実践してほしい。
フカセ:自然に流す釣り
大まかに流す方法は、イトフケを出して自然に流す(フカセ)か、誘うか(ドラグ)の2通り。ともに水中では自然に流下している状態である。
私の場合、まずフカセ気味で自然に流す場合が多い。

目印のアタリ方は、水面下に押さええ込まれるケースが多い。が、流れの筋から上下左右、明確に不自然な動きもみられる。逆に、仕掛けが不自然な動きや底波から外れると、エサを吸う時に違和感を覚え、一瞬で吐き出す。特にスレヤマメは、一目散に逃げて二度とエサに見向きしない。
アワセは、目印にアタリを確認したのち、半呼吸おいてアワせる。慌てず、コンパクトにサオを立て気味にしてアワセを入れる。サオを立てることで、ヤマメは、反転して潜ろうとし、魚の重みでおのずとフッキングする。
0.25号以上の太イトだとハリ軸も太くなるので、手首のスナップを使って、小さく鋭い動作で、しっかりとフッキングさせる。
ドラグ:誘う釣り
フカセでは掛からないスレヤマメやバラした獲物を積極的に掛けるために、誘いの釣りで攻略していく。
この誘いの釣りは、自分自身で魚の位置を把握し、的確にヤマメの口元へ届ける”攻めの釣り”といえるだろう。また、この誘いの釣りをマスターすることで、ルアーのような誘い効果となり、スレヤマメがエサに引き寄せられ、釣果にも差が生まれる。

アタリは明確に現れる。目印が流れに対して、根掛かりのように突然止まり、また沈み込み、モゾモゾと小刻みに震えるようなアタり方をする。これは魚も居食いの状態で、仕掛けの違和感にも気づいていないからだ。アワセはひと呼吸おいた遅アワセで、コンパクトに、少しサオを立ててやるとヒットに結びつく。
ただし、流し終わりで、掛ける場合が多く、のされやすく、フカセと比べて、バレ率も高い。ヒットすれば、速やかに下流へ移動して、上ザオでサオを絞り、テンションコントロールを維持しながらやり取りしたい。
誘いの要領としては、仕掛けを上流側に倒し、水流に対してブレーキを掛けながら流していく。
ブレーキを掛け過ぎると、仕掛けやエサが回転し、不自然な動きになる。底波を流すことをキープしながら、エサ、オモリの順にエサが底波を這うイメージで流したい。それにより、水中イトとオモリの水抵抗がなくなり、ヤマメも無警戒でエサに食いつく。また、流し切りで、仕掛けを浮き上がらせて、エサをアピールさせて食わせる。
やり取り
特に9寸(約27cm)クラス以上の良型ヤマメは一度ヒットすると、流れを味方につけて、力尽きるまで、強い引き込みが楽しめる。サケ科だけあって、体をねじりながらローリングし、ハリ外しの行動を取る。
具体的に尺ヤマメの対処法を伝えていきたい。ヤマメの特性を理解しておけば大物を手中に収める確率も高まる。
突進速度
一度ヒットすると突進速度で仕掛けの高切れやハリのチモトからラインブレイクしやすい。流す前に、結び直しや水中イトにザラツキがないか点検しておく。ヤマメの突進を抑えるために渓流ザオ全体の弾力を活かし、タメながら強い引きを受けとめなければならない。

そこで私は胴に乗る調子のサオを使用し、掛かれば上流側に倒し、根元から曲げる気持ちでタメる。これにより、魚の頭を上流に向かせて落ち着かせ、泳がせやすくさせる。また、水中イトを上流側に倒し、流れとイトが並行になるほど魚に掛かる水抵抗はなくなり魚も大人しくなる。
反対に水中イトを真上から下流側へ倒すと水抵抗で魚も暴れてしまう。よって、尺クラスの大物がヒットしたら、速やかにサオを上流側(30~45度)に倒すこと。それでも尺を超える大物だと疾走することもある。
ローリングと首振り
ヤマメはハリに掛かり、違和感を覚えると本能的に体をねじり、回転させて流れに乗りながらハリ外しの行動を取る。そしてイトを緩めると体にイトを絡めていく。イト絡みが発生すると仕掛けの長さが短く、バランスも悪くなり、ハリ外れやラインブレイクのリスクが高まる。対策は、しっかりイトを上流側に張り、魚の頭を上流に向けて泳がせることでローリング防止になり、仮に絡んでも自然にイトをほどいてくれる。
首振りはヤマメ特有であり、抵抗を感じると全力で首を左右に振り、ハリ外しの行動を取る。これもコツをつかめば簡単に対処できる。首振りを始めたらサオのテンションが強い証拠なので、サオの曲がりを緩めてあげる。すると首振りを止めておとなしく泳ぎ始める。要は、ヤマメを仕留めるためのテンションコントロールが大切で、サオの曲げの強弱をつける。ヤマメが止まればテンション強、暴れればテンション弱で微調整し、ヤマメと対話するつもりで徐々に体力を奪っていく。
障害物
ヤマメは石裏などの障害物に逃げ込む習性がある。大石や浮石の多い河川では取り込みの難易度が一気に高まる。ヤマメ釣り経験者は大物を石裏に逃げ込まれバラシた苦い経験をしたこともあるだろう。
ヒットしたら中層でのやり取りを心掛け、決して主導権を渡さないようにしなければならない。大石や浮石の多い河川では日ごろ使用する水中イトの号数よりもワンランク太い号数で対応し、サオを寝かせ過ぎないよう立て気味でやり取りしたい。
取り込み
20cm以下は水面から抜き上げ、空中に飛ばして、軽快にタモで受け止める。ヤマメに水面で空気を吸わせ動きが止まれば、抜く合図だ。
良型の25cmクラス以上は泳がせて取り込む。8の字に操作して、水面を練るようなイメージで中層を泳がせてやり取りする。

意外だが、やり取りすると魚の活性も高まりやすい。ただし、一度バレると場荒れしてしまい、後が続かないので、少し下がり、ポイントから外してやり取りしたい。
動きが止まり、水面に出たら空気を多く吸わせる。次にロッドのズーム部を伸ばす。
タモを伸ばすと驚いて再び走られるやすい。この場合は落ち着いて、ふり出しに戻って、やり取り操作を行う。空気を吸わせて動きが止まったのを確認後、必ず頭からすくうこと。絶対に尻尾から追い回すようなすくい方をしないこと。
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<週刊つりニュース西部版APC・津曲隼丞/TSURINEWS編>
この記事は『週刊つりニュース西部版』2023年3月3日号に掲載された記事を再編集したものになります。The post ヤマメ狙い渓流エサ釣り攻略 【2パターンの仕掛け流し方とやり取りを解説】 first appeared on TSURINEWS.