昨今、釣り人口の増加と共に釣り方は多様化し、釣具店で様々な材質・カラーのラインを見かけるようになった。いざ購入しようとしたときに、「どれを買おう?」と迷った経験はないだろうか。

今回は「波止(堤防)釣りで使用するリールに巻くライン=道糸」にフォーカスし、ナイロンライン、PEラインそれぞれの特性・長所と短所を紹介していこう。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

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道糸はナイロンかPEラインか?

道糸は、リールを使用して釣りをする際に、アングラーと仕掛け・ヒットした魚を接続する「生命線」とも呼べる非常に重要なライン。一般的な波止釣り(堤防釣り)では、釣り方にもよるが、リールに50m~200m程度の量を巻いておく必要がある。

これだけの量が必要になるので、注目すべきは(1)扱いやすさ、(2)耐久性、(3)コスパの3点だ。そして、よく使用される道糸の材質は、ナイロンライン・フロロカーボンライン・PEラインの3種類。フロロカーボンラインは高価な上、糸癖が付きやすい・コシが強い等、堤防釣り用の道糸としては少々扱いづらい部類なので、今回はより一般的と言えるナイロンライン・PEラインの2種類を紹介する。

ナイロンラインの長所

まずはナイロンラインを使用する理由や長所を見ていこう。

初心者でも扱いやすい

ナイロンラインは、ラインそのものに適度なコシがあるので、多少絡んでも手で解くことができる。水も弾くため、初心者でも扱いやすいのが大きな特徴だ。

ウキ留め糸が付けやすい

ナイロンラインはとてもツルツルしているので、遊動ウキ仕掛けに必須となるウキ留め糸の取り付けが非常に簡単だ。そのため、フカセ釣り等のウキでアタリを取る釣り方は大抵ナイロンラインを使用する。

波止(堤防)で使用する釣り糸は【ナイロンとPEラインのどちら?】各々の長所・短所を解説
波止(堤防)で使用する釣り糸は【ナイロンとPEラインのどちら?】各々の長所・短所を解説
ウキ留め糸はウキ釣りの要(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

水馴染みが良い

ナイロンラインタイプの道糸はクリアカラーの物が多く、且つ撥水性も高いため、淡水・海水問わず水への馴染みが良い。ウキ釣りのように、仕掛けを潮に馴染ませる釣り方にピッタリと言える。

安価

時折ワゴンセールで「500m巻き800円!」といった売り方を見かけるように、ナイロンライン自体が安価な素材の為、とても安価で入手できる。とはいえ、ナイロンライン素材は紫外線劣化を起こしやすいので、購入の際は新しいラインかどうかの見極めが重要になる。古い型版や、パッケージが日焼けして色が変わっている物は購入しないようにしたいところだ。

ナイロンラインの短所

続いて、ナイロンラインのデメリットを見ていこう。

ラインが太くなりがち

後に説明するPEラインに比べると、ナイロンラインは強度面で大きく劣る。道糸として使用する場合は、その釣りの生命線になるため、どうしても少々太いものを使用する必要がある。結果として、リールに巻く総糸巻き量が減ってしまうため、ワンサイズ大きなリールが必要になることがある。これはタックルの軽さを追求するライトゲームにおいて、大きなデメリットと言える。

波止(堤防)で使用する釣り糸は【ナイロンとPEラインのどちら?】各々の長所・短所を解説
波止(堤防)で使用する釣り糸は【ナイロンとPEラインのどちら?】各々の長所・短所を解説
リールの糸巻き量に注意(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

飛距離を稼ぎ辛い

ラインが太くなるということは、その分糸グセも付きやすくなる。そのため、細いラインより風・空気抵抗をより受けやすくなり、飛距離を稼ぎ辛くなる。軽いものを遠くへキャストする必要があるルアーフィッシングには不向きと言えるだろう。

アタリが取り辛い

ナイロンラインは伸び縮みしやすいという特性があるため、魚の繊細なアタリを取り辛い。小さなアタリを捉えていくカワハギ釣り等には不向きだ。

耐久性が低い

ナイロンラインは、先述した通り伸び縮みする素材の為、数回使用するとラインが著しく劣化する。また、紫外線にも弱い。獲物がヒットした時に切れてしまうリスクを考え、短期間で定期的に交換する必要がある。

PEラインの長所

次に、PEラインを使用する理由や長所をみていこう。

ラインを細くできる

PEライン最大の長所は、強度面が非常に優れているという点。ナイロンラインより遥かに強い為、細いラインを使用することができる。その分、リールもコンパクトな物を使用することが可能となるので、ライトゲームはPEラインに分があると言える。

飛距離を稼げる

PEラインは糸癖が非常に付きにくく、しなやかな素材だ。また、強度があるためラインを細くできるので、風・空気抵抗をより受けにくくなり、圧倒的な距離を稼ぐことができる。

距離を把握できる

大半のPEラインには、1m・5m毎にカラーマーキングが施されていて、10mを超えると色が変わる。これを目安に飛距離を把握することで、「20mラインでアタリが集中している」「ライン2色目あたりにシモリがある」といった状況把握がしやすくなり、より効率的に釣果を伸ばすことができる。

波止(堤防)で使用する釣り糸は【ナイロンとPEラインのどちら?】各々の長所・短所を解説
波止(堤防)で使用する釣り糸は【ナイロンとPEラインのどちら?】各々の長所・短所を解説
マーキングは非常に役立つ(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

長持ちしてコスパ良

PEラインは非常に耐久性の高い素材のため、釣行後にきちんと手入れを行っていれば、(使用・保存状況・釣り方にもよるが)1年程度は使用できる。最初に購入する際は高く感じても、トータルで見るとコスパが良いと言える。

PEラインの短所

では、PEラインのデメリットをみていこう。

やや高価

先述した通り、長持ちすることを考えるとランニングコストを押さえることが可能だが、単体で見ると非常に高価だ。著者が子供の頃は100m辺り4000円~7000円程度で、おいそれと買えるレベルではなかった。だが昨今は各メーカーの企業努力により、値段も随分落ち着いてきたので、セールを狙えば100m1000円~2000円程度で購入することが可能となった。とはいえ、メーカー品で名の通った型番はいまだに高価なので、予算に合った買い物をオススメしたい。

熱に弱い

PEラインは熱に非常に弱い材質で、ラインを結ぶ際に発生する摩擦熱ですら、切れてしまうことがある。結束する際は、多少湿らせてからゆっくりと結ぶように留意しておきたい。

根ズレに弱い

PEラインは擦れにも弱く、岩がゴロゴロしたような場所で使用すると、たった1回の根掛かりであっけなく切れてしまうことがある。そのため、岩場で使用する際は擦れてしまわないように気を付けておきたい。

一度絡まると解けない

PEラインは大変しなやかなラインだが、複数の糸を編み込んで作られている性質も相まって、一度絡むと中々解くことができない。特にキャストミスでダンゴになってしまった場合は、早々に諦めて切ってしまった方が無難だ。

著者はPEライン+フロロカーボンラインリーダーを使用

著者はこれまでの30年近い釣行経験から、波止釣り用リールに巻くラインは、最終的に「PEライン0.8号~1.2号を100m~150m+フロロカーボンラインカーボンライン(リーダー)3号~7号を2m~10m」という、やや変則的な形に落ち着いた。こうしておけば、チョイ投げ・カワハギ釣り・探り釣りのような繊細な釣りの他、ウキ留めを付けてウキサビキやタチウオのウキ釣りを楽しむことができる。さらに、リーダーを太いものに交換すれば、タチウオの引き釣り・ショアジギング・ノマセ釣りといった大物釣りにも対応可能になる、という訳だ。

著者のタックルは【夏の夜釣りの好ターゲット7選】の記事で紹介しているので、是非参考にして見て欲しい。

【夏の夜釣りの好ターゲット7選】 おすすめの釣り方とポイントも徹底解説

もちろん、メインがPEラインなので、飛距離もしっかりと稼ぐことができる。

元となるPEラインは1年に1回程度交換し、リーダーは劣化具合を見てその都度交換するので、大変コスパも良い。理想を言えば、釣り方に応じてリールやラインを変更したいところだが、限られた釣具を上手く使いこなすのも釣りのテクニックの一つ。それぞれのスタイルに合わせて、使い方を考えてみて欲しい。

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<荻野祐樹/TSURINEWSライター>

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