6月下旬、武庫川一文字のターゲットは季節の変わり目を迎えていた。活況の原動力となっていた青物は終盤戦に入る一方で、落とし込み釣り・ヘチ釣りで狙うチヌ(クロダイ)は最盛期。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)
青物終盤戦の武庫川一文字で釣り
6月下旬、武庫川一文字に渡す渡船店の最大手の武庫川渡船のホームページには、「青物はそろそろ終盤」、「定員に余裕」という言葉が現れ始めた。釣り場に余裕があればノマセ釣りも出来ると目論んで、6月24日の釣行を決めた。

インターネット予約は前日夕方に楽々と済ませ、当日深夜2時半頃に駐車場開門待ちの車列に加わったが、私を含む事前予約客は全員1番船に乗船できることが確定。1番船は定員が揃った時点で5時より少し早めの出船となった。
私は人気の5番の船着き場で降り、ノマセ釣りが出来るようにと東方向に歩を進め、隣人が少なそうな場所に釣り座を構えた。

なお、武庫川一文字の詳細については、以前の投稿で紹介しているので、まだご覧になっていない方はそちらも参考にご覧いただきたい。
大阪湾の沖波止紹介:武庫川一文字 管理行き届いた運営で安心安全釣行
ノマセ釣りのエサが釣れない
ノマセ釣りにはエサとなる活きアジの確保が必須。早朝の時合いの小アジの回遊に期待して、竿下サビキ釣りをスタート。
5月20日の釣行で小アジの回遊を捉えたのだが、今回は小潮で朝9時頃までベタ潮と殆ど動きのない条件の悪い潮回りのせいか、全くの無反応で小アジはおろか小サバやカタクチイワシすら釣れない。
後の回遊に一途の望みを託して、アミエビを詰め替え、オキアミを刺し換えて置き竿を整える。
サビキ釣りで小アジは釣れず(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)同時並行でチヌの落とし込み釣り
ノマセ釣りまでの時間つなぎに、チヌの落とし込み釣りに臨む。当日のタックルは、落とし込み専用竿3.9mとリールに、ストライプカラーの落とし込み・ヘチ専用の2号ライン。
ラインの先には市販の目印仕掛けとハリスは1.7号を直結する。ハリスは硬めのものがよい。
エサは盛夏の定番、イ貝を採取しようと内向き(陸向き)の壁面に視線を向けると、何とチヌが数匹、壁面の浅場に浮いてきているのを目撃。「見えチヌ」との遭遇は私にとって必勝パターンだと内心テンションはアゲアゲ状態に。
一方でイ貝の壁面のイ貝の着生は薄く、採取は苦戦。やみくもに壁面のあちこちを搔いて荒らすのはマナー違反なので困り果て、結果ごく少量のイ貝しか確保できず、細心の注意を払って使う釣りを余儀なくされた。
イ貝の現地採取は苦戦(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)45cmの良型チヌが会心のヒット
6時過ぎに波止の内向きで落とし込み釣りを開始。壁面ギリギリにエサを落とし込む。最近の釣果情報でもチヌは絶好調で、今朝の見えチヌの遭遇もプラス要因。
波止の壁面ギリギリに落とし込む(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)潮回りは悪くとも、チヌには関係ないのか、6時半過ぎに早くもアタリがあった。2ヒロ弱のタナでモゾっとした感触が竿先に伝わり、テンションを調整するとススッと目印が引き込まれた。鋭くアワせるとフッキング。物凄いパワーで魚は抵抗してきた。
大物と確信し、ロッドワークで懸命に耐えて魚を海面に浮かせることに集中する。
落とし込み釣り以外の釣り人は大苦戦
別の落とし込み釣りの人のヒットシーンも複数目撃し、チヌの活性は良好だったが、その他の釣り人の様子は気の毒な状況。ルアー、タコ、サビキとも大苦戦で、朝の時合いは訪れない。
懸命に歩き回り、探り歩くタコ釣りの人の疲れも募るばかりのようで、「アカン、やばい。二桁いかへんかもしれん」との会話も聞こえてくる。波止は澱んだ雰囲気が漂っていた。
43cmのチヌを追釣
外向き(沖向き)のルアーマンの中からギブアップ組も現れ始め、外向きも場所が所処空いてきたので、落とし込み釣りも外向きに転じることにした。
武庫川一文字外向きの壁面(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)内向きよりも心持ち潮は動いている感じなので期待して探り歩くと、7時20分頃にタナ2ヒロで竿先を少し抑え込むアタリを捉えた。確信のもと鋭くアワせるとヒット。既に1匹釣っているので、強い引きを楽しむ心の余裕を持ちながらロッドワークを展開。
ただし、外向きは足場が狭いうえに海面との高低差が大きく、タモの柄6m以上が必須の慎重な獲り込みが必要で、安全面でも油断は大敵だ。
慎重に海面に魚を浮かせ、空気を吸わせて魚の動きを確実に止めてからタモ入れに成功。検寸すると43cmの良型。
ウグイを購入してノマセ釣り
8時の便で船上から「ノマセ釣りのウグイを持って来ています」とのマイク放送が聞こえてきた。チヌの釣果は手にしているものの、当日の本命は青物だったので、次の9時便でウグイを購入してノマセ釣りに切り替えようと決断。
ウグイは常時は船上販売しないので、波止上から武庫川渡船に急遽電話して注文した。ノマセ釣りの準備に取り掛かるが、直近の釣果情報では、青物のタナは底近くということなので、ノマセ釣りのタックルは定番のウキ仕掛けの泳がせスタイルとは異なり、沈め釣りのスタイルとした。
3匹目の43cmのチヌを追釣
ウグイを注文した便が到着するまで、追釣を狙って外向きの落とし込み釣りを再開。すると9時前に、今度は目印仕掛けが落ちるペースが鈍った。
波止際の着生物に仕掛けが引っ掛かったのかと思い静かに竿先を少し動かすと、魚が掛かった。止めアタリへの聞き合わせに偶然なったという形だ。
足元の安全に十分に気を配りながら、慎重に魚を寄せて海面で空気を吸わせ、タモ入れに成功。今度も43cmの良型で、ストリンガーには3匹目の釣果が加わり、写真の撮れ高は十分で大満足。と、ここでふとある思いが頭に浮かんだ。
3本目の良型チヌ(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)「フィッシュシェアリング」で寄付
ウグイを注文していた9時便が船着き場に着いたので、空のバケツを持参して船上でウグイ3匹を購入した。
その際に船長に相談すると「チヌなら生きていて身がバンバンやったら受け入れる」との答えだったので、ストリンガーに掛けて生かしておいた45cm、43cm、43cmの3匹のチヌを船上に持ち込んだ。船長は受け入れの段取りを整えて引き取り完了。
これは、武庫川渡船が社会活動として企画した「フィッシュシェアリング」に対する釣魚の寄付で、活きたチヌ・ハネ(フッコ)、即〆のメジロ(ワラサ)・ブリなどの釣果を鮮度などの条件付きで釣り人から一旦受け入れて、地元のボランティア団体などの「子ども食堂」や食育活動の場などに橋渡しをする仕組みだ。
フィッシュシェアリングの詳細は武庫川渡船のホームページのほか、サンテレビ公式YouTube「釣った魚をおすそ分け “フィッシュシェアリング”」でも紹介されているので、関心のある方はご欄いただきたい。
なお、繰り返しになるが、釣魚の寄付は鮮度などの条件付きなので、いきなり持ち込まず事前に武庫川渡船のスタッフに確認してから行うようおすすめしたい。
ルアーマン2人がブリとメジロを手中
沈黙状態が続いていた波止に活気を呼び込んだのは、9:20頃のルアーマンのヒットだった。ロッドは大きく弧を描き、全身を使ったロッドワークで奮闘する姿が周りの釣り人たちの視線を釘付けにした。
助っ人が現れネットイン。ルアーマンは興奮冷めやらぬ面持ちで助っ人にお礼を言って、見事なブリを手にした。
状況を聞くと、底のタナから巻き上げてくる途中でヒットしたとのこと。さらに10時過ぎに別のルアーマンもメジロを仕留めた。朝の地合いの時間帯から大きく遅れて、青物の回遊が訪れたようだ。
ウグイのノマセ釣りは不発
ルアーマンのヒットに期待感を持って、私もウグイのノマセ釣りを沈め釣りのスタイルで続けていたが、残念ながら不発だった。
ウグイは淡水魚なので、海水の中では活きアジのような活性や耐久性を欠く。青物の活性の高い時間帯に短期決戦で使うと効果を発揮するが、持久戦には向かないようだ。
ウグイを使い切った11時に納竿し、波止を後にした。最終釣果はフィッシュシェアリングに寄付した、落とし込み釣りでの45cm、43cm、43cmの3匹だった。
夏場の武庫川一文字の展望
7月、8月の夏場の武庫川一文字の展望を、例年ベースと私の経験で少し書かせていただくと、落とし込み・ヘチ釣りのチヌ狙いは、エサの確保で出来ればという条件付きでメインターゲットの一つと言える。
7月はイ貝だが、波止の壁面からイ貝が剥がれ落ちる8月はフジツボにエサ替わりする。釣りエサ店で購入可能な岩カニでも釣れる年があるので、釣果情報を確認してほしい。
青物は捕食するベイトの変わり目の時期なので、夏は魚影が薄くなるかもしれない。その分、ツバスや大サバ、中アジが散発的に回って来ることもあるので、情報をキャッチしたら即釣行が吉。タコは梅雨明けの7月いっぱいまでが釣期だが、ここ数年武庫川一文字ではあまり振るわない。
高水温が原因となる酸欠の苦潮が回ったらシーズン終了にもなりかねないので、早めの釣行をおすすめしたい。一方で早朝と夕暮れのガシラ、豆アジはファミリーでも楽しめる定番の釣り物なので、夏休みは熱中症・脱水症状対策をして、楽しんでもらえたらと思う。
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<伴野慶幸/TSURINEWSライター>
▼この釣り船について武庫川一文字
出船場所・武庫川渡船
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